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	<title>公共財 | あきと アウトプット</title>
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	<description>人と組織と社会の「変わる」をサポートします</description>
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	<title>公共財 | あきと アウトプット</title>
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		<title>ルールを守らない人を責めても意味がない —— 協力が生まれる仕組みを生み出す</title>
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		<dc:creator><![CDATA[akito]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 27 Feb 2026 12:36:31 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[社会が変わる]]></category>
		<category><![CDATA[ゲーム理論]]></category>
		<category><![CDATA[システム]]></category>
		<category><![CDATA[公共財]]></category>
		<category><![CDATA[社会変革]]></category>
		<category><![CDATA[社会心理学]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>なぜ民泊の宿泊者はゴミルールを守らず、地域住民はルールを守るのか。この違いはモラルの差だけにあるのではなく「ゲームの構造」で説明できます。「コモンズの悲劇」をめぐるハーディンとオストロムの議論を、ゲーム理論と進化生物学の [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p><strong><span style="color: #0f5459;">なぜ民泊の宿泊者はゴミルールを守らず、地域住民はルールを守るのか。この違いはモラルの差だけにあるのではなく「ゲームの構造」で説明できます。「コモンズの悲劇」をめぐるハーディンとオストロムの議論を、ゲーム理論と進化生物学の視点から読み解きます。</span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">はじめに</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">近所に民泊ができてから、ゴミ置き場が荒れるようになった —— そんな話をよく耳にします。宿泊者が分別のルールを無視してゴミを出す、深夜に騒ぐ、共用部分を乱雑に使う。苦情を入れようにも、相手は翌日には入れ替わっています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一方、周辺の住民たちは何年も、時には何十年もその場所で暮らし続けています。ゴミ置き場を清潔に保つのも、近隣との関係を維持するのも、自分たちの日常生活に直接跳ね返ってきます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">同じ空間を共有しているのに、なぜこれほど行動に差が出るのでしょうか？宿泊者のモラルが低いから、文化や価値観が違うからと片付けてしまうのは簡単ですが、それだけでは正しい解決策を導き出すことは難しいでしょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">少し視点を変えてみると、別の見方ができます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">宿泊者にとって、その場所での滞在は一度限りです。翌日には別の場所へ移動します。ルールを守らなくても、チェックアウトの際に隣の住民から少しにらまれても、それ以上の罰を受けることもありません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一方、住民にとってはルールを守ることで、近所の他の人たちとも良好な関係を維持することができ、長期的な自分の利益にもつながります。ルールを守らなければ安全で快適な生活を維持することはできません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、これはモラルの問題ではなく、構造の問題かもしれません。同じ空間に、まったく異なるゲームをプレイしている二種類のプレイヤーが混在しているのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">今回は、「<strong>なぜ人は協力できる時とできない時があるのか</strong>」という問いに関して、アメリカの人間生態学者ギャレット・ハーディンと、ノーベル経済学賞を受賞した政治学者エリノア・オストロムがそれぞれ提唱した理論に光を当てます。</span><span style="color: #262626;">実は、ギャレット・ハーディンとエリノア・オストロムの主張については<a href="https://www.a-output.com/collective-action-problem" target="_blank" rel="noopener">以前の記事でも書きました</a>が、今回は少し違った角度から両者を見直します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンは、誰もが自由に利用できる共有資源は最終的に破壊されると主張しました。オストロムは、地域のコミュニティが独自に資源を守り続けている事例を世界中で見出し、ハーディンの見方に異を唱えました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一見すると真っ向から対立するこの二つの主張は、実のところ、異なる条件や前提を描写しているに過ぎないのかもしれません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">今回は、二人の議論を改めて整理した上で、ゲーム理論と進化生物学という二つのレンズを通して「<strong>協力が生まれる条件は何か</strong>」を考えていきます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">そして、民泊問題に潜むメカニズムを、最後に明らかにしましょう。