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自分の考えや感情に振り回されないためには?「状況」を受けとめる「考え・思考」を変える

  • 投稿カテゴリー:Change Management
  • 投稿の最終変更日:2021年8月2日
  • Reading time:7 mins read

多くの人は自分の考えや感情にコントロールされます。事実と自分の考えを混同して、自分が本当に望む結果にたどり着けません。人間が持つ考える能力は、信じられないほど間違いを起こしやすいです。どう考えや思考を変えて行くかその方法を紹介します。

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多くの人は自分の考えや感情にコントロールされます。事実と自分の考えを混同して、物事をありのままに捉える事ができず、自分が本当に望む結果にたどり着けません。
更に、私たちの心にはいろんな人が入り込んできて、私たちを混乱させたり、嫌がらせしたり、責任を押し付けたり、操作しようとしたり、ネガティブな感情を引き起こします。
更に言えば、世の中にあふれている情報の多くも、事実でなく、いろいろな人の考えや意見です。
ニュースやメディアも、真実を伝えているようで、興味や関心を引くためにある面を強調したり、ある意図を持って偏りのある情報を伝えます。
私たちの心は広大な荒野にあるようで、自分が思っている場所とは実は違う所にいる上に、誰かが入り込んでくるのを防ぐ事もできず、自分が生み出す感情に振り回されます。

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思考モデル(CTFARモデル)

以前、人の思考モデルであるソートモデル(Thoght Model, CTFAR Model)を紹介しました。
ライフコーチスクールの創設者であるブルック・カスティージョ(Brooke Castillo)が、セルフコーチングのためのモデルとして紹介したものです。私自身も公私に利用しているモデルです。
CTFARは、Circumstances(状況) ➡ Thoughts(思考) ➡ Feelings(感情) ➡ Action(行動) ➡ Result(結果) の頭文字を取ったものです。

図:思考モデル(CTFARモデル)


モデルの最初の「状況:C」は現実であり事実です。それは私たちには変える事はできません。

個人が「思考・考え:T」によって、その「状況」にある意味を付け加えます。
その思考に応じて「感情:F」が生まれ、それが「行動:A」へと繋がり、最終的な「結果:R」に結びつきます。
重要なのは「状況」を捉える「思考」です。
この「思考」次第で、その後の「感情」「行動」「結果」全てが変わってくるからです。自分が望む結果にたどり着けないのは、多くの場合、望む「結果」にたどり着く「思考」をしていないからです。

しかし、状況の捉え方を変える、思考を変える事は、言うは易く行うは難しです。以下、思考を変える助けとなる方法や考え方を紹介します。

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「良い、悪い、すべき、すべきでない」のゲームから抜け出す

人は、つい短絡的に「自分は正しい」「あいつが悪い」「〇〇すべきだ」「△△してはいけない」と、良い、悪い、すべき、すべきでないの議論をしてしまいます。このような議論では、何故そう考えたのかの議論が欠落してしまいます。お互いがお互いの考えに至った経緯や過程を共有する議論が重要なのに、意見が違うという事に感情的に反応しているのです。上のCTFARモデルに当てはめて見ると、感情や行動レベルでのみ話している事になります。
相手が明らかに間違っていると思う場合でも、頭ごなしに否定するのではなく、なぜその考えに至ったのか、興味を持って知ろうとする事で新しい見地を得る事ができます。

図:「俺が正しい」「お前が悪い」の打ち合い・攻防図

「人間万事塞翁が馬」という中国の故事がありますね。このような話です。

国境近くに老人が住んでいました。ある日、その老人の馬が逃げてしまいました。
村人「おじいさん、馬が逃げて残念でしたね。。」
老人「そうでもないよ、良い事が起きる前兆かもしれないよ」
しばらく経ったある日、逃げた馬がたくさんの馬を引き連れて戻ってきました。
村人「おじいさん、馬が増えて帰ってきて良かったね!」
老人「どうだろう?ひょっとすると良くない事も起きるかもしれないよ」
しばらくすると、老人の息子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまいました。
村人「今回は災難でしたね。お気の毒です」
老人「いや何、良い事だってあるかもしれないよ」
その後、敵が大群で攻めてきました。多くの若者が戦いで亡くなりました。
しかし、老人の息子は足を負傷していたので、戦いに参加せず生き延びる事ができました。

この故事は、人生の禍福は予測できず、物事の良し悪しは定めがたい事を例えています。
どう考えても悪い状況というケースもあるかもしれません。しかし、そのような場合でも、この物語のように悪い中に良い知らせを探します。逆に良い情報の中にも悪い事を見つけようとします。そのような考え方を繰り返し習慣とする事で、短絡的な「良い、悪い」の議論から抜け出す事ができます。

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自分の思考は間違いだらけと認識する

人間が持つ考える能力は、信じられないほど間違いを起こしやすいです。
様々なバイアスや潜在意識、ヒューリスティクス(経験や先入観によって直感的に結論に結びつける事)、誤った仮定、誤った情報、エゴ、信念等々、私たちの適切な判断を妨げる要因は数多くあります(1)

1992年にタイで出家し、その後出家僧として過ごしたスウェーデン人のビョルン・リンデブラド(Björn Lindeblad)は、18年後スウェーデンに戻った時こう言いました。

「私はもはや自分が考えている事の全てを信じない  ~  I no longer believe everything I think.」(2)

ほとんどの場合、私たちの考えは、状況に対して自分の中でつじつまを合わせるために自分自身に語る物語にすぎません。 それは私たちを囲む世界に対する私たち独自の解釈に基づいています。 それは現実に対する普遍的な真実ではありません。

