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変化・変革は、終わりで始まり、始まりで終わる

  • 投稿カテゴリー:Change Management
  • 投稿の最終変更日:2021年12月21日
  • Reading time:5 mins read

変化・変革が始まると、元々あった「状態、物事、やり方」が終わりを告げます。変化・変革が終わりに近づくと、別の新しい「状態、物事、やり方」が始まります。変革は元の状態の終わりと新しい状態の始まりを繋げる移行作業です。

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「変革を始めること」を違う視点から見ると「変革が始まる前の元の状態を終えること」でもあります。
変化は、元々ある期間続いていた状態と、その後新しく続いていく状態を繋ぐ移行状態、「変化」=「移行」であり、変革はそれらを繋ぐ移行作業、「変革」=「移行作業」と言えます。

 

組織コンサルタントのウィリアム・ブリッジス (William Bridges)が1991年著の「Managing Transitions」で変化のプロセスを「Endings ➡ Neutral zone ➡ New beginnings」と紹介しました。

変化は今ある状態の終わりで始まり、新しい状態の始まりで終わるという意識を持っておくことは、変革を成功させるために有益です。目的は、変化する事ではなく、新しい状態に到達しそれを定着する事、このように考えると、新しい状態、たどり着く先を出来るだけ明確にしておかなければ変革は達成できません。「組織を変革しなければならない!」ではなく、「組織を〇〇に変革しなければならない!」という事ですね。

今ある状態から離れるためには否定、驚き、抵抗、イライラ、不安といった感情に対応し、「今の状態から離れる」という意志の共有が必要です。上図は、移行期を経由しなければ新しい状態には進むことはできないという事も示しています。移行期を飛ばして、今ある状態から直接「明日から新しい状態始めます!」ではうまく行かないのです。移行を乗り越えるためには信頼が必要であり、新しい状態への方向を示さなければなりません。

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以前本サイトで、変革は「認知 ➡ 比較 ➡ 支持 ➡ オーナーシップ」のステップを踏んでのみ達成する事を説明しました。
つまり、変革は、終わる事と新しく始まる事を「認知」し、それらを「比較」した上で、新しい状態を「支持」し、「オーナーシップ」を持って移行作業に携わり、元々の状態を終え、新しい状態を開始・定着する事で達成するものとも言えます。
移行作業は変革・チェンジマネジメントのプロセスそのものであり、上図の「移行作業」に、「認知 ➡ 比較 ➡ 支持 ➡ オーナーシップ」のチェンジ・オーナーシップ・プロセスを付け加えると下図のようになります
更に組織改革においては、以前紹介したように、新しい状態を受け入れる企業文化の醸成、新しい状態に必要なキャパシティ(能力)を身につける事が必要で、更には別途紹介しているチェンジマネジメントの一連のプロセスを経る事が必要になりますが、図がぐちゃぐちゃになるので、今これ以上加えるのはやめておきましょう(笑)。

 

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この文章を書いている時点(2020年11月)では日本はコロナウイルス第3波の真っ只中です。
コロナウイルス流行に関しても、コロナ前の状態から次の新しい状態(ニューノーマルと言われていますね)への移行期と捉える事ができます。

 


ただし、コロナ禍=移行期がいつ終わるかは現時点では分かりません。時期は明確に見通せませんが、ワクチンの普及などと共に影響はいずれ収束していき、新しい状態が始まりそして定着していくのでしょう。

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計画された変化・変革でも人は不安を覚えたり、ストレスを感じたり、前の状態に戻りたくなったり抵抗したりします。これは現状バイアスという現状維持を望む人間の自然な反応です。
コロナウイルスの場合は、変化が強制的かつ突然で大規模なので、計画された変化に比べ、更に不安や心配、ストレスが大きくなるのは当然です。
この移行期に不安や寂しさ、恐れを持つのは当然であると、その感情を素直に受けとめる事は変化を乗り切るのにとても大切です。

