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パーパスやビジョンを達成した後、会社の姿、文化、従業員の行動はどう見えますか?

  • 投稿カテゴリー:組織が変わる
  • 投稿の最終変更日:2023年4月30日
  • Reading time:5 mins read

会社の理念(パーパス、ビジョン、ミッション)や目標の達成の先には、会社の文化や従業員の行動の変化が見えるはずです。目標を達成した先にある会社の姿はどのように見えますか?その文化はどのようなもので、そこで人々はどのように行動していますか?

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前回、DX(デジタル・トランスフォーメーション)などシステム導入のプロジェクトの失敗の多くが、下図の【1、2、3】のような計画や管理にエネルギー(予算、労力、時間)を注力して、【4、5】の要素にほとんど費やしていない事が原因であると説明しました。

システム開発のみを請け負う会社にとっては技術的側面である【1、2、3】のスコープだけで十分な場合もありますが、システムを発注・導入する側の会社にとっては、それでは不十分です。
システムを導入する事で本来達成したい目的が成し遂げられているかという視点が抜け落ちているからです。
【4、5】の視点が抜け落ちているため失敗しているプロジェクトは、システム導入の例に限らず、業種や取り組みの種類を問わず多く存在します。

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会社のより大きな中長期経営計画や、成長戦略、新規事業戦略でも同じ事が当てはまります。中長期経営計画は、企業が中長期的な経営ビジョンを実現するために、3~5年後の達成すべき目標、その間に行うべき事を計画したものです。

日本の多くの会社の中長期計画では下記の様な項目が掲げられます。

  • 売上、利益、ROAやROEといった経営の財務指標上の数値目標
  • 外部環境、内部環境、リスク分析、業界におけるポジショニング、注力する領域、収益モデル
  • 社内の部署・分野ごとの目標、方針、戦略

中長期計画には「競争力強化」「組織横断の構造改革」「事業間のシナジー」といった言葉がうたわれ、その時代のバズワード(流行り言葉)が並びます。ここ数年では「働き方改革」「SDGs(持続可能な開発目標)」「AI/IoTの活用」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というような言葉で、それらに真剣に取り組むつもりはないが、他の会社と同じように計画の中に散りばめておいて体裁を整えそれらしく見せたり、ちょっとカッコよく見せたります。または、その達成のために新しい事を始めるのではなく、それらを既存の取り組みに紐づけて「社会的責任を果たしている風に見せる」事も多くの会社で行われます。

このような時代の旬のバスワードが中長期計画に並んでいるような会社は、3年後の次期中長期計画には、今とは異なるその時代の流行りのバスワードが並んでいるかもしれません。そのような会社は先行きが心配です。
逆に、成長する会社の中長期計画はバズワードが含まれていてもそれが単なる言葉の羅列ではなく、自分たちの言葉で表現され具体的な行動への落とし込みが読み取れます。

残念な会社の中長期計画に関して更に言うと、部署毎に作成した目標を繋ぎ合わせて、全体計画として体裁を整える事もあります。つまり、下の階層で作ったものをまとめて上位の計画にするという方法です。中長期計画が本来ビジョン・ミッション達成のツール、つまり上位の目標を達成するための計画である事を考えると、完全に方向が逆で本末転倒です。
そして、多大な労力を掛けたものの「計画のための計画」「発表のための計画」に過ぎず、絵に描いた餅に終わる、自己評価も全体的には及第点という甘い自己評価で、厳しく振り返って本質的な原因を追究することなく終了。。。という事もあります。

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加えて、多くの中長期計画には、先に紹介したシステム導入の事例と同じ欠落があります。技術的側面がほとんどで、人的側面にほとんど目が向けられません。

以前紹介したように、予定調和型、高度成長型の時代は既に過ぎ去り、既存のマーケットの多くは飽和状態となり成長の余地はなくなりました(市場の飽和:Market Saturation)。残念ながら今までと同じようなやり方を繰り返す事で業績を伸ばせる時代ではなくなりました。

正解はだれも知らない、やってみなければ分からない、やりながら模索していかなければならない、VUCA(ブーカ:Volatility:不安定さ、Uncertainty:不確実さ、Complexity:複雑さ、Ambiguity:曖昧さの頭文字を取った言葉)の時代に既に突入しています。従来型の縦型・ピラミッド型の組織と、それに順じた承認プロセスのままでは、この時代に成長を続ける事はできず、思考と行動の変化、組織と企業文化の改革が必要になります。

しかし、多くの中長期計画・経営計画には、経営の数値目標があり、技術的側面・ハード面での戦略はあるのに、人的側面・ソフト面での取り組み、目標とする組織・文化・行動への言及、どういう企業文化をどうやって作っていくのか、行動を変えて行くのかが具体的に示されていません。

人的側面で掲げているのは「働き方改革を実行する」とか「人事制度改革を行う」、「活力ある組織を目指す」とあまりに一般的な記載があるのみで、このような中長期計画は「具体的にはあまり考えていません」と言っているに等しいです。
「社員研修や教育を行う」事を掲げる会社も多いです。もちろん研修や教育は必要ですが、目標や目指すべき企業の形や文化との明確な結びつきがなく、バラバラに単発的、散発的に行われているケースが多いです。

先の読めない時代に成長する会社は、明確で強い意志が感じられるビジョン、ミッション、企業理念の下、強力で分かりやすい「行動指針」が存在し、会社が社員に期待する行動が明確で、外部者が見ても素晴らしい企業文化の一端が垣間見られます。残念な会社も、残念な会社なりの企業文化を垣間見る事はできますが(笑)。

残念な会社では、会社が社員に期待する行動が明確でありません。行動指針が存在しても、それは建前に過ぎず、社員が真に受けてその通りに行動する事を実は期待していません。建前では社員に「こうあってほしい」と表明するが、実際はそう望んでいない。何か問題が起きた際は「だからお前たちはダメなんだ!」と社員に押し付けます。
このような会社では、社員は委縮してしまい、安心して本音を語る事ができなくなります。現状から外れた余計なことは言わない、やらない、行動しないという選択をします。社員が「余計な事は言わない、やらない」ままで、事業目標を達成し、これからの時代を勝ち抜いていく事はできません。

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従来の中長期計画は、下図の上側のライン(導く力:Guide)のように、技術的視点で経営計画・事業戦略を作成、それをベースに各部署、分野で個別の施策を計画し実行する流れです。何度も繰り返しますが、高度成長期・大量生産消費時代では、大きな組織改革を伴わなくても、上側の矢印に沿って組織・社員を導く事で目標が達成できました。

しかし、これからは、下側の矢印に沿ったプロセス(推進する力:Drive)が必要です。事業戦略を達成するためには、その目標を達成するにふさわしい企業文化を持つ組織に変わっていかなければなりません。企業文化は、企業にとってなにが重要でなにが重要でないかの価値観から形成され、その組織の習慣を形成します。適切な企業文化では、個人に期待される行動、期待されない行動が明確になり、社員は心理的に安心して行動に移す事ができます。



あなたの会社の今の企業文化はどのようなものでしょうか?
どのような行動指針でしょうか?
社員一人一人は実際にどのような行動を取っている、または取っていないでしょうか?


あなたの会社が立てた中長期計画・経営計画を達成するに必要とされる組織・組織文化とはどのようなものでしょうか?
更にはあなたの会社のビジョン・ミッションを達成するに必要な組織・企業文化とはどのようなものでしょうか?
もし目標が達成されるならば、その時どのような企業文化が形成されているでしょうか?
その時、社員一人一人はどのように考え、どのような行動をとっているでしょうか?


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