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セルフコーチング:CTFARモデル(思考モデル)

  • 投稿カテゴリー:マネジメント
  • 投稿の最終変更日:2021年6月23日
  • Reading time:8 mins read

感情は、周囲の状況や他人の行動によって生まれるのでなく、それを自分がどう捉えるかによって生まれます。つまり感情は自分が選択しています。自分が望む結果は、その結果を実現するためにどう行動するか、その行動を導く感情は何か、その感情を得るためにはどう物事を捉えればよいのか、思考の仕方を変える事によって実現できます。

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コーチングがブームと思われるほど、色んな所でコーチングという言葉を目にし耳にする事が多くなりました。
コーチングは、コーチとコーチングを受ける人と間の対話、コーチからの「問い」を通して、コーチングを受ける人に、自らの「気づき」をもたらし、自らの行動を、自らの意思で引き起こすプロセスです。

コーチングと私

私はプロのコーチでも資格者でも何でもありませんが、コーチングの基礎的な部分を学び、時に実践し、そして試行錯誤しております(笑)。という事で私はまだまだ学習の入り口にいる状況です。

私はプロフィール通り、チェンジマネジメントの資格者であり、変革スペシャリストですが、人や組織に変化をもたらすというのは、誰か他人から強制されてできる事ではありません。一人一人その人自身が「気づき」、そして本人が自らその気にならないと実現出来ません。
自らの「気づき」をもたらす、この点で、コーチングは、人の意識改革や組織改革にも大きく役立つスキルです。

組織変革に限らず、普段の仕事でもそうです。ただ単に「やれ」と言われて仕事をするのと、自分で目的と強い意思があって取り組むのとでは、仕事に対するモチベーションと結果が全然違います。この点でも、私は例えばチームメンバーの育成や目標管理にコーチングのスキルを利用してます。

更に言えば、人生もそうです。不満を並べ何となく日々暮らす人生と、自らの意思で自らの行動を切り開いていく人生。。。どちらを選ぶかは、最終的にはその人本人にしか決められません。
プライベートでも自分自身にセルフコーチングのツールを利用しています。

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セルフコーチング

コーチングと共に、セルフコーチングという言葉を目にする事も増えてきました。
エグゼクティブコーチ(経営者向けのコーチ)であり、スタンフォード大学経営大学院講師のエド・バティスタ(Ed Batista)は、セルフコーチングを「仕事と個人の両方の領域で、私たち自身の成長と発展を、移行段階を経て導いていくプロセス」と説明しています。
セルフコーチングと聞くと全て一人で完結する作業のようにも思えますが、エド・バティスタは、セルフコーチングは自己主導的な作業であるものの、一人で行うものでは決してなく、コーチングスキルを利用して家族や友だちからアドバイスも受ける社会的でインタラクティブな作業であると強調しています。(1) 自分の考え方の前提など自己意識はなかなか自分では捉えにくいものです。それを表面化させるためにも周りの人たちの助けが必要になります。

セルフコーチングは、本来の1対1のコーチングに置き換わるものではなく、プロのコーチの支援を受ける方が目的の達成には効果的ではあります。(2)
しかし、コーチングを受ける事は人によってはハードルが高い場合もありますので(心理的にも、金銭的にも、、汗)、セルフコーチングが代替案としてある程度の役割を果たせる可能性はあります。
また、コーチングを受けていても、実際にコーチングを受ける時間はひと月に数時間など非常に限られると思います。セルフコーチングには時間の縛りがありませんので、上手く自分の時間を利用して効果的にできる可能性があります。ただし、セルフコーチングが成功するためには、自身にある程度以上のセルフリーダーシップ、自分をごまかさない自己規律がある事が前提です。

そもそも「セルフコーチング」という言葉を使うまでもなく、自分で考え行動を変えられる行動力と実行力を備え持つ人は数多くいるわけですが、そのような方々でもセルフコーチングのスキルで、その作業をより深化させる事ができます。

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CTFARモデル(Thought Model:ソートモデル=思考モデル)

