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変革の書籍紹介:フルエンゲージメントの力 Power of Full Engagement

  • 投稿カテゴリー:Change Management
  • 投稿の最終変更日:2022年2月2日
  • Reading time:7 mins read

私たちはパフォーマンスやエンゲージメントを上げるため、つい様々な事を管理しようとしますが、何よりも「エネルギーをマネージする」のが重要です。そのエネルギーには「身体、感情、思考、信念」の4種類あり、この4つのエネルギーを、一定の振幅をもつサイクルで発揮・回復を繰り返す「ポジティブなエネルギーのルーチン」を築く事が大切です。

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はじめに

古いデータになりますが、おそらく今もさほど変わらないでしょう。ギャラップ社の2001年の調査によると、勤務先の仕事にエンゲージできている従業員はわずか30%で、55%はエンゲージしておらず、さらに19%はディスエンゲージ(積極的に仕事から距離をおく)さえしています。このディスエンゲージしている19%の人たちは単に仕事に不満があるだけでなく、そのネガティブな感情を同僚など組織内に拡散します。
同社の調査によると、さらに悪いことに、従業員が組織に長く留まれば留まるほど、従業員のエンゲージメントは徐々に低下していきます。

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今回紹介する本は「The Power of Full Engagement: Managing Energy, Not Time, is the Key to High Performance and Personal Renewal(邦訳:メンタル・タフネス 成功と幸せのための4つのエネルギー管理術)」です。
著者の1人のジム・レーヤー(Jim Loehr)は、多くの世界的スポーツプレーヤーをサポートしてきた著名なスポーツ心理学者であると共に、その知見を活かし、数多くの個人や組織のパフォーマンスを上げるサポートしてきたHuman Performance Instituteの創始者でもあります。
もう1人の著者のトニー・シュワルツ(Tony Schwartz)は、アメリカのジャーナリストであり、ビジネス書作家です。

The Power of Full Engagement: Managing Energy, Not Time, Is the Key to High Performance and Personal Renewal

私は、原書が出たすぐ後に買って読んだので、初めて読んだのはもう20年近く前になります。当時私はアメリカで働いていて、ビジネス本を見つけては原書で読んだりオーディオブックで聞いたりしていましたが、本書はその中でもお気に入りで、その後何度か読み返しています。
なお、日本語版は読んでいないため、訳が一致しない言葉があるかもしれませんが、その点はご了承下さい。
ところで、日本語翻訳本のタイトルをよく批判する私ですが(笑)、この本の日本語タイトルにある「メンタル・タフネス」は本書の一面のみを不用意に強調する、あまり良くないタイトルだと感じます。。。

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パフォーマンスを上げるには「時間」ではなく「エネルギー」を管理する

本書の最大のポイントは、高いパフォーマンスを実現するには、「時間ではなく、エネルギーをマネージする」という点にあります。
そして、マネージするのは次の4種類のエネルギーです。

1.身体のエネルギー(Physical energy)
2.感情のエネルギー(Emotional energy)
3.思考のエネルギー(Mental energy)
4.信念のエネルギー(Spiritual energy)

例えば、肉体を鍛え上げるには、限界を少し越えたところまでプッシュして、その後回復期間を設けますね。筋肉は回復期間により大きくなります。そして回復後更に限界を少し越えて追い込み、またリカバリーする。。という作業を繰り返して少しづつ強くなっていきます。
4種類のエネルギーのキャパシティを上げるのも同様です。限界まで負荷をかけて、その後フレッシュな状態に戻して再度チャレンジを繰り返して強くしていきます。

著者のジム・レーヤーは、数多くのプレーヤーを測定し分析する事で、高いパフォーマンスを維持するプレーヤーはこれらのエネルギーのコントロールが卓越していると気づきます。

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アスリートはその時間の9割をトレーニングに使い、残り1割の時間を使って結果を出すためにプレイします。
練習では、自分の限界を越える所まで追い込みリカバリーする、これを日々一定のリズムで繰り返す事をルーチン化して基礎的能力を強化していきます。
シーズン前には最高のパフォーマンスを発揮できるように準備し、シーズンが終わるとリフレッシュすると共に、次のシーズンに更に高いパフォーマンスができるように心身を整えます。
プレーヤーは、例えば、1つのテニスの試合の中でも、セットの合間のみならず、1つ1つのポイントの間にも同じルーチンを繰り返すことで、ミスや納得のいかない判定への感情を引きずることなく、気持ちを切り替えて次に臨めます。
つまり、異なる複数の時間軸において、エネルギーを発揮する所とリカバリーする所、オン・オフの切り替えのエネルギーの振幅のサイクルが出来ていて、それが習慣化されていることで、無駄なエネルギーを費やすことなく半ば自動的に高いパフォーマンスを発揮し継続するプロセスが出来ているのです。
もともとプレイヤーたちは技術的には高いレベルを持ち合わせています。ジムは、技術的な面には一切関与せず、プレーヤーのエネルギーのコントロールの仕方にフォーカスしました。

一方で私たちの多くは毎日が会社の仕事が中心の生活で、年数回、数日から一週間程度の休みがあるものの、その休みの間でさえメール対応に追われたり、単にグダグダ過ごしてこれらのエネルギーを回復できなかったり、メリハリのない直線的なエネルギーの使い方をします。しかも、そのエネルギーも全体的にネガティブな種類が多いです。

まるで、ゴールがどこにあるのか分からないマラソンを真っ暗闇の中走っているようです。著者はマラソンではなくスプリントを繰り返すようなエネルギーの使い方をしなければならないと言います。
本書の題名にある「フルエンゲージメント:Full Engagement」という言葉を聞くと、100%のエンゲージを常に持続するような印象を持たれるかもしれませんが、そうではありません。著者は「オシレーション(Oscillation)」という単語を使って説明していますが、キャパシティは使い過ぎても使われ過ぎなくてもだめで、「一定の振幅、周波、サイクル」で強弱を繰り返すことで、長期的に高いパフォーマンスを発揮できるです。

