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マッキンゼーの建設レポート紹介:コロナ後起きる事・すべき事

  • 投稿カテゴリー:海外建設
  • 投稿の最終変更日:2021年3月22日
  • Reading time:3 mins read

コロナ後の建設業は、拡張的な事業の統合、建設現場作業の製造業化・デジタル化、サプライチェーンとプロセスの垂直統合、新規参入が進みます

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前回はマッキンゼーの建設関係のレポート「The next normal in construction, June 2020」(建設業の新しい標準、2020年6月)を紹介しました。今回は、「How construction can emerge stronger after coronavirus, May 2020」(コロナ後に建設業がどうやって強く回復できるか、2020年5月)で、コロナによって起きる事、それにどう対応して行くべきかを提起している内容を紹介します。

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How construction can emerge stronger after coronavirus, May 2020」(コロナ後に建設業がどうやって強く回復できるか、2020年5月)によると、

コロナ後、短いスパンで起きる事
● デジタル化の加速:BIM(Building Information Modeling)や4D、5Dシミュレーション
(4Dは3D BIMに時間情報を加えたモデル、5Dは更にコスト情報を加えたモデルです)
● サプライチェーンの再構築:従来の合理性の追求から危機対応の視点を加えた再構築

コロナ後、長いスパンで起きる事
● 拡張的な統合:スケールメリットの獲得。ITや人材、R&D、テクノロジーの統合。
● 垂直統合:不動産建設等での垂直統合の新しいビジネスモデルの台頭。
● 更なる建物のデジタル化とイノベーションへの投資:デジタル化全般。遠隔での進捗管理、工程管理等。
● 現場外での作業の拡大:現場作業中心から組立化へのシフト。プレファブ化等による現場作業の省力化。
● 持続可能性(サステナビリティ)の加速:より健康で環境に優しい生活スタイルへの変化。

以上に対して下記の7つの提案をしています。
1.デジタル化の加速:e-コマース、BIMの拡大
2.リモート化と雇用:現場人員の最小化、人と人の接触の最小化、生産性のバランス最適化への投資
3.リソースの最適化:リソースの透明性を確保する会社がより最適化できる
4.サプライチェーンの強靭化:危機対応できるサプライチェーンの構築
5.資金とリソースの再配分:よい成長が望める分野への資金とリソースの再配分
6.現場外への作業移転の追求:プレファブ化、モジュラー化、建設の工業化(建設業の製造業化)
7.顧客とのより密なコミュニケーション:顧客の志向にも様々な変化が予想される中で、顧客と密接に関わっていく事が重要

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以上、前回から2回に渡って、マッキンゼーの2つのレポートを紹介しました。

上記の7つの提案の多くは一社で実現していく性質のものではなく他社と連携して加速すべきものでしょう。日本でもコロナ発生前から建設分野でのスタートアップ起業や、建設会社とIT系企業・異分野企業との提携等は見受けられ始めているところです。

本文を書いている2020年8月現在、世の中はコロナウイルスが当初目論んでいた様に簡単には収束しない事をひしひしと感じています。ニューノーマル(新しい生活様式)により建設に関する標準・既成概念も新しく塗り替えられていくでしょう。
他の産業では既に見られているような、事業構造、作業フロー、現場/現場外作業の革新的な変化(ブレークスルー、破壊的イノベーション)が、建設業でもいよいよ起きてくるかもしれません。

建設以外の産業では、デジタル化、垂直統合等の破壊的改革を受けて、既に多くの企業が淘汰された産業もあります。建設業だけは蚊帳の外で安全というわけにはいきません。
そのような産業で勝ち残ってきた企業や、スタートアップまたはスタートアップの思考を持つ会社・顧客は、前回紹介したレポート「The next normal in construction, June 2020」で引用があったカテラ社のように革新的な会社、価値観・理念が共感できる会社と仕事をしたいと思うようになるかもしれません。

カテラ社にはソフトバンク社も出資しています。つまり、ソフトバンク社は既に出資を通して建設業にも進出しています。次回はこのカテラ社について紹介します。

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