</span></p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="size-full wp-image-30411 aligncenter" src="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2026/02/noise2.png" alt="noise" width="1531" height="442" srcset="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2026/02/noise2.png 1531w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2026/02/noise2-300x87.png 300w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2026/02/noise2-1024x296.png 1024w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2026/02/noise2-768x222.png 768w" sizes="(max-width: 1531px) 100vw, 1531px" /></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;"> ～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">コモンズの悲劇</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">アメリカの人間生態学者である<strong><a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Garrett_Hardin" target="_blank" rel="noopener">ギャレット・ハーディン（Garrett Hardin, 1915–2003）</a></strong>は、1968年にサイエンス誌に掲載されたエッセイで「<strong>コモンズの悲劇（The Tragedy of the Commons）</strong>」の概念を提唱しました。<sup>(1)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">そこで彼はシンプルな問いを投げかけました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">限られた資源に多くの人が自由にアクセスできる状況で、各人が自己利益に走るとどうなるのか？</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンは牧草地を例に挙げてこう述べました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">すべての人に開かれた牧草地、つまりどんな牧夫でも自由に利用できる放牧地を想像してみてください。それぞれの牧夫はそこで自分の牛を飼育しています。自分の利益を増やすための方法は、飼育する牛の数を増やすことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">そこで、ある牧夫が自分の群れにさらに1頭の牛を増やしたらどうなるでしょうか？</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンはこれを2つの要素に分解します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">正の効果：その牧夫は1頭追加することで得られる利益をすべて受け取ります。つまり「+1」の利益すべてを彼が受け取ります。したがって、各個人にとって、牛を1頭追加することは合理的なように見えます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">負の効果：しかし、牛が牧草地に1頭追加されたことで、もともといた牛に割り当てられる牧草の量が減ります。その負の効果は、その牧夫だけでなく、牧草地を利用するすべての牧夫が負担します。つまり「-1」を全体数で割ったコストを個々の牧夫が分担します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">もし、それぞれの牧夫が自分の利益だけを追求するならば、誰もが牛を増やす決断をします。すべての牧夫が同じ論理に従い、同じ結論に達し、牛を増やしていきます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">その結果、牧草地は牛であふれ、牧草は食べ尽くされ、最終的には荒廃してしまいます。皆で共有し、皆で破壊し、誰も望まない悲劇に達します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">これが、ハーディンが「コモンズの悲劇」と呼ぶものです。つまり、<strong>自分一人にとって合理的な行動をみんなが取ると、全体としては非合理的で破滅的な結果をもたらす</strong>のです。<strong>個人の合理性は、集団の非合理性につながる</strong>のです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンは、コモンズの比喩を牛や牧草地だけにとどまらず、より広範囲に適用しました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>人口増加</strong>：「牛と牧草地」を「人間と地球」に置き換えて、多くの人が子孫を増やしていくと、その社会的コストはすべての人が負担することになります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>汚染</strong>：川に有害廃棄物を投棄する工場によって生じる負の影響は、下流に住むすべての人たちが負担します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>乱獲</strong>：誰もが自分の利益だけを考えて魚を乱獲すれば、魚の数はどんどん減っていき、いつか魚を食することが難しくなります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンは、この罠から抜け出すための解決策として、「<strong>相互合意に基づく相互強制（mutual coercion, mutually agreed upon）</strong>」を主な答えとして提示しました。みんなが自由な行動を取ると共有地は荒廃してしまうため、<strong>共有資源を守るためにアクセスを制限したり、行動を規制したりする必要がある</strong>という考え方です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">そのために、民意によって形成された統治機関が規則を作ったり、規制を行います。漁獲割当量、排出制限、ゾーニング法などはこのアプローチにあたります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">※ なお、ハーディンは、共有地を私有財産に分割して、所有者が自らの決定によるプラスとマイナスの影響の両方の責任を負うようになれば、土地を荒廃させるほど過放牧することはないだろうという考えも言及しています。後の議論でこの「私有地化、民営化」がハーディンの主たる主張として強調して批判されることがありますが、これは原著の意図を正確には反映していません</span><span style="color: #262626;">。</span></p>
