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昭和型経営をアジャイル型経営へ変える手段:チェンジマネジメント

  • 投稿カテゴリー:マネジメント
  • 投稿の最終変更日:2021年1月10日
  • Reading time:5 mins read

経営改革が叫ばれています。「なんで変わらないんだ!」上手く進まない場合がほとんどです。人は現状を変えようとしません。現状に大きな支障がなければそれを変えたくないんです、守りたいんです。現状維持は人間の本能で、悪い事ではなく、そのように出来ているのです。これを理解しないと変える事はできません。

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前回の投稿では「予測型プロジェクトサイクル、ウォーターフォール、昭和」型の経営から「アジャイル」型の経営への移行が必要であると書きました。
しかし一方で、予測型ビジネス環境で事業手法・組織・人事・管理スタイルが何十年も体と頭にしみ込んだ人間に「ウォーターフォール型マネジメントからアジャイル型へ移行しよう」、「昭和型経営から脱却しよう」、言うは易く行うは難きです。
これには、意識の変革、「心」の変革が必要になります。

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予測型、ウオーターフォール型のプロジェクトは、技術的側面が大きく、プロジェクトで何を作るのか成果物が事前にはっきりしています。例えば、どういう製品を作るとかどういう建物を建てるなどです。
大量生産型の経営でも予測可能性が高いため、事前に準備をして、計画を立てて、その計画をしっかり管理しながら進めていく事で目標を達成していくスタイルです。
成功に導くには、技術的な側面、リソース(人・物・金・時間・情報)をいかに上手く計画し実行し管理していくかが重要で、これをきちんと計画通りに実行できれば予定した通りに実施でき成功する可能性はとても高いです。

しかし、これからはVUCA(ブーカ)の時代です。VUCAとはVolatility(不安定)、Uncertainty(不確定)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字です。
このような時代では予測型の従来型のモデル・経営スタイルでは対応できず、「アジャイル」型に変化させて行かなければなりません。具体的な成果物は最初に明確になっておらず、プロジェクト実施中に模索していくことになります。

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従来型経営組織に「アジャイル」型の経営手法を導入するためには、組織と企業文化の変革が必要になります。組織は、従来の縦型・ピラミッド型の権限構成から、フラットな構造を持ち込むまたはフラットな構造に変える必要がありますが、そのような組織構造の変更、付随する組織インフラの整備等の技術的側面だけでも「アジャイル」型の経営は不十分です。
「アジャイル」型の経営に必要な自律的な組織への変化には、企業文化、今までの予測型の「スタンダード、マインドセット」を変える必要があります。
「アジャイル」思考を組織に植え付け、根付かせるためには、リソースや技術的な側面よりも、人的側面の比重が大きくなります。つまり、考え方、気持ち、心の側面の変化です。

新しいソフトウエアを入れました、システムを変えました、組織を変えましたと、いくら技術的な変更をしても、それを使う人の心がついて行かないと、結局使われないソフトを入れただけ、システムを迂回する二度手間の手順の発生、組織をいじっただけに終わってします。

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人的側面の変化は容易ではありません。
なぜなら多くの人は基本的に現状維持志向だからです。組織改革では「現状維持からの脱却」、「抵抗勢力への対応」などが課題になります。
しかし「現状維持・抵抗は悪である」の考え方のベースでは、変革を成功させる事はできません。
「現状維持・抵抗は、人間の本能に基づいたごく自然な態度」だという考え方に基づいてスタートしなければなりません。

変革の意識が高い方は「現状維持ではだめだ、このままではだめだ、変わらなければいけない」と変革の姿勢を既に持っています。
それが自身の個人事業の場合や組織が小さい場合ならそれで突き進んでいけます。
しかし、組織がそれなりの規模になると、そのような意識の高いごく少人数だけの変革では達成できず、「現状維持」「抵抗」の人間の本能に基づいた姿勢を持つその他大多数の変化なしでは達成できません。

