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リーダーシップのレベル・ステージ Level of leadership

  • 投稿カテゴリー:マネジメント
  • 投稿の最終変更日:2022年4月6日
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残念ながら、真のリーダーシップを持つ組織や社会のリーダーはとても少ないですが、それでは、実際あなたやあなたの会社の上司はどの程度のリーダーシップのレベルにあるのでしょうか?今回は、その目安となる3つのモデルを紹介します。

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本サイトでは度々、リーダーやリーダーシップについて紹介してきました。残念ながら、真のリーダーシップを持つ組織や社会のリーダーがとても少ないのが現状だからです。
それでは、実際あなたやあなたの会社の上司はどの程度のリーダーシップのレベルにあるのか?今回は、その目安となり、更に高いレベルのリーダーに比べて何が足りないのか理解を助ける、リーダーシップのステージ(段階)について以下の3つのモデルを紹介します。

1.ジム・コリンズの「レベル5リーダーシップ」
2.ジョン・マックスウェルの「5段階のリーダーシップ」
3.Leadership Development Profileの「7段階のリーダーシップ」

なおこれらはいずれも、リーダーの「タイプ」や「性格」ではなく、リーダーシップの「レベル」「ステージ」で、上位にいくほどリーダーシップの能力が高いことを意味します。

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1.ジム・コリンズの「レベル5リーダーシップ」

リーダーシップのレベル(ステージ)と言えば、何と言ってもアメリカのビジネス・コンサルタントジム・コリンズ(Jim Collins)が2001年著のベストセラー書籍「Good to Great(邦題:ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則)」で紹介した5段階のリーダーシップです。

レベル1 個人的能力に長けた人。その才能、知識、スキル、勤勉さで生産性の高い仕事をします。
レベル2 組織に貢献する人。チームワークに長けていて、組織の目標達成のため、他のメンバーと協力します。
レベル3 有能な管理者。マネジメントスキルに長けていて、組織の目標達成のため、人やリソースを効果的、効率的に利用します。
レベル4 有能なリーダー。明確で説得力のあるビジョンを掲げ、その達成にコミットします。高いレベルのパフォーマンスを引き出す事にも長けています。
レベル5 「謙虚さ」と「意志の強さ・不屈の精神」という矛盾する特質を合わせ持ち、素晴らしい組織を長期に渡り維持します。

ジム・コリンズは、レベル5リーダーとそれ以外のレベルのリーダーは根本的に異なると説明しています。レベル1~4のリーダーは、自分の「エゴ」を満たす事が目的の1つになっている一方で、レベル5リーダーの主眼は、貢献と他人への奉仕にあります。「エゴ」を満たすためでも、ヒーローになるためでもない、その謙虚さが他のレベルのリーダーとは決定的に異なる点で、ややもすると控えめで存在感が感じられないほどです。
一方で存在感抜群のいわゆるカリスマ的なリーダーの多くはレベル4に留まっています。レベル4のリーダーの下では、メンバーは「その人」に付いて行こうとする一方で、レベル5のリーダーシップの下では、メンバーは共通の「理念や目的」を追求しようとするのです。

図:カリスマリーダー(レベル4)とレベル5リーダーの違い

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ジョン・マックスウェルの「5段階のリーダーシップ」(1)

ジョン・マックスウェル(John C. Maxwell)は、リーダーシップ論の権威的存在です。私も彼の書籍を読み、ツイッターもフォローし、勉強させて頂いています。以下、彼が紹介する5段階のリーダーシップです。

レベル1:地位(Position)
最も低いリーダーシップのレベルです。地位そのものは悪いものではありませんが、その地位と権限だけで人を従わせることは、全てにおいて間違っています。メンバーは、レベル1のリーダーに「仕方なく」従います。役職レベルのリーダーに留まっている人は、もしその地位を取り外されると、もはや誰も付いて来ません。

レベル2:許可・相互理解(Permission)
レベル2は関係性に基づくもので、このレベルでは、メンバーはリーダーを認め「自分を導く許可」を与えています。このレベルに到達するために、リーダーは部下を知り、部下と心を通わせることに努めます。相手を価値ある個人として扱うことができるので、信頼が深まり、ポジティブな影響を与えることができます。

