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リベレイティング・ストラクチャーで会議や打合を楽しくする

  • 投稿カテゴリー:Change Management
  • 投稿の最終変更日:2021年8月31日
  • Reading time:6 mins read

会議、委員会、プレゼン、報告会、ブレインストーミング、オープンディスカッション、、、従来からのスタイルのミーティングの多くは、本来あるべき目的を達成していません。形式的すぎて自由がないか、緩すぎてまとまりがないからです。参加者を解放し、本来あるべき会話を取り戻すリベレイティング・ストラクチャーを紹介します。

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リベレイティング・ストラクチャー(LS)とは?

今日は、キース・マクキャンドレス(Keith McCandless)と、ヘンリー・リプマノビッチ(Henri Lipmanowicz)の2人が開発したリベレイティング・ストラクチャー(Liberating structure:LS)を紹介します。日本語訳すると「解放する仕組み」や「自由にする仕組み」でしょうか。

開発した2人は、以下の様な、ほとんどの組織で様々な場面において使われる会議や打合せのスタイルは機能していないと指摘します。

  • プレゼンテーション
  • オープンなディスカッション
  • 管理されたディスカッション(会議、委員会など)
  • 報告会(レポート)
  • ブレインストーミング

会議や打合せのスタイルは、会話や対話、そして人と人が一緒に取り組む基盤をなす、根源的な仕組みにも関わらず、形式的すぎて自由がない(プレゼン、報告会、会議、委員会)か、緩すぎてまとまりがなく(オープンディスカッション、ブレインストーミング)、参加者が自由かつ創造的に関与することができません。
会議や打合せは、あまりにルーチン化していて、特に深く考える事もなく惰性で繰り返し、本来あるべき目的を満たすようには機能していません。また、完全に硬直化しているため、改善する事も容易ではありません。
参加者には、他人の話は話半分で聞き流し、自分が話すタイミングを争い、考える事と聞く事を同時に進め、考えながら話すことが求められます。
参加者の多くは、話す機会が与えられず、排除されているように感じ、欲求不満やストレスが溜まります。そのような場は、良いアイデアの芽が出て花開くためのスペースを提供することができません。

はたして、皆さんの中でこのような経験をした事がない人はいるでしょうか?

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開発者の2人は、目的のない会議、うわの空で眺めるプレゼン、混沌としたブレインストームなどの多くが、参加者のうちごく一部の人によって支配されていることに気づきました。
一部の人しか貢献していないため、サイレントマジョリティからの創造的な視点やアイデアは失われ、その結果、新しい解決策にはたどり着かず、いつも堂々巡りの議論になります。
2人は複雑系科学(Complexity Science)の原理を応用して、その問題を解決するためリベレイティング・ストラクチャー(LS)を開発しました。

図:ごく一部の参加者によって支配されている会議

多くのリーダー(または教育者や管理者)たちの問題点は、学んだ事を実践しない事です。
リベレイティング・ストラクチャー(LS)は誰もが簡単に学んで行う事ができます。そして、実際に行い、自分たちがどれだけうまく機能しているか発見する事で、徐々に自信を得て、その他の人たちにも広げていけます。

以下の表が、組織を解き放ち自由にするため、2人が開発したリベレイティング・ストラクチャー(LS)の33のアイデアのリストです。

表:リベレイティング・ストラクチャー(LS)の33のアイデアリスト
retrieved from “Liberating Structures Menu“, Keith McCandless & Henri Lipmanowicz

 

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レベレイティング・ストラクチャー(LS)の事例

この33のリストの中から2つ取り上げ、それぞれどのような方法なのかを見てみましょう。

【LS事例:その1】1-2-4-All(ワン・ツー・フォー・オール)

「1-2-4-All」は、最も簡単かつ基本的なLSで、人数に関わらず多くの場面で使う事ができます。
以下、そのステップです。
(1)質問や課題、問いかけに対して、まず自分1人で考え、自分の意見を1~2分で書き留めます。
(2)次に2人1組になって、2~5分程度で、それぞれのアイデアを共有し、比較、改善、展開します。
(4)更にその2人1組のペアが2組集まり合計4人になって、それぞれのペアのアイデアを共有し、さらに発展させます。これも2~5分程度です。
(All)最後のステップです。グループ全体で重要なアイデアや質問を共有します。この時、各4人組はいちいち話し合いの過程を全体に報告する必要はありません。グループ全体の結論やアクションは、そこから出てきたアイデアに基づいて決められます。4人1組の意見を集めパズルのように繋げていきます。
ここまでの全てが15分以内です。もしそれより長くなるようなら、1つのサイクルを20分、30分と長くするのではなく、短いサイクルをもう1回繰り返します。または最初のサイクルを「1-2-4-All」で回して、次に別のLSの方法を使います。