このスタートポイントが非常に重要です。

別の投稿でも、例えば、「海外事業のビジョン・ミッション」では、海外で事業をやるビジョンをしっかり設定する事が必要と書きました。また、「プロジェクトが失敗する理由:プロジェクトと目的設定の順序が逆」では、プロジェクトを始める前に目的が設定される事が必要と書きました。

最初にシャツの第一ボタンをきちんと掛ける事が重要です。第一ボタンを掛け違うとその下のどのボタンをどこに掛けようがだめですよね(笑)。全部外して第一ボタンを掛け直す所に戻らないときちんとシャツを着る事ができません。

「現状維持・抵抗は悪」である考え方、例えば「変わる気のない社員が悪い」、「協力してくれないあの部署が悪い」、「猛烈に反対しているあの取締役が悪の根源」というような感情を持って進めても、その先のどこかでどうしてもそこから進めない、うまく行かない、機能しない事態に陥ります。

「アジャイル」型経営の導入でも同様です。必ず導入に反対・拒絶反応する人が色々な段階で出てきます。
一番最初にそのような反対の意思を「それは賛成できないね」とはっきり示す人もいるでしょう。

途中で「ずっと考えたけど、それはちょっと違うんじゃないかな」と言う方もいるでしょう。
最後の運用開始の段階になって「俺は最初から反対だったんだ」と拒否する人もいるでしょう。
最初から最後までずーっと静かに反対の意思は示さないが、心の中でずっと「これは無理だ、きっとうまく行かない」と思っている人もいるでしょう。

このような一人ひとりの気持ちに早い段階から寄り添って対応して行かないと、真の意味で変革をやり切る事はできません。使われないシステム、ただの二度手間作業の構築、頓挫、自然消滅、不満、やる気喪失、やるだけ損、あれだけ労力かけて何だったんだ?、、、という形で終わるだけです。

「そんな、一人ひとりの気持ちに対応するなんて時間がかかり過ぎる!」と思う人もいるでしょう。
そうなんです、時間がかかるんです。何年もかかるんです。
だから早く始めなければならないんです。

何十年もの歴史を経てきた、数百、数千の従業員の企業の文化を3カ月や半年で変えられる訳がありません。
もう10年も20年も前に始めている会社はたくさんあるのです。今始めなければまた気が付けばあっという間に更に10年で、失われた30年+10年で失われた期間の合計=40年になるか、その前に会社がなくなっているかです。

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プロジェクトマネジメントは主にプロジェクトの技術的側面を扱います。
一方で、目に見えない人的側面の比重が大きい改革・プロジェクトにはチェンジマネジメントが必要になってきます。
チェンジマネジメントは人の気持ちの改革面を取り扱います。

細かい所の整合は無視して大まかな関係を図にすると下図のような枠組みになります。

チェンジマネジメントは日本でほとんど普及していませんが、欧米ではプロジェクトの種類や規模によって、プロジェクトマネージャーと別にチェンジマネージャーという人的側面の改革を専属で扱う担当者がいるプロジェクトもあります。
従来型のやる事が決まっている予測型のプロジェクトでは、チェンジマネジメントはほとんど必要ないでしょう。
ただし、これからのVUCA時代に増えてくるアジャイル型のプロジェクトでは、専属かどうかは別問題としても、プロジェクトマネジメントと合わせてチェンジマネジメントの要素が必要になってきます。経営改革・組織改革でも間違いなくチェンジマネジメントの考え方、進め方が必要になってきます。

人的側面の変化は容易ではありません。しかし、不可能ではありません。チェンジマネジメントはその改革の可能性を大きく高めます。
チェンジマネジメントは「協働しよう」とか「価値を共有しよう」とか「満足度をあげよう」といった曖昧なスローガンではなく、分かったようで結局よく分からない方法論でも、難しい理論でもありません。より具体的で体系立てられた手法です。

どうやって改革を進めるのか、組織・プロジェクトに人的変化をもたらすのか、チェンジマネジメントについては今後色々紹介していきたいと思います。

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