レベル3:生産(Production)
レベル3のリーダーは、部下を動機づけ、物事を成し遂げる方法を知っています。そして、物事を成し遂げ、結果を出す事こそ、レベル3の全てです。このレベルのリーダーは、実績によって影響力と信頼性を高めます。

レベル4:人材育成(People Development)
レベル4のリーダーは、できるだけ多くのリーダーを見つけ出し、投資し、その成長を支援します。多くのリーダーを育てれば、より多くの事が実現可能になるからです。リーダーは人の人生に関わり、その関係は一生続くこともあります。

レベル5:頂点、人間性(Pinnacle)
自分の人生を、他人の人生のために捧げようとしない限り、レベル5には到達できません。レベル5のリーダーは、レベル5の組織を育成します。下位のレベルのリーダーでは生み出せない機会を生み出します。人々は、リーダーが大切に思っているものに引かれ、動機づけられます。

マックスウェルは、これらの5つのリーダーシップは互いに補完しあうと言います。つまり、レベル3のリーダーは、レベル3以下の能力を持ち合わせ、次のレベル4に向けて高めていくことができるのです。なお、マックスウェルによると、最高レベルのリーダーは全体の僅か1%に過ぎません。

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7段階のリーダーシップ(Leadership Development Profile)(2)

最後に紹介するのは、コンサルタントのHarthill Consultingの創業者デヴィッド・ルーク(David Rooke)と、同じくコンサルタントのGlobal Leadership Associatesの創業者であり、ボストンカレッジのビジネススクール教授のウィリアム・R・トーバート(William R. Torbert)が紹介した「Leadership Development Profile」というモデルで、リーダーシップを7段階に分類しています。

2人はリーダーシップは指針というよりは、その人の人格であり、行動のロジック(Action Logics)だと説明します。しかし、一方で、ほとんどのリーダーは自分の行動のロジックを変えようとするどころか、理解しようともしません。

この7段階のリーダーシップについて詳細に見ていきましょう。

① 日和見主義者(オポチュニスト:Opportunist)
最も低いレベルのリーダーです。長期的な軸がなく、目先のことに集中し、言動に一貫性がありません。批判的な意見を受け入れられず、人を利用し、失敗や成功できないのを他人のせいにする一方、他人のアイデアや成果は横取りします。自分を誇大に見せる事に注力し、自分の理論に従って、他人を罰したり評価します。自らの非倫理的な行動を競争社会のせいにして正当化し、「自分が勝つ、自分が負けない」事が行動のベースです。

② 外交家(ディプロマット:Diplomat)
ルーチンや慣習にこだわり、グループの基準に合わせて働き、他人との対立を避け、外的環境や他人をコントロールするより、自分の行動をそれに合わせる事に努めます。
お気に入りのフレーズや決まり文句をよく使います。グループに対する忠誠心があり、親切で協力的である一方、面子を保つこと、調和が最も大切なので、他人を傷つけることは罪だと考え、人や自分が恥をかく結果になるような事は避けます。地位を守ろうとして問題に向き合わない姿勢が、最終的にその地位から外される結果をもたらします。

③ 専門家(エクスパート:Expert)
日和見主義者が「自分の都合の良いように周囲をコントロール」し、外交家が「自分を周囲に合わせてコントロール」するのに対して、専門家はその専門的な知識や経験、理論でコントロールします。
「問題解決」に関心があり、その限られた専門範囲の中で原因を探るのが得意です。自身の専門性に高いプライドを持ち、専門家であると自分が認めた人からしかフィードバックを受けず、それ以外の人からのフィードバックは価値がないと判断したり、批判的に捉えます。「効果」よりも「効率」を重んじる一方、しばしば完璧主義者で、重箱の隅を楊枝でつつくような事も行います。
専門分野での探究の姿勢は素晴らしいのですが、マネジメントやリーダーという点では、「自分が正しい」というプライドが、致命的な欠陥となります。また、個人的な倫理観は持っているものの、独断的になる傾向もあります。
日本企業でも、この専門家レベルのリーダー(経営者)はとても多いと思います。

