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モチベーションとは?モチベーションの種類と、行動を持続させる方法

  • 投稿カテゴリー:人が変わる
  • 投稿の最終変更日:2026年3月21日
  • 読むのにかかる時間:11 mins read

私たちはモチベーションという言葉をよく使いますが、そもそもモチベーションとは何なのか、どうやったらモチベーションが生まれ、どうやってうまく利用できるのか仕組みをよく理解していません。今回は様々なモチベーションの種類と、行動を持続させる方法を紹介します。

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はじめに

「うぉー、モチベーション上がってきた!」「あ〜あ、モチベーション下がりまくり……」。私たちは日常的にこの言葉を使いますが、そもそもモチベーションとは何なのでしょうか?

ケンブリッジ英語辞書では「何かをすることに対する熱意」や「何かをしようとする意欲、またはそのような意欲を引き起こす何か」と定義しており、オックスフォード英語辞典では「何かをしたいという気持ち、特に大変な仕事や努力を伴うこと」と定義しています。ウィキペディアには「人を目標に向けた行動に駆り立てる内部状態」と書かれています。一言でまとめると、モチベーションとは「何らかの目的に向かって行動を起こさせる心の状態」です。

私たちは、スポーツ選手や起業家などの、大きな目標と強いモチベーションに結びついた驚異的な結果を目にすることがあります。一方で、「あ~、めんどくせーけどそろそろやるか」といった私たちのあまり積極的でないモチベーションでも、その先に自分が望む何からの結果があるからこそ、重い腰が上がります。

モチベーションはとても幅広い概念を含む言葉で、生物学的・認知的・社会的な様々な要素が含まれた複雑な心の状態でもあります。「おい、モチベーション上げようぜ!」なんて言われても、「はい、分かりました。今から上げますので少々お待ちを」と簡単に対応できるようなものではありません。

今回は、モチベーションを様々な角度から分解し、その仕組みとうまく付き合う方法を探っていきます。

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モチベーションの4要素

まず、モチベーションは次の4つの要素から成り立っています。

① 喚起・目覚め(Arousal, Activation)

モチベーションには、必ず「着火剤」となる出来事や思いがあります。
「バイトしようかな」というモチベーションのきっかけが「好きなアーティストのコンサートに行きたい」であったり、「運動を始めよう」のきっかけが「あの人に良く見られたい」だったりします。モチベーションの発火点は人それぞれですが、きっかけなくしてモチベーションは生まれません。
あなたにとって、行動を起こさせる発火点は何ですか?

② 方向性(Direction)

目的が決まっても、そこへ向かう方法は様々です。「コンサートに行きたい」という目的に対して、「バイトをする」という方向もあれば「親にお金を出してもらう」という方向もあります。モチベーションのエネルギーをどこに向けるかが、結果を大きく左右します。

③ 強さ(Intensity)

同じ目的を持っていても、同じ方向性を持っていても、費やす努力の量や質は人によって異なります。徹底的に情報を集めて最大限の努力を注ぐこともあれば、最小限の努力で済ませることもあります。モチベーションの「強さ」は、どれだけ本気でその目的を求めているかを反映しています。

④ 持続性(Persistence, Duration)

あるきっかけで参加したセミナーの講師の話を聞いて「よし、明日から自分も頑張るぞ!」と思ったのに、翌日には何事もなかったかのようにモチベーションが消えていた。。。そんな経験はありませんか?

いくら強いモチベーションでも、持続しなければ目標には届きません。この持続性こそが、モチベーションの中でも特に難しく、かつ重要な要素です。

以上の4つの要素が組み合わさって、望む目的を達成できるかどうかが決まります。方向性が間違っていれば、他の3要素が揃っていてもたどり着けませんし、強さや持続性に関しても同様です。

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モチベーションの分類

モチベーションはまた、様々な視点から分類することができます。次にその5つの分類を見ていきましょう。それぞれの特性を理解することが、自分のモチベーションをうまくコントロールする第一歩です。

① 内発的動機と外発的動機(Intrinsic / Extrinsic Motivation)

これは以前本サイトでも紹介しました。
モチベーションが内的要因によるものか、外的要因によるものかによる分類です。

内発的動機(Intrinsic Motivation)は、楽しみ・好奇心・充実感など、内側から湧き出るモチベーションです。「楽しいからサッカーをする」「気持ちがいいから歌う」「人のために役に立ちたいからボランティアに参加する」がその例です。行為そのものを追求するときに発生するモチベーションです。

