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オケレ・シティ(Okere City):ウガンダのコミュニティ・ベースド・オーガニゼーション(CBO)

  • 投稿カテゴリー:Social Change
  • 投稿の最終変更日:2022年5月17日
  • Reading time:8 mins read

オジョークは国際的な慈善団体やNGOのプロジェクトが失敗するのを目の当たりにしてきました。コミュニティの人たちが自分たちの将来について決定に関与できていなかったからです。オジョークは故郷の村で住民たちと自らリスクと責任を負い、信念を持って自らの手でコミュニティを開発するプロジェクトを始めます。

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はじめに(1)(2)(3)

オジョーク・オケロ(Ojok Okello)は、1986年、生後6か月の時、ウガンダ政府と反政府武装組織の国民抵抗軍(National Resistance Army)との内戦(ウガンダ・ブッシュ戦争)で父親を失いました。その後、母親はオジョークを連れて北ウガンダの故郷の村Okere Mom-Kokを離れました。

政局が安定し、成人となったオジョークはその30年後にようやく村を再び訪れます。オジョークは、親戚たちに会い、自分が寝泊まりできる小さな家を建てて、首都であるカンパラに仕事に戻るつもりでした。
しかし、村は長年に渡る内戦から立ち直っておらず、荒廃していました。衛生的な飲み水は4キロ先から運ばなければならないため、村では身近な非衛生的な水を利用した感染症も問題になっていました。

オジョークが小さな家を建てると近くの子供たちが遊びにやってきます。
「学校には行っているの?」と聞くと「ううん」という答えが返ってきます。
親たちに聞いてみると、「村には学校がないから」という答えが返ってきます。

オジョークは家に保育園を設けました。児童は最初8人でしたが、瞬く間に多くの親たちが関心を示します。
オジョークと親たちは幼児教育センター(Early Childhood Development Center)を建設し、受け入れられる児童数を増やします。
親たちも教育を受けたい。地区の成人の72%が基本的な教育さえ受けていませんでした。そこで、成人教育センター(Adult Education Center)も設立します。
週に1回の買い物の機会しかなく不便だった村にはスーパーマーケットが建てられます。日常品の買い物が毎日身近な所で可能になるだけでなく、地元の商品を売買可能にすることで地域の経済を活性化し、また、みんなが集うスペースにもなりました
こうして、4,000人のコミュニティで、そのメンバーによる自らのコミュニティの開発が広がっていきます。

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慈善団体やNGOの失敗

オジョークはロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (London School of Economics and Political Science)の開発マネジメントの修士課程を終えて、ウガンダ最大のマケレレ大学で農村開発のトレーニングを受けました。
彼には国際的な慈善団体やNGOで働いた経験がありますが、それらのプロジェクトが失敗するのを目の当たりにしてきました。プロジェクトが失敗したのは「コミュニティの人たちが自分たちの将来についての決定に関与していなかったからだ」と彼は言います。
慈善団体やNGOは、住民たちを「支援の受け手」としか見ていませんでした。また、外部の専門家たちは住民たちを意思決定の場に入れず、自ら問題の解決策を作り上げるのに忙しくしていました。
ある時、農業支援者がバナナの苗木を持ってきました。しかし、季節が違ったため植えられず、住民たちはその苗木で何もする事ができませんでした。
「なぜ住民の意見を聞かないのでしょうか?」
彼は言います。「プロジェクトを一部の先進国の人たちの言いなりにはしたくないんです。パートナー達とはビジネスの話をしたい。自分たちの運命と未来を決めるのは自分たちだ。」
本当に必要なのは一方的な支援ではなく、信頼とコラボレーションでした。

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オケレ・シティ(Okere City)

オケレ・シティ(Okere City)プロジェクトは2019年1月にスタートしました。
200ヘクタールの敷地には、今では、学校、保健所、村の銀行、映画館、教会、ナイトクラブを兼ねたコミュニティホールがあります。電気は、この地域では珍しい太陽エネルギーで発電され、誰でも利用することができます。新しく井戸が掘られ、きれいな水が容易に利用できるようになり、多発していた感染症に苦しまされる事は減りました。
オケレ・シティは、オトゥケ県地方自治局のCBO(Community Based Organization)として登録されています。その取り組みは、地域の実際のニーズによって推進され、コミュニティのメンバーが中心となって活動を行います。オケレ・シティ・プロジェクトは、慈善事業ではなく、社会的企業として設立されており、自ら資金を調達できるようにし、利益を生み出して還元し、地域の持続可能な成長を目指します。