コーチングの手法はいくつか紹介されていますが、その手法はセルフコーチングにも応用する事ができます。
日本でよく紹介されるコーチング手法にGROWモデルがありますが、今回は日本であまり知られていないCTFARモデル(Thought Model:ソートモデルとも呼ばれます)を紹介します。(3)
私は以前受講したアメリカの大学のコーチングの講座で、このソートモデルを使ったコーチングの組み立て方を学びました。先にも述べましたが、私自身もこのソートモデルを、チームメンバーとの1on1(1対1)ミーティングにも使っていますし、自分自身に対するセルフコーチングツールとしても使っています。

CTFARは、「Circumstances(状況)➡ Thoughts(思考)➡ Feelings(感情)➡ Action(行動)➡ Result(結果)」の頭文字を取ったものです。
最初の要素である「状況」は「現実・事実」です。それは変える事はできません。過去に起きた事も変える事ができない「事実」です。
個々人が「思考」によって「状況」にある意味を付け加えます。「状況」に説明的な表現や形容詞が付け加えられたりします。その思考がある「感情」を心の中に生みます。その感情が「行動」に繋がり、最終的な「結果」に結びつくというモデルです。
「思考」=「状況の捉え方」は人によって様々です。状況の捉え方によって、異なる感情が生まれ、異なる行動に繋がり、最終的な「結果」までが異なってきます。

図:CTFARモデル(Thought Model:ソートモデル)

・状況:何が起きたか?
・思考:それをどう思ったのか?
・感情:そう思って、どういう感情を持ったか?
・行動:そう感じて、どういう行動を取ったか?
・結果:その行動で、どういう結果が得られたのか?

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カナダのクィーンズ大学の心理学者の研究によると、人間は1日に6,200もの思考(Thoughts)をしているそうです。(4) もちろん私たちはその全てを意識する事もコントロールする事もできません。
鍵となるのは、強い感情を生み出し大きな結果へ繋がる思考です。「感情」は私たちの「思考」によって生まれます。「状況」から勝手に「感情」が生まれる訳ではなく、どういう「感情」を持つかは私たちが自ら選択しています。

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CTFARモデルの一例(仕事編)

CTFARモデルの例を挙げましょう。

【ケース1】
・状況:「やらなければならない仕事がある。」
・思考:「この仕事難しいぞ。失敗して恥をかく事は避けないと。」
・感情:「いやだ。逃げよう。後向き。」
・行動:「先送りする。ごまかす。人のせいにする。」
・結果:「仕事は終わらない。周りから見ると、あなた自身が問題。」

【ケース2】
・状況:「やらなければならない仕事がある。」
・思考:「この仕事難しいが、スキルアップと思ってチェレンジしよう。」
・感情:「意欲的。前向き。」
・行動:「分かる所からやってみる。分からない所は積極的にアドバイスを求める。」
・結果:「無事成果を達成。スキルアップもできた。」

上の例では、状況は2つのケースとも「やらなければならない仕事がある。」で全く同じです。しかし、結果がそれぞれ全然違います。なぜでしょう?
きっかけは、CTFARの2番目の「思考」の違いです。つまり状況の捉え方の違いによって、その後の段階の全てが違ってくるのです。

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CTFAR 逆モデル(R ➡ A ➡ F ➡ T)

では現状の結果が望ましくなく、望ましい結果をもたらすにはどうすればよいでしょうか?
状況は変える事はできません。望ましい結果が明確であれば、結果から始めて、CTFARモデルを逆方向に(R ➡ A ➡ F ➡ T)とたどっていきます。その望ましい結果を得るにはどういう行動を取ればよいか、その行動を取るためにはどのような感情が必要か、その感情を得るためにはどう思考すればよいかを模索していきます。

図:CTFARモデル(Thought Model:ソートモデル)ー 逆モデル

上の例で言うと、状況は「やらなければならない仕事がある。」ですね、これは変えられません。まず状況に対する望ましい結果を設定します。そして、逆方向に(R ➡ A ➡ F ➡ T)と戻っていくと、例えば以下のようになります。