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4種類のエネルギー

以下、その4種類のエネルギーについて見ていきましょう。

1.身体のエネルギー(Physical energy)

身体のエネルギーの素となるのは、強さ、耐久力、柔軟性、回復力(レジリエンス)などです。
身体のエネルギーは、肉体労働する人だけでなく、オフィスワークでほとんど座って作業するような人にも必要な、基本的なエネルギー源である一方、最も軽視されているエネルギーでもあります
身体のエネルギーを高めるために必要なものとして、食事、睡眠、運動、休養は、皆さんが容易に想像できるものだと思いますが、他に水分(毎日2リットルの水を飲む)、呼吸方法(身体のエネルギーは酸素から作られます。深く一定のリズムの呼吸は身体のエネルギーのみでなく他の全てのエネルギーの元になります)も重要です。

2.感情のエネルギー(Emotional energy)

ポジティブな感情のエネルギーの素となるのは、自信、自己統制力、対人関係スキル、エンパシー(共感)、セルフコンパッション(自分自身への優しさ)などです。
ポジティブな感情のエネルギーをもたらすのは、純粋な楽しさ、喜び、チャレンジ、冒険などです。そのために行う活動は、スポーツ、芸術鑑賞、読書やその他の趣味、単に1人で静かな時間を過ごすなど、人それぞれでしょう。
対人関係で言えば、ポジティブな感情をもたらす良好な関係にはギブアンドテイクが必要で、まず相手の価値を認め、相手の話を聴く事で、相手もあなたの価値を認め話を聴いてくれるようになります。

筆者ジム・レーヤーは、彼のクライアントに心の底から楽しさや喜びを持って何かをおこなうことがあるか?と聞くと多くの場合「ほとんどない」という答えが返ってきます。
みなさんはいかがでしょうか?何も思いつかなければ、過去に好きだった事、やろうと思っていた事をもう一度やってみるなどして、それを日常のルーチンの中に組み込む事が、感情のエネルギーのサイクルを築くために必要です。

最近取り上げられる事の多い「エモーショナル・インテリジェンス」も本書で既に言及しており、単純に「高くポジティブなエネルギーとフルエンゲージメントの達成のため、感情をうまくマネージすること」と説明しています。
怒りや怖れなどのネガティブな感情は、大量のエネルギーを浪費します。それにもかかわらず、ネガティブな感情で従業員をコントロールしようとする組織の何と多い事かと思います。組織はその従業員に対して、自主性を持たせて、自信に繋げ、成長、挑戦、インスピレーションなどのポジティブなエネルギーで業務に望ませる事が必要です。

3.思考のエネルギー(Mental energy)

思考のエネルギーの素になるのは、心の準備、可視化、自分との対話、時間管理、創造性などです。
先の感情のエネルギー(Emotional energy)と思考のエネルギー(Mental energy)の違いは、感情のエネルギーがある出来事や経験に対して生まれたり表現したりする感情である一方、思考のエネルギーは経験や情報をどう捉えるかの判断や集中力である点です。
身体のエネルギーも含めたこの3つのエネルギーは相互に影響し合います。例えば運動は、身体だけでなく、感情や思考にもプラスの影響を与えますね。

感情と同様、思考にも大量のエネルギーが消費されます。休みなく働かせ続ければ頭も回らなくなりますが、それだけでなく、創造的な思考は、むしろリラックスしている間に生まれる事が多く、普段仕事で使うような思考回路からあえて離れる事自体が、良いアイデアを生み出すのに必要なのです。

4.信念のエネルギー(Spiritual energy)

信念のエネルギーは、他の3つのエネルギーが相互に影響し合うのとは異なり、それぞれのエネルギーを発動させる動機、モチベーション、方向性となる核となるエネルギーです。
これは、自己利益を超えた価値観や個人の目的と結びつくもので、その素になるのは、勇気、情熱、統合性、誠実さなどです。このエネルギーも他と同様に、定期的に向かい合う必要があります。定期的に向き合って、自己と合致することを確認し、コミットメントを新たに、エネルギーを強めてパフォーマンスを持続できるのです。

私たちは「感情」と「思考」のエネルギーを継続的に酷使している一方、「身体」と「信念」のエネルギーをあまり利用していません。特に信念のエネルギーは、他の3つのエネルギーの方向を定める極めて重要なエネルギーであるにも関わらず、ほとんどの人や組織が目の前の課題に忙殺され、向き合う事をしないものでもあります。信念のエネルギーとは、「価値観」であり、「目的(パーパス)」です。
人や組織が変わるためには、この4つのエネルギーのうち、まず信念のエネルギーに向き合いなおす必要があります。価値観、目的と向き合う所から始め、それがその他のエネルギーの方向を修正し、変化できるのです。

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最後に

今回、高いパフォーマンスを実現するには、「時間ではなく、エネルギーをマネージする」事、そのエネルギーには4つの種類があり、その4つのエネルギーを一定の振幅をもつサイクルで発揮・回復を繰り返す「ポジティブなエネルギーのルーチン」を築く事が重要であると紹介しました。

ここまでが本書の前半部(パート1)の紹介になります。実は後半部(パート2)で紹介される、「信念のエネルギー」=「目的(パーパス)」を仕事とプライベートの両面で定義する事、自分を欺くことなく現実と向き合う事もとても重要なので、それについては次回紹介しましょう。

The Power of Full Engagement: Managing Energy, Not Time, Is the Key to High Performance and Personal Renewal

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