例えば、オケレでは2020年までの20年間で80%のシアの木が失われました。炭にして調理用の燃料にするため大量に伐採されたからです(4)。またその実であるシアナッツの9割は安い値段で仲買人に売られ、残りの1割は、地元で「ムーヤオ」と呼ばれる食用油に使われ、家庭で食べたり、地元のマーケットで売られたりしていました。
女性ならご存じの方も多いかと思いますが、シアナッツから作られるシアバターは、肌や髪に良い美容成分を豊富に含み、天然・有機化粧品に利用されており、世界的に需要が高まっています。Global Market Insightsのデータによると、現在の世界のシアバター市場は11億2000万米ドルで、2025年には29億米ドルを超えると予想されています(4)

オジョークたちは、シアの木が貴重な資源であることに気が付きます。シアの木を守り、シアバターを生産すれば高い値段で売ることができるのです。
そのための最も重要な課題は、シアナッツが食用だけでなく、さまざまな用途に使えること、シアの木の価値を地元の人々に知ってもらうことでした。住民たちは、この木を消耗品としてではなく、大切にするようになります。現在、女性たちはシアバターオイルの販売から収入を得ています。

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オケレ・シティ(Okere City)の成果

以下、オケレ・シティの年次報告書(5)(6)(7)からの情報を主に、2019年の設立から2021年までのプロジェクトの成果を紹介します。

2019年(5)
  • オケレ・シティ(Okere City)を設立。
  • 幼児教育センター(Early Childhood Development Center)を開始。40人の幼児(3~6歳)を受け入れますが、年末には120年に膨れ上がります。学校はコミュニティで運営し、保護者は学校建設に必要な労働力を提供したり材料の現物支給でサポートするほか、授業料を現金や穀物で払います。
  • 伐採により失われた緑を取り戻すため、10,000本のユーカリを植樹。
  • スーパーマーケット&ハブを設立。日常品の買い物を容易にしたほか、地元経済を活性化し、人々が集う場所にもなりました。2020年からのコロナウイルスのロックダウンの際は、現金が不足した人々に食品を信用販売(代金後払い)して助けました。
  • オケレ投資貯蓄貸付組合(Investment Village Saving and Loan Association (VSLA))を設立。コミュニティが資金を出し合って、融資が必要なメンバーに提供することで、事業を始める手助けをします。また、ビジネス開発トレーニングによって、ビジネスプランの作成、マーケティング、売上や収益性など金融リテラシーの向上を支援します。
  • 新たに削孔し、遠くまで水汲みに行かなくても衛生的な水が手に入るようになりました。
2020年(6)
  • オケレ・シアバターの開発、オケレ・シア協同組合の設立。地域住民(多くが女性)が集まり、シアの木の保護運動を展開し、シアナッツから作られるシアバターの販売により収益を上げ、それを活用できるようにすることを目的としています。
  • オケレ・ボクシングクラブの設立。若者たちに目標や夢を与え、努力し実現する場を提供したり、地域の人々が集う活気ある空間を提供しています。
  • 村の若者20人に木工と建具の実践的な研修プログラムを開始しました。これらの若者の中には、日中の時間を持て余しアルコールや薬物に走るものもいましたが、1年後、そのうち13人は、竹や地元で取れた材料を使って家や家具を作るサステイナブルな建築会社ケオケア(Keo Care)で大工として働くようになりました。
  • オケレ・コミュニティ・ヘルスセンターの設立。村の58%の世帯にHIV/AIDSの家族がおり、農村住民の85%以上が過去12ヶ月間に下痢、赤痢、ビルハルジアなどの水系伝染病に罹ったことがあります。これらの病気に対する基礎的な医療提供を行います。突発的な病気のため支払いに対応できない場合は、次の収穫の売上でお金ができてから支払うことも可能です。
2021年(7)
  • オケレ・リーダーシップ・ラボの設立。オケレにおける新しいタイプのコミュニティのリーダーを育成するための活動であり、コンフリクトマネジメント(紛争管理)、地区開発モデルなども学びます。
  • オケレ・ビレッジ・バンク。オケレシティが運営するソーシャルビジネスの金融部門はオケレ・ビレッジ・バンクに発展し、2021年には、理髪店、農産物販売店、農場、携帯電話ショップ、VSLA活動、スーパーマーケットの6つのソーシャルビジネスに合計11,000米ドルを投資しました。この6つのビジネスは、2,000人の顧客に商品とサービスを提供し、また、10名の直接雇用を生み出してます。
  • オケレ・シアバターは2020年から売上を大きく伸ばし、2021年の売上高は35,000ドル、毎月1,000ドルの純利益をあげています。オケレ・シア協同組合を通して120人のコミュニティメンバーが、付加価値の創出、マーケティング、コミュニケーションスキルなどのトレーニングを受けています。
  • 女性10人を6カ月間のファッション・デザイン研修に参加させる投資を行いました。トレーニング後、10人の女性たちは全員、オケレ・シティにあるRISE-UPファッション・ハブで働くことになりました。このファッションハブは現在、地元の学校の制服を生産しているほか、地元のコミュニティの人たちに販売する洋服も作っています。
  • 支援により女子寮が建てられました。建設にあたっては、環境破壊の懸念がありました。壁となるレンガを作るには薪が必要になるからです。貴重なシアの木が薪にされることのないよう、焼成せずにレンガ製作できる機械が提供されました。
  • さらにオケレ・シティは観光プロジェクトも立ち上げ、オケレ・シティを旅行先として選んでもらえるような取り組みが始まりました。