コロナウイルスは社会に大きなインパクトを与えますが、落ち着いて考えてみれば、コロナ収束後どうなるか予測できない部分がある一方で、多くのことはある程度予測できる事に気が付きます。
全てが変わるわけではありません。むしろその逆で、変わるだろう事がある一方で、収束してしまえば、ほとんどの物事は以前とあまり変わらない状態に戻るだろう事も予測出来ます。

デジタル・IT導入の加速や、産業構造のシフト、住む場所・働き方の選択、コミュニケーション手段の拡大等は変わる事でしょうが、これらは既に起きている事でもあります。
変わらないのは、人間の本質、経済・社会の本質、仕事の本質などです。人間と接する方法、商売の仕方や顧客、環境は変わるかもしれませんが、それぞれの本質的な部分は変わりません。

食べる場所は変わるかもしれませんが、人が食べる総量はあまり変わらないですね。
旅行先の選択や旅先での行動は多少変わるかもしれませんが、旅行したい気持ちはあまり変わらないでしょう。
身体を動かすのが趣味であれば、コロナが収束すれば、前と同じように気持ちよく汗をかきたいでしょう。

人間社会への影響は大きいですが、家や町が破壊される等の物質的な影響はありません。その他の動物や植物、自然環境、物への影響は少ないか無いです。
このように客観的に考えてみれば、コロナの被害・影響に苦しんでいる方々には甚だ失礼で申し訳なく、また私自身も現時点でいつ日本に帰れるのか分からない身でありますが、例えば長年紛争や戦争が続いている地域に比べたら、「先の見通しのつかなさ」はコロナの方が小さいのではないかと思いますし、近年拡大しつつあるスーパー耐性菌(薬や抗生物質が効かない菌)の来たる人類への脅威の方が大きいのではないかとも思います。
ニュースやインターネットなどのメディアはコロナで「変わる事」を強調して、それに心を振り回されてしまう訳ですが、こういう時こそ「変わらない事」に一度目を向けてから対応すると、意外と落ち着いて物事を見る事ができるかもしれません。

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組織の変化も同じです。移行期には不安・心配・拒否といった感情や、落ち着かなさ、快適だった元の状態への回帰願望が伴います。
「今変革を始めなければ取り残されます!」と耳にする事が増え、私も本サイトで危機感を煽っているわけですが(笑)、変革に不安は付き物です。

不安を悪いものとして捉え、そのような感情を攻撃したり、無理に打ち消そうとするのでなく、ごく自然な当り前の感情として受けとめる必要があります。
そのストレスを低減するためには、将来の新しい状態を出来るだけ明確に見えるようにする事、何が変わり、何が変わらないのかを明確にする事です。
先が見えないと人間の不安は高まります。逆に、新しい状態、将来の環境が描けると、落ち着いて、どう対応していくか、今何をすべきかが見えやすくなります。それが見えたら、小さい事から始めていく事ができます。

すぐ変わる事ができる人もいれば長くかかる人もいます。変化に適応する期間には個人差がある事も当然の事として受け止めます。
コロナウイルスが始まったばかりの2020年3月、4月で、既にコロナ禍で生まれた新しいビジネス機会に飛びつき素早く行動を起こした人がいる一方で、コロナの影響の直撃を受け、目の前の対応に精一杯だった人もいると思います。
引越もそうですね。新しい場所に引越し、新しい環境・会社・学校・コミュニティにすぐ馴染める人がいる一方で、最初はドキドキ、不安いっぱいで、慣れるのに時間がかかる人もいます。

組織の変化も同様で、個々の性格に加え、人それぞれの環境、事情があるので、変化に時間がかかる人を急かすのではなく、個々の事情に配慮する事が必要です。

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移行期間は変化のプロセスそのものであり、新しい状態へ準備し始動する期間でもあります。
私も先を見据え、新しい状態へ向けて準備を進めて行きたいと思います。

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