「1-2-4-All」の利点は、参加者みんなに等しく意見する機会がある事です。また、少数の人たちが場の議論を独占する事を防ぎます。権限がある人や声の大きい人が場をコントロールできるのはせいぜい(4)の段階からです。また参加者は、勇気を出して手を挙げて全員の前で意見を述べる必要もなくなります。

図:「1-2-4-All」の手順イメージ図

写真:「1-2-4-All」の2人1組のステップ
retrieved from “Liberating Structures 1-2-4-ALL“, Keith McCandless & Henri Lipmanowicz

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【LS事例:その2】TRIZ(トゥリーズ)

組織が変われない一因として、組織に存在する現状を維持するためのタブーが存在し、内部の人間ではそれを明らかにして議論するのができない事が挙げられます。
TRIZ(トゥリーズ)は、そのようなタブーでも安全に話し合える環境をつくります。必要なのは1グループ当たり4~7脚の椅子と筆記用事で、机は必要であれば小さなものを用意します。グループ数に制限はありません。

TRIZ(トゥリーズ)では次の3段階の質問に取り組みます。

質問1.組織の戦略や目的に対して、想像しうる最悪の結果を確実に実現するために、あなたができるすべての事をリスト化します。
質問2.そのリストを項目ごとに調べ、「いま行っている事で、この項目と似たような事や近い事はありますか?」を問います。この2番目のリストを作る際には、客観的かつ正直になる必要があります。
質問3.質問2のリストの項目を調べる事で、何が望ましくない結果を生み出すのか明らかになりました。では、それを阻止するため、最初のステップとして何をしますか?

以下が作業ステップです。
(0) まずグループで話し合い、5分で、組織の最も望ましくない結果を決めます。
(1) 次に各グループは先に紹介した「1-2-4-All」を使って、その最も望ましくない結果を確実に達成するために実行すべき事、つまり上記の質問1に対する答えのリストを作ります。これに10分です。
(2) 各グループは再度「1-2-4-All」を使用して、質問2に対する答えのリストを作成します。これも10分です。
(3) 各グループは再度「1-2-4-All」を使用して、更に質問3に対する答えのリストを作成します。これも10分です。

TRIZは「目的達成のために、何をやめなければならないのか」という、とても勇気のいる会話を、笑いや楽しさをもって誘発し、タブーに対して、安全に会話の土俵に上げるための機会をもたらします。

※ なお、このLSのTRIZは、旧ソ連で生まれた「発明的問題解決理論」のTRIZ(トゥリーズ)の一部を参照し応用したものです。

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リベレイティング・ストラクチャー(LS)の10の原則

リベレイティング・ストラクチャー(LS)は、参加者全員の積極的な関与を引き出し、議論を活気づけます。
多くの組織は、組織内の人たちがより生産的に活動できる事を望んではいるものの、その方法が分かっていません。下の表は、そのために組織がすべき原則で、表の右側が組織がしてはいけない事(Must Not Do’s)で、左側がすべき事(Must Do’s)のリストです。LSを使用すると、この原則に基づき行動し始めるためのハードルが下がります。
別の見方をすると、表の右側が変われない組織の特徴で、左側が環境の変化などに応じて自ら変わっていける組織の特徴とも言えます。

表:リベレイティング・ストラクチャー(LS)の10の原則
adapted from “Liberating Structures – Principals“, Keith McCandless & Henri Lipmanowicz

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最後に

このリベレイティング・ストラクチャー(LS)、既に日本でも紹介されていますので、もっと知りたい方は下記ご参照下さい。

1.「小さな工夫でコミュニケーションの質を高めよう」と題したブックレットが、「データに基づき地域づくりによる介護予防策を推進するための研究」の一環として、熊本大学政策創造研究教育センターの河村洋子教授(2015年当時)によって、作成されています。LSの33の方法のうち4つを取り上げ、実例も紹介しています。こちらの「日本老年学的評価研究」のホームページの一番下のリンクからPDFをダウンロードできますので、是非ご覧下さい。

2.リベレイティング・ストラクチャーの29の事例を紹介した「図解 組織を変える ファシリテーターの道具箱」という本が2020年10月に発刊されています。更に多くのLSを日本語で知りたい方には良いかと思います。

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