新しい提案がされる度、「人がいない」「予算がない」「今忙しい」など、何かにつけて取り合えず否定する組織は多いです。そのような変わらない会社でよく聞かれるフレーズを大量に(笑)紹介します。
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ミルウォーキー・ギア・カンパニーのプロダクトマネージャー、ボリッシュ(Borisch)氏がまとめた「変わらない組織の50のフレーズ:Fifty Reasons Things Don’t Change」があります。このリスト、1959年7月20日出版の雑誌「Product Engineering」に掲載されたものです。
今から60年以上も前のものなのに、今の組織にもそのまま通じるフレーズのなんと多い事かとびっくりするほどです。その50のフレーズは、この記事の最後に全て紹介しますが、そのリストに記載されているフレーズをいくつかピックアップし、更に変わらない会社で良く聞かれるその他の「あるある」フレーズも交えて、変わらない組織を紹介していきます。
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変わる事・新しい事ができない組織に飛び交う、相反するフレーズ
● それはうちの会社がやるべき事ではないな。
● それでは今までやってきた事と変わらない。
● 私たちは25年間この方法でやってきました。
□ もっと今までと違う新しい発想で考えてくれよ。
□ それはうちのコアビジネスとは関係ないだろう。
● 当社では実績がありません。
● 当社で以前やりました。
□ 聞いた事ないな。
□ 聞いた事あるな。
● 他社の事例がありません。
● 他社が既にやっています。
□ それ、中小なら出来るかもしれないけどな。
□ それ、大手なら出来るかもしれないけどな。
● ちょっと難し過ぎるだろう。
● そんな簡単にうまく行くはずないだろう。
□ 足元の業績が回復してからだな。
□ 足元の業績が良いから後で検討な。
● 当社は人財育成に力を入れています。
● 対応できる人間が誰もいません。
□ 今のままだと競合に置いて行かれるぞ。
□ そんな事したら競合から集中砲火に遭うぞ。
● ちょっと早すぎたな。
● ちょっと遅すぎたな。
□ そんなの皆知っているぞ。
□ そんなの誰も知らないぞ。
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変わる事・新しい事ができない組織に飛び交う、他人に転嫁するフレーズ
● 部長が承認しないだろうね。
● 社長が承認しないだろうね。
● 取締役会が承認しないだろうね。
● 株主が承認しないだろうね。
□ 製造が嫌がりますよ。
□ 営業が嫌がりますよ。
□ 現場が嫌がりますよ。
□ 協力会社が嫌がりますよ。
● それは〇〇部マターだな。
● うちの部署では判断できないな。
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変わる事・新しい事ができない組織に飛び交う、その他の逃げのフレーズ
● 今みんな忙しいから。
● 落ち着いたら検討しよう。
● 今はそのタイミングじゃないな。
● コロナが終わってから考えよう。
□ 今のシステムでも大丈夫だから。
□ 今のシステム〇千万円もかけて入れたから。
□ 今のシステム苦労して入れたから。
● 追加の検討が必要だな。
● コンサルの意見が必要だな。
□ 責任負うのは私なんだぞ。
□ 君が責任もってやり遂げられるのか?
● (スルーして無視)。
図:変わらない会社の会議
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これらのフレーズの根底にあるのは「言い訳」です。結局みんな建前とは違って、面倒な事をしたくないから、他の人間に振ろうとしたり、先延ばししようとして言い訳しているだけに過ぎません。つまり、究極的な本心は「やりたくない」でしょう。
では最後に、ボリッシュ氏が1959年にまとめた「変わらない組織の50のフレーズ」の紹介です。「できない理由」「やらない理由」のオンパレードです。結局時代が変わっても人間も組織も変わらないという事ですね。
表:変わらない組織の50のフレーズ(1)
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参考文献
(1) Alan Webber, “50 Reasons Why We Cannot Change“, fastcompany.com, 1993/10.
(2) Bill Taylor, “The More Things Change, the More Our Objections to Change Stay the Same“, Harvard Business Review, 2013/9.
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