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成功への恐怖 Fear of success:ジョナ・コンプレックス

  • 投稿カテゴリー:Change Management
  • 投稿の最終変更日:2021年12月23日
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人には「失敗する事への恐怖」がありますが、なんと「成功する事への恐怖」もあります。それには①失敗を恐れるから成功へのチャレンジを恐れる、②成功がもたらす影響や副産物を恐れる、③成功そのものを恐れる、の3パターンがあります。

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成功とは?

前回、「人はなぜ変化に抵抗するのか」を見ました。
その原因の1つに「失敗への恐怖」がありました。「失敗への恐怖」は多くの人が感じる恐怖です。しかし、実は人には「成功への恐怖」もあります。

辞書を調べると、「成功」には次のような意味があります。
● 望ましい、または好ましい結果
● 富、地位、名声、名誉の獲得
● 物事を目的どおりに成し遂げること

特に悪い意味は見当たりませんね?ではなぜ、人は成功に抵抗するのでしょうか?

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1.「失敗への恐怖」からくる「成功への恐怖」

まず、失敗への恐怖と背中合わせの成功への恐怖があります。どういう事?と思うかもしれませんが、成功はチャレンジした結果獲得できるものです。しかしチャレンジには失敗も付きもので、失敗を恐れてチャレンジを避けます。

分かりやすい例は恋愛でしょうか?好きな人を射止めたい。射止めれば成功です。でも告白して断られるのが怖くて、関係が壊れるのが怖くて踏み出せない、という例はまさに失敗を恐れるから成功を避ける例ですね。必要なのは何でしょうか?

勇気ですね。

勇気とは、「恐怖を感じる事なく行動に移せる力」ではなく、「恐怖に打ち勝って一歩を踏み出す力」です。勇気ある人は幸せです。勇気は生まれつきのものではなく、長い時間をかけて築き上げるものです。勇気を育てると、ある時、成功することへの恐怖は小さくなっているかもしれませんし、もうないことに気づくかもしれません。

図:成功への恐怖(告白編)

また、先ほどの成功の意味にあった通り、成功すると地位や名声を得ます。そうすると、周囲からの期待も膨れ上がり、周囲を(そして自分自身も)失望させたくないと思います。プレッシャーが高まり、失敗した時の落胆、失望、恥が大きくなります。つまり、成功を重ねるほど、失敗するのが怖くなっていく事もあります。

失敗の確率が高ければ、ダメもとで思いっきり挑戦できるかもしれませんが、成功の確率が高いほど、絶対に失敗できない!と失敗の恐怖が大きくなる事も考えられますね。

対策としては、成功を成功と捉えず、成長の過程・マイルストーンと捉え、まだその先があると考える事です。成長を続けていくと思えば、ちょっとした成功を失う事に捉われず、前に進んでいく事に目を向けられるでしょう。成功は最終目的地ではなく、より良い自分になるための絶え間ない旅の通過地点であり、挑戦し成長し続けるのです。

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2.成功がもたらす影響を恐れる場合

また、??な題目ですが、人は成功は望みます。成功への恐怖は成功を怖がっているのではありません。怖がっているのは成功そのものではなく、成功に付随する望ましくない「影響」や「副産物」です。ですから「成功への恐怖」というよりは「成功がもたらす影響への恐怖」が的確でしょう。具体的には、次のような例が挙げられます。

(1)同調圧力、成功者への嫉み、嫌われる恐怖、周囲の見る目や人間関係の変化

成功しようと他人より頑張ると「そんなに一生懸命やってどうするの?」「むだむだ」と冷や水を浴びせられたり、ブレーキをかけられる事はないでしょうか?それはなぜでしょうか?
同調圧力により、集団から抜け出して先に行く人は嫌われるからです。出る杭は打たれ、成功者は傲慢で自己中心的な裏切り者であり、ひどい場合は報復されます。
そのような周囲からの反応を恐れて、人間関係を重視するあまり、周囲に合わせて目標を低くしたり、目立つ事や難しい挑戦を避けたりします。

他人があなたにどう接するかはコントロールできません。しかし、あなたが誰と接するかはコントロールできます。出来る限り、何があってもあなたを応援してくれるような人たちに囲まれてください。そのような人は、一緒に笑ったり泣いたり、見返りを求めずあなたを心から応援してくれます。

図:同調圧力(出る杭は打たれる編)