一方、外発的動機(Extrinsic Motivation)は、報酬・他人の評価・懲罰の回避など外的要因から生じます。「コーチに怒られるからサッカーをする」「お金を稼ぐために歌う」「友だちに認められたいからボランティアに参加する」といった場合です。

なお、私はランニングが趣味ですが、仲間にはレースにエントリーすることで走るモチベーションを保とうとする人(外発的)と、そもそも走ること自体が好きで走る人(内発的)がいます。前者は外発的動機によってランニングを続けており、後者にとっては走ること自体が報酬になっています。一般に、内発的に動機づけられた行動の方が、外発的動機による行動よりも持続性が高いことは以前の記事でも説明した通りです。

実践的なアドバイスとしては、自分が「なぜこれをやりたいのか」を問い直すことです。そうすることで、外発的な理由の裏にある内発的な動機を見つけやすくなります。

② 自律的動機と制御的動機(Autonomous / Controlled Motivation)

自律的動機(Autonomous Motivation)とは、自分の意志で「やりたいからやる」というモチベーションです。
制御的動機(Controlled Motivation)は、他人から何かをするように誘導・操作されることで生じます。

先ほどの内発的動機・外発的動機と混同してしまうかもしれませんが、少し違います。
例えば、会社がボーナスを上げることで従業員の意欲を高めることは、制御的かつ外発的な動機づけになります。
他人から非難されるのを恐れて自主的にある行動を取るのは、自律的かつ外発的な動機づけです。
自律的か制御的かの違いは、自分で決めているか、他人に誘導されているか、「誰が決めているか」にあります。

制御的動機づけは、インセンティブ型(Incentive Motivation)あるいは操作型(Manipulative Motivation)とも言えるかもしれません。誰かに何かをさせるために美味しいご馳走を与える、ボーナスを上げて従業員のやる気を高めるなど、鼻先に人参をぶら下げて、いわゆる「飴と鞭」で人に何かをさせようとするのは、制御型の動機づけを利用しています。短期的には効果がありますが、長続きしにくく、副作用もあります。

一方で、自律型の動機づけはセルフモチベーション(Self-motivation)とも言われます。誰かに誘導されることなく、自分が主体的に決めるからです。

実践的なアドバイスとして、「やらなければならない」のか「やりたい」のかを考えてみましょう。「やらなければならない」のであるならば、それをどうすれば「やりたい」に変換できるのか、目的を問い直してみることです。

③ 意識的動機と無意識の動機(Conscious / Unconscious Motivation)

モチベーションの他の分類として、意識的なものと無意識のものがあります。

無意識のモチベーションと聞いてもピンとこないかもしれません。しかし、私たちの行動の多くは、意識の奥底にある欲望・恐怖・喜びといった感情によって、自分が気付くことなく無意識に導かれています。

例えば、「研究によって社会に貢献したい」と言う科学者の本当の動機が、実は「多くの人に認められたい」という隠れた欲求である場合もあります。無意識レベルで引き起こされたモチベーションは、私たちによい結果をもたらす場合も、悪い結果をもたらす場合もあります。

プライミングやサブリミナル効果のように、無意識レベルで行動を引き起こすメカニズムも存在します。自分の無意識の動機に気づくことは、セルフコントロールの第一歩です。

実践上のヒントとして、「なぜ自分はこれをやりたいのか(あるいはやりたくないのか)」を深く掘り下げてみると、意外な本音が見えてくることがあります。

④ 生理的動機と心理的動機(physiological / Psychological Motivation)

食べたい・飲みたい・眠りたいといった欲求は生理的動機(Physiological Motivation)です。マズローの欲求5段階で言えば、最下層の「①生理的欲求」にあたります。それより上位の4段階の欲求、つまり、②安全の欲求、③社会的欲求、④承認欲求、⑤自己実現欲求は、いずれも心理的動機(Psychological Motivation)によるものです。

生物学的欲求だけで動く他の動物と異なり、人間は、生物学的・認知的動機の両方によって行動を決定しています。

図:マズローの欲求5段階

maslow’s hierarchy of needs

⑤ 利己的動機と利他的動機(Egoistic / Altruistic Motivation)