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<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="EZ0QmGJUSA"><p><a href="https://www.a-output.com/collective-action-problem">社会的ジレンマ：全体の利益のためではなく、自分の利益のために行動してしまうこと</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;社会的ジレンマ：全体の利益のためではなく、自分の利益のために行動してしまうこと&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/collective-action-problem/embed#?secret=QXmGlHzmJI#?secret=EZ0QmGJUSA" data-secret="EZ0QmGJUSA" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">エリノア・オストロムの批判</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">アメリカの政治学者でありノーベル経済学賞受賞者の<strong><a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Elinor_Ostrom" target="_blank" rel="noopener">エリノア・オストロム（Elinor Ostrom, 1933–2012）</a></strong>はハーディンの主張を批判しました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">まず重要な点として、オストロムはハーディンが「<strong>コモンズ</strong>」と呼んでいたものを問い直しました。ハーディンが想定していたのは、誰でも自由に利用できる「<strong>オープンアクセス資源</strong>」であり、共同体によってルールが管理された本来の意味での「コモンズ（共有地）」とは異なります。この前提の違いが、両者の議論の根本的な違いにつながっています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">さらにオストロムは、<strong>私たちの社会には政府の介入がなくても、共同体が自らルールをつくり、持続的に共有資源を管理することに成功している例が多数ある</strong>ことを、自らが行ったフィールドワークで収集した世界各地の事例を通じて示しました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、オストロムの主張によれば、人は常に自己利益を優先するのではなく、現実には、協力し合い、規範に従い、長期的な視点に立って物事を考えます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">また、ハーディンがコモンズの悲劇を避けるために政府による介入や規制を主に提案したのに対し、オストロムは、実際のコミュニティが取っているのは第三の道である自主管理や協調行動だと指摘しました。<strong>コミュニティがルールを作り、お互いに監視し合うことで、悲劇は回避できる</strong>と主張したのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">さらにオストロムは、ハーディンの主張を裏付ける実証的なケース分析がないことも批判しました。一方でオストロムは、実証的なデータを多数収集し、コミュニティ内の合意と自主管理が資源の持続的利用に寄与することを示しました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">このようなオストロムのハーディン批判は、彼女の1990年の書籍『<strong>Governing the Commons: The Evolution of Institutions for Collective Action</strong>』<sup>(2)</sup>や、2009年のノーベル賞受賞講演で示されています。<sup>(3)</sup></span></p>
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<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">すべては文脈次第</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">多くの学者や研究者がオストロムの見解を支持し、ハーディンの単純な見解を批判しています。学術的には、オストロムの方が支持されてきました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、私は一方的なオストロム支持には違和感を覚えます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">現実の世界を見てみれば、理想主義的なオストロムの見解ではなく、ハーディンの見解に従って物事が進んでいることも数多くあるからです。</span><span style="color: #262626;">例えば、気候変動や温室効果ガスの課題に対して、社会全体が共同体的なルールをつくり、持続的に共有資源を共同管理しているとは到底思えません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ある研究では、<strong>オストロムの主張は比較的小規模で地域的な統治が可能なコモンズという特殊なケースにおいては妥当であるものの、国家規模や地球規模のコモンズにおいてはそのような統治が難しく、ハーディンの主張の方に正当性がある</strong>という見解が述べられています。<sup>(4)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、オストロムとハーディン、どちらだけが正しく、どちらだけが間違っているわけではなく、どちらも「それだけでは不完全」なのです。</span><span style="color: #262626;">文脈によって、オストロムの主張が成り立つ場合もあれば、ハーディンの主張が成り立つ場合もあります。<strong>両者は理論的に対立しているのではなく、前提条件が異なっているのです</strong>。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンが想定していたのは、ルールが存在せず、排除も制裁もできない、完全に自由な「オープンアクセス」の状態です。このような状況では、個人は資源を使い尽くすインセンティブを持ち、「悲劇」が起きるのは自然な結末になります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一方で、オストロムの主張は、コミュニティが自主的にルールを作ることができ、監視、</span><span style="color: #262626;">制裁、合意形成が機能する場合に当てはまります。オストロム型の管理がうまくいくのは、比較的小規模なコミュニティで、相互作用、明確な境界、強い社会的結束などの条件がある場合です。例えば、集落の灌漑設備、地域の森林保護、ある限られた水域での漁獲制限などではそれが可能です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、規模が大