(2)忙しくなる。時間が無くなる

成功すればするほど、影響力の輪も広がっていきます。より多くの人があなたの時間を欲しがりますが、「時間がなくて。。」と断ると「おまえ変わったな」「あなた変ったわね」と言われます(笑)。変わる事は良い事なんですが。。。そのような人がいても、自分の時間を犠牲にする必要はありません。時間をよりうまくコントロールすることがあなたのすべき事です。

(3)責任が重くなる。期待される

多くの人は、成功することで、問題が少なくなるとか、生活が楽になるとか、非現実的な想像をしますが、実際はその逆で、成功すると責任が増え、やる事が増えます。
責任感で、他人の期待の奴隷になったり、自由がなくなることを恐れ、重圧に堪えられず、成功を避けたくなります。つまり、楽をしたいという気持ちが成功を邪魔します。この意味では、人が成功を恐れるのは、大人になることで生じる責任や困難を嫌がる子供が、大人になることを恐れるのと同じです。
自分のゴールを定め、それにフォーカスする事で、外的内的な圧力から自分を解放しましょう。

(4)未知なる未来を恐れる

成功は未知への旅です。成功がどのような姿でやってくるのか事前には分からず、先が見えない未来に腰が引け、現状にすがりたくなります。現状はよく分かっているので安心してコントロールできますが、未知なるものはコントロールできません。これは前回説明した変化に抵抗する理由、つまり、心地よい現状から離れ、不確定、未知なるものへ進む不安や恐怖と同じなので、詳しくは前回の内容をご覧下さい。。。

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3.本当に成功を恐れる場合

最後に本当に成功そのものを怖がる場合もあります。これは幼少期のトラウマや、親からの影響があります。「あなたはだめなんだから!」「あなたはできない人なのよ」みたいな言葉を山のように聞かされると、「自分はダメな人間」「自分は成功してはいけない人間」と自分は成功に値しない人間だと考えてしまいます。
自分の成功が周囲の人々の熱意や賞賛、励ましによって支えられる環境で育つ人がいる一方で、そうではない人も少なからずいるのです。

ジョナ・コンプレックス(Jonah complex)

欲求のピラミッド(欲求5段階説)で有名なマズローですが、そのマズローが、欲求の最上位に位置する自己実現の達成を妨げるものとして「ジョナ・コンプレックス(Jonah complex)」を挙げています。旧約聖書でジョナが運命を避けた事に由来して名付けられものですが、成功への明らかな道があるのに「敢えて」その道を行かない。自身の最高の高みに達することを恐れることです。そのように考えるには次のような背景があります。

  • 人間は最高の高みがもたらす高揚に堪えられない。
  • 「並外れた大成功や完璧」は常軌に逸しており、おかしいと考える。
  • 自分にスポットライトが当たるのを嫌がる。
  • 偉大な人物と比較し、自分がそのような人物になれるわけがない、なっては失礼。なりたいと思う事自体が傲慢であり罪。

以上のように考えて、自分でリミッターをかけてしまう自己抑制行為です。
特に日本では、謙虚や中庸であることが徳とされ、「分をわきまえる」、「身の丈に合う」、「安分守己(あんぶんしゅき)」という言葉もあり、大きな成功を良く思わない文化や規範が存在するかもしれませんね。

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最後に

成功への恐怖は自己効力感や人生の満足度を脅かします。自己効力感(セルフ・エフィカシー:self-efficacy)とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知することです。自己効力感が低い人は人生の満足度も低いです。成功への恐怖がある人は、自己効力感も低い傾向にあり、自己効力感が高い人は成功への恐怖が小さいという研究結果があります(1)
繰り返しになりますが、成功を最終到達点とせず、成功も失敗も必要な通過点と考えてゴールを設定し、小さなことから自身を高めるよう勇気を出して挑戦し、外的内的な圧力から自らを解放していきましょう。

飛ぶための原動力は、私たち人間の大きな財産だ。それは誰もが持っている。それは力の根源と結びつく感覚だが、人はすぐにこの感覚を恐れるようになる。だから、ほとんどの人が翼を捨て、規則に従い歩くことを好むのだ。
~ ヘルマン・ヘッセ、「デミアン」より

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参考文献
(1) Hasan Yılmaz, “Fear of Success and Life Satisfaction in terms of Self-efficacy”, Universal Journal of Educational Research, 2018
(2) Shripad Ranade, “Power Tool: Fear of Failure vs. Fear of Success“, International Coach Academy, 2019/9.
(3) Kimanzi Constable, “4 Unexpected Consequences of Achieving Success in Business”, Entrepreneur Media, 2016/6.
(4) Kendra Cherry, Medically reviewed by Rachel Goldman, “What Is the Fear of Success?“, Verywell Mind, 2021/5.

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