利己的動機(Egoistic Motivation)は、自分の利益や欲求を満たすための行動を引き起こします。目先の快楽・出世・社会的地位・金銭的報酬・他者からの尊敬など、その形は様々です。

利他的動機(Altruistic Motivation)は、見返りなしに他者の幸福や成長のために支援したいという欲求に関係しています。

「利他的動機づけは存在せず、すべての動機づけは利己的」だという見解もあります。この見解の支持者は、人は他人を助けることで自分が良い気分になりたいというのが真の動機であると主張します。
しかし、「他人を傷つけてはいけない」「盗んではいけない」などの道徳的動機(Moral Motivation)が、100%利己的な動機であると言い切ることはできず、意識と無意識の両方のモチベーションが関わっていると言えるでしょう。

Purpose

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モチベーションを高め、行動を継続するためには?

ここまで、モチベーションの4要素と、5つの分類を見てきました。これらは互いに独立しているわけではなく、むしろ重なり合っています。たとえば、外発的でありながら同時に無意識かつ利己的なモチベーションも存在します。

では、結局、私たちはモチベーションを高めたり、行動を持続するにはどうすればよいのでしょうか?

頭で分かっていて何かをやろうとしても、心がついてこないことはたくさんありますよね。
私たちの行動は、「頭(理性)」と「心(感情)」という、時に対立するシステムでコントロールされているからです。頭ではある行動を進めようとしても、心がその行動を取ることを妨げる、その逆の場合もあります。私たちの中には相反するモチベーションが共存しているからです。

私たちは、この対極にあるモチベーションの両方をうまく使う必要があります。
人間は理性の動物ですが、感情の動物でもあります。私たちの理性の力には限界があり、ほとんどの人は、頭(理性)だけに頼ったモチベーションを長く持続することができません。時には、心(感情)が喜ぶようなモチベーションもうまく利用することが大切です。

「これが終わったら、旅行に出かける」とか「達成したら、一日チートデーにして甘いものを食べまくる」など、異なる動機を組み合わせるのです。理性や意志だけで高いモチベーションを持続するのは難しいため、今回紹介した様々なモチベーションを組み合わてみましょう。

以下は、モチベーションを高めたり、望む行動を継続するための4つのポイントです。

① まず、「本当の目的」を問い直す

モチベーションの先には、必ず目的があります。目的が曖昧なままでは、どれだけ気合いを入れても長続きしません。

あなたの本当の目的は何ですか?頭だけでなく心も納得できるような、自分にとって本当に大切な目的を持てるほど、モチベーションは自然と持続します。「なぜ自分はこれをしたいのか」――まずここから問い直してみましょう。

例えば、「ダイエットしたい」と思っていたが、よく考えると本当の目的は「いつまでもパートナーと元気に暮らしたい」だと気が付くかもしれません。「ダイエット」から「いつまでも一緒に元気に暮らす」に目的に設定し直すことで、気持ちに大きな変化が生まれるかもしれません。

また、仕事で「売上を上げなければ」というプレッシャーを自らに課すよりも、「できるだけ多くのお客さんに本当に喜んでもらいたい」という気持ちに切り替えた方が、結果的に長く頑張れる上に、高い充足感も得られるかもしれません。

② 大きな目標は「小分け」にする

高い目標は大切ですが、それだけを見つめていると途中で息切れしてしまいます。目標を小さなステップに分け、小さな達成感を積み重ねることが、モチベーションを長く保つコツです。また、モチベーションは時間とともに自然と下がるものです。長距離ドライブで途中給油が必要なように、意識的にモチベーションを補強するタイミングを設けることも効果的です。

先ほどのチートデーの例はまさにそうですし、資格勉強で「1章終わったら好きなドラマを1話見る」とか、ランニングで「5km走れたらラーメンを一杯食べられる」というルールを作ったら、勉強や運動が苦にならなくなることもあるでしょう。ただし、外発的動機や制御型のモチベーションの使い過ぎには副作用があるため、注意する必要があります。

また、いくら高いモチベーションを長く持続できても、間違った方向に進み続ければ、目的に到達することはできません。さらには、課題のレベル感が上がったのにモチベーションだけで物事を達成することはできません。足りないスキルは高める必要があります。目標を小分けにすることで、いったんこれらの振り返りの時間をとることも効果的でしょう。