④ 達成者(アチーバー:Achiever)
目標の達成を目指すリーダーは、将来的、長期的なビジョンを持ちます。自分の行動を他人がどう解釈しているかを理解したがり、行動のフィードバックを歓迎します。目標を達成するため、統合的なアプローチが必要な事、人間関係に対する感受性と、他者にポジティブな影響を与える能力が必要であることを理解しています。短期目標と長期目標のバランスをとりながら、新しい戦略を実行するためにチームを確実にリードすることができます。一方で、既存の枠組みから外れた考え方や、未知なる領域、不明瞭なゴールへの対応が出来ません。

⑤ 個人主義者(インディビジュアリスト:Individualist)
個人主義者は洞察力に優れています。組織の原則や価値観と実際の行動の間にある矛盾を理解しており、その矛盾を克服し、より高いレベルの達成を目指そうとします。
個人主義者は、異なる行動論理を持つ人たちとのコミュニケーションに長けている一方で、欠点は、一匹オオカミ、独自路線を行く可能性があることです。つまり、周囲の規範や物事を否定し、自分勝手な行動を取り始める可能性があります。
また、何が起こっているかを分析する事に没頭してしまい、意思決定出来なくなってしまう事もあります。

⑥ 戦略家(ストラテジスト:Strategist)
戦略家が、個人主義者と異なる点は、組織の制約や前提に着目し、それらを議論可能、変革可能なものとして扱う点です。戦略家は、行動や決定が組織に与える2次的な影響を理解するのに長けています。
組織や社会の変革は反復的なプロセスで、そのためにはリーダーの自覚と細心の注意が必要な事を理解しています。異なる行動論理の中で共有されるビジョン、つまり個人と組織の両方の変革を促すビジョンを創り出すことにも長けており、変化に対する人の抵抗を理解し、人の本能的な欲求をうまく満たすことができます。
組織を横断するような変革の取り組みを成功させるには、この戦略家レベルのリーダーが必要です。

⑦ 錬金術師(アルケミスト:Alchemist)
最高レベルにあるこのリーダーは、社会のどのレベルにある人たちとも対等に話し、公平に接する事ができます。
相反するアイデアを歓迎し、常に複数の視点を持ち、問題に対して火消しのような対応より、長期的な視点で物事を判断し実行します。
とても高い倫理性を持っており、厳しいほどに現実と向き合います。また人々の心に訴えかける能力があります。このレベルのリーダーにあるのは、もはや細かなスキルではなく、規律であり、徹底したコミットメントです。

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最後に

今回3つのリーダーシップのレベル・ステージについて紹介しましたが、細部に差異はあるものの、全体としては共通する考えが見て取れますね。

2014年デヴィッド・ルークによると(3)、4,809人のリーダーのリーダーシップの分布は次のようになっています。
また()内は、2005年のデータです(2)

① 日和見主義者(オポチュニストOpportunist) –  0% (5%)
② 外交家(ディプロマット:Diplomat)-  0.1% (12%)
③ 専門家(エクスパート:Expert)-  13% (38%)
④ 達成者(アチーバー:Achiever)-  55% (30%)
⑤ 個人主義者(インディビジュアリスト:Individualist)-  26% (10%)
⑥ 戦略家(ストラテジスト:Strategist)-  5% (4%)
⑦ 錬金術師(アルケミスト:Alchemist)-  0.3% (1%)

7つのリーダーシップの中で最も割合が多いのが、専門家、達成者、個人主義者の中間レベルです。最高レベルのリーダーシップはとても少ないですね。ただし、2005年と2014年のデータを比較すると、リーダーシップのレベルは全体としては上がってきているという事でしょうか。
さて、日本の組織のリーダー達はどのような分布になるでしょうか?

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参考文献
(1) John C. Maxwell, “The 5 Levels of Leadership: Proven Steps to Maximize Your Potential“, Center Street, 2011/4.
(2) David Rooke, William R. Torbert, “Seven Transformations of Leadership”, harvard business review , 2005/4.
(3) Davis Rooke, “Leadership Transformation (YouTube)“, 2014/11.

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