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自分との距離を取る:セルフ・ディスタンス

セルフ・ディスタンス(self-distancing)とは、「自分との距離を取る」事です。
自分との距離を取るってどういう事!と思うかもしれませんが、身体と距離を取るのではなく、自分の思考や感情と距離を取るという意味です。
メタ認知(メタ思考)という言葉があります。メタ認知は、幽体離脱したかのように自分自身を上空から見る、自分を客観的、俯瞰的に見る事で、自分の認知の仕方を知る方法です。
さらに、マインドフルネス認知療法の分野では、脱中心化(decentering)という言葉もあります。脱中心化は、思考や感情を自分の中心から離れた所から心を広く開いて観察する事です(3)(4)(5)
セルフ・ディスタンスも自分と距離をおいて自分を見る事ですから、これらの考え方と同じ意味です。

つまり、メタ思考も、脱中心化も、セルフ・ディスタンスも、俯瞰的に見てみれば、実は見ている本質、コンセプトはどれも同じです。同じ人間の性質を、異なるフィールドや少し違う角度から見て、違う名前で呼んでいるに過ぎません。

図:見る角度やフレームが違うだけで、実は同じものを見て違う言葉で表現している事も多々ある

セルフ・ディスタンスと反対の状態がセルフ・イマースト(Self-Immersed)です。直訳すると「自分に浸る」ですが、自分の考えにどっぶり漬かって抜け出せず、他の考えを受け入れられない状態です。自分の感情や思いに入り込み過ぎると、周りの状況が見えなくなって偏った見方や誤った判断をしがちですね。ネガティブな思考にどっぷりはまり込んでしまうと、負のスパイラルに陥って心のバランスを崩してしまう事もあります。
感情が自分に影響しない所まで離れて自分を見る事が必要です。

自己と距離を置くセルフ・ディスタンスは、攻撃的な思考や行動、怒りの感情を低減し、関係の対立(コンフリクト)をより適切に管理する能力、賢明な判断力、目的の実現可能性を上げる効果もあります(6)

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自分を第三者の視点で見る

先に紹介したセルフ・ディスタンスを実現する具体的な方法の一つが、第三者の目で自分を見る事です。
皆さん、他人の行動ははっきり見えるけれど、自分の行動はよく見えないですよね。
それであれば、自分の行動も、他人の行動を見るかのように見るのです。
例えば「何故わたしはこう考えたんだろう?」ではなく、自分の名前を使って「何故あきとはあの時そう考えたんだろう?」と考えます。自分の名前を使う事で、自分を客観化し、他人目線で見る事ができます。

2014年に最年少17歳でノーベル平和賞を受賞したパキスタンのマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さんは、タリバンが彼女を殺そうと襲ってきた時、「マララ、あなたならどうする?」と自分自身に質問し、自分自身に返事をしました(7)
一人称である「私」を使わず、「あなた」「彼」「彼女」そして自分の名前など非一人称を使う事で、自分と距離を取って考える事ができます。自分との距離を取る事ができると、自分の思考が物事の一部しか見ていなかった事に気付いたり、新しいアイデアが生まれたりします。

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最終的にどういう結果を得たいのか?

最初に紹介したCTFARモデルの最後の要素は「結果」です。どのような結果を得たいのか分からなければ、思考や感情に流された行動を取ってしまいます。あなたは何を成し遂げたいのか、結果を明確にして、そこからモデルを遡って、その結果を得るにはどう状況を捉えるべきなのか考えるのです。

図:思考モデル(CTFARモデル) ー 結果から思考を導く


様々な課題に対する結果、色々なレベルでの結果がありますが、大きく究極的に捉えれば、結果は一人一人が人生で果たすべき使命です。達成したい目的を決定し焦点を合わせる事で、その目的を達成するまでの道中で精神的に惑わされる事が少なくなります。
長期的な目標を設定する事は、ある意味、先ほど紹介したセルフ・ディスタンスにも通じます。自分との距離を取る、この場合は、今の自分から「時間軸」で距離を取るのです。今日、明日の自分にばかりに捉われていると、どうしても近視眼的な狭い物の見方になってしまいます。自分がどうありたいか、5年先10年先の自分を見つめるのです。それによって今何をすべきが見えてくるでしょう(6)

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物事に良いも悪いもない。あなたの思考がそう決めてしまうのだ ~ ウィリアム・シェイクスピア、ハムレットより
There is nothing either good or bad, but thinking makes it so. ~ William Shakespeare from Hamlet

参考文献
(1) James McCrae, “Don’t Believe Everything You Think: 5 Tips for a Happier Mind”, 2015/9, updated 2017/12.
(2) Albert Hobohm, “How to Stop Your Thoughts from Controlling Your Life“, TEDxKTH conference, 2018.
(3) Jay Winner, “Decenter to Be Centered : What is decentering? Why is it central to mental health?”, Psychology Today, 2008/10.
(4) “decentering“, APA Dictionary of Psychology, American Psychological Association
(5) Katy Tapper, Zoyah Ahmed, “A Mindfulness-Based Decentering Technique Increases the Cognitive Accessibility of Health and Weight Loss Related Goals“, frontiers in Psychology, 2018/4.
(6) Amy l. Eva, ”Four Ways to Gain Perspective on Negative Events”, The Greater Good Science Center at the University of California, Berkeley, 2017/9.
(7) E. Kross, O. Ayduk, “Chapter Two – Self-Distancing: Theory, Research, and Current Directions”, Advances in Experimental Social Psychology Volume 55,Pages 81-136, Elsevier Academic Press, 2017.

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