③ 「内側から湧き出る動機」を育て、習慣化へつなげる

外からの報酬や他人からのプレッシャーに頼るモチベーションには、どうしても限界があります。自分が主体的に「やりたい」と感じる内発的・自律的な動機を育てる環境を整えることが、長期的には大きな差を生みます。

さらに理想を言えば、行動が習慣になると、モチベーションの力をあまり借りなくても動き続けられるようになります。意志や理性だけに頼らず、「仕組み」で動ける状態を目指しましょう。

最初は「健康のために走らなきゃ」と義務感で始めたランニングが、気づけば走らない日の方がなんだか調子が悪いとか、毎朝コーヒーを淹れながら本を読むという小さな習慣を作ったら、読書が「しなければいけないこと」ではなく「朝のルーティン」になったということもあるでしょう。習慣化は継続のための最強の武器です

④ 仲間の力を借りる

多くの人は、1人では高いモチベーションを長く維持できません。目的を共有できる仲間がいるだけで、継続の力は格段に増します。また、誰かを勇気づけようとする行動は、自分自身をも鼓舞してくれます。

ランニング仲間と「日曜の朝7時に公園集合」を決めたら、雨でも眠くても行くことができるようになったとか、ダイエットの結果を友人を毎日LINEで報告して励ましあったら半年続いたということもあるでしょう。

また、もしあなたがメンバーを率いる立場であれば、リーダー自身のモチベーションがそのままチーム全体に伝わることを意識しておきましょう。

メンバーのモチベーションを高められるリーダーは、リーダー自身のモチベーションが高い傾向があります。逆にモチベーションの低いリーダーがチームを成功に導くことはできません。チームのモチベーションを高めるには、リーダー自身がモチベーションを保ち、目的を明確に示し、それをチーム全体で共有し、メンバーの自律的、自発的な動機を引き出すために環境を整える必要があります。

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なぜ4つのポイントが効くのか?~ モチベーションの正体

モチベーションを引き起こす脳の仕組みという観点から見ると、最も重要な役割を担うのが神経伝達物質のドーパミンです。ドーパミンは「やる気ホルモン」とも呼ばれますが、私たちに「期待する喜び」をもたらし、欲しいものを手に入れようとさせる脳内物質です。

ちょっと難しい話をすると、ドーパミンの主要な脳内経路は4経路ありますが、特に重要なのは次の2つです。

中脳辺縁系経路(Mesolimbic Pathway)は、短期的・感情的な欲望を満たそうとするときに働く回路です。「甘いものが食べたい」「すぐに褒められたい」といった即時的な報酬への反応がここから生まれます。外発的動機や利己的動機と深く関わっています。

中間皮質経路(Mesocortical Pathway)は、長期的な目標に向けて意志の力で努力するときに働く回路です。内発的動機や自律的動機を支えているのはこちらです。

この2つの回路の特性を踏まえると、先ほどの4つのポイントが効く理由が見えてきます。

「本当の目的を問い直す」ことで中間皮質経路が活性化し、「小さな成功体験を積む」ことで中脳辺縁系経路からもドーパミンが継続的に供給されます。「習慣化」はそもそもドーパミンの助けを借りなくても動ける状態を作ることであり、「仲間の存在」は社会的報酬としてドーパミンの分泌を後押しします。

モチベーションを引き起こすドーパミンの働きをもっと詳しく知りたい方は、ドーパミンについて書いたこちらの記事こちらの記事をご覧ください。

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さいごに

モチベーションは、意志の強さや気合いの問題だけではありません。生物学的・心理的・社会的な様々な要素が絡み合った、複雑な心の状態です。だからこそ、「やる気を出せ」と自分を叱咤するだけでは、長くは続きません。

あなたの中には必ず、何かに火をつける「着火剤」が存在します。それは小さな好奇心かもしれないし、誰かへの想いかもしれません。まだ気づいていないだけで、誰もがその発火点を持っています

同時に、「やりたい自分」と「やりたくない自分」が同じ心の中に共存しているのも、あなただけではありません。その葛藤は、弱さではなく、人間である証です。大切なのは、どちらかを無理に消そうとするのではなく、両方の自分をうまく活かす仕組みを作ることです。

この記事が、あなた自身の着火剤を見つけるヒントになり、その火を燃やし続けるヒントになることを願い、今回はこれで失礼いたします。

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