【CTFAR 逆モデル】
・状況:「やらなければならない仕事がある。」
・結果:「期日通りにお客さんの満足する成果を提供する」
  ⇓
・行動:「分かる所と分からない所をはっきりさせて、分からない所は先輩たちにアドバイスを聞いて、計画を立てる」
・感情:「やる気と責任感」
・思考:「不確実な所があるが、前倒しで取り組み、絶対やり遂げる」

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CTFARモデルの一例(プライベート編)

CTFARはもちろんプライベートにも利用できます。

【ケース1:CTFAR】
状況:「僕の妻は、僕が帰宅した後、僕の仕事がどうだったか尋ねない」
・思考:「妻は、僕を気に留めていない」
・感情:「怒り」
・行動:「僕も妻を無視しよう」
・結果:「会話のない夫婦」

この結果を「お互いにサポートする夫婦」に変えたい場合は、以下のような例が考えられます。

【ケース2:CTFAR 逆モデル】
・状況:「僕の妻は、僕が帰宅した後、僕の仕事がどうだったか尋ねない」
・結果:「お互いにサポートする夫婦」
  ⇓
・行動:「妻の話を聞く」
・感情:「愛情深い、共感」
・思考:「僕の方から、帰宅後に妻に今日一日どうだったか聞いてみよう」

なお、CTFARモデルは全て自分の思考、感情、行動についてです。他人の行動や思考を変えようとしてはいけませんのでご注意下さい。上の例で言えば、妻の行動を変えるような事を考えてはいけません。

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最後に

このモデルをセルフコーチングに使う事で、自分の行動決定までのプロセスの自己解析ができます。最初は解析した自分の感情を受け入れられないかもしれません。また、モデルは打出の小槌ではありませんので、すぐ成果が出ない事もあります。自分をごまかしているうちは決して成果は出ません。自分に真摯に向き合って何度も試しているうちに、ある「気づき」を得られるでしょう。そして今取っているプロセスとは異なるプロセスへの変化を導いてくれるでしょう。

  • 期待する「結果」が得られていない場合は、適切な「行動」を取っていない可能性があります。
  • もしあなたが今正しい行動を取っていない場合、正しい行動を取るようにあなたを駆り立てる正しい「感情」を生み出していないかもしれません。
  • あなたの感情が、あなたが取りたいと思っている行動と一致していない場合、あなたの目的達成のための正しい「思考」を生み出していないかもしれません。
  • 最も根本的で重要なポイントは、ほとんどの場合、「状況」を捉える「思考」、つまり、解釈、表現、前提、分類が、軽率かつ間違えていて、望む結果が得られない失敗をする事です。

実は、CTFARモデルと同じ考え方に基づくモデルはコーチングの分野以外にも存在します。それらについては、また別の機会に紹介したいと思いますが、それぞれのモデルは基本的な部分は同じでも、物事を見る角度やアプローチが若干異なります。人によって、しっくりくるモデル、腹落ちできるアプローチも違うかもしれません。このようなモデルは実際に使わなければ役に立ちませんので、大事なことは、いかに自分のものにして使えるか、自分に合うモデルを使うかという事でもあります。

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参考文献
(1) Ed Batista, “Self-Coaching: An Overview“, edbatista.com, 2013/7
(2) Sabine Losch, Eva Traut-Mattausch, Maximilian D. Mühlberger, Eva Jonas, “Comparing the Effectiveness of Individual Coaching, Self-Coaching, and Group Training: How Leadership Makes the Difference“, National Center for Biotechnology Information, U.S. National Library of Medicine, 2016/5
(3) “What Is the Self Coaching Model?”, The Life Coach School
(4) Anne Craig, “Discovery of ‘thought worms’ opens window to the mind”, Queen’s Gazette, Queen’s University, 2020/7
(5) Maike Neuhaus Ph.D., “Self-Coaching Model Explained: 56 Questions & Techniques for Self-Mastery”, PositivePsychology.com, 2021/4
(6) Amy Kelly, “Struggling with the Thought Model? 6 Pitfalls to Avoid“, The Ish Girl

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