オケレ・シティのホームページや下のYoutube(ウガンダのテレビ番組の特集)で、オケレ・シティの様子や、住民たちの生き生きとした姿、その取り組みの詳細を知ることができますので、是非ご覧ください。

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最後に

オケレ・シティ・プロジェクトは最初から順風に進んだわけではありません。当初、住民たちはこれが本当に成功するのか疑っていました。
オジョークの両親は村の出身でしたが、オジョーク自身はよそ者でした。彼は、慈善団体やNGOの失敗を通して、貧しいコミュニティに部外者が自分たちの意向を押し付けようとするとどうなるかを知っていました。プロジェクトの成功のためには、プロジェクトの設計段階から地元住民の主体的参加が不可欠であることを彼は知っていたのです。そのため、オジョークは一歩下がってみんなの意見を聞くことに注力しました。
オケレ・シティの住民たちにはプロジェクトへの強い信念とオーナーシップがあります。なぜなら、自分たち自身のプロジェクトだからです。そのため、主体的に活動でき、時にリスクを負ってでも自らのプロジェクトと人々に投資できるのです。

オジョークの願いは、アフリカ全体がオケレ・シティの成功から学ぶことです。多くの人がオジョークに「スケール」することを期待しますが、彼は、同じことを彼自身がアフリカの他の地域や国々で始めてもうまくいかないのを知っています。
やる気のある人は誰でもこのプロジェクトから学び、自分の地域で発展させるための基礎を作ることができます。同様のプロジェクトを成功させるには、2つのレシピがあります。1つは、プロジェクトの成功のために、進んで付き添うビジョンの担い手が必要なことです。もう1つは、最も重要なことですが、実施者本人たちが地域社会に投資し、自分たちがプロジェクトの主要なステークホルダーであることを自覚することです。地域にいる自分たちが行動しない限り成功はないのです。

「誰か」や「いつか」を待っていても、変化は訪れない。私たちが待っているのは、私たち自身だ。私たちこそが、探している変化なのだ。

~ バラク・オバマ

Change will not come if we wait for some other person or some other time. We are the ones we’ve been waiting for. We are the change that we seek.

~ Barack Obama

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参考文献
(1) Caleb Okereke, “‘It’s radical’: the Ugandan city built on solar, shea butter and people power“, The Gurdian, 2021/3.
(2) John Okot, “How Ojok Okello is rebuilding the hometown he never knew“, The Christian Science Monitor, 2021/2.
(3) Bob Koigi, “Transforming a War-Torn Village in Uganda into a Sustainble City“, FairPlanet, 2021/6.
(4) Ojok Okello, “Shea Butter in Okere – A Gift from Nature“, Okere Community Development Project (Okere City), 2021/2.
(5) “Annual Report 2019“, Okere Community Development Project (Okere City)
(6) “Annual Report 2020“, Okere Community Development Project (Okere City)
(7) “Annual Report 2021“, Okere Community Development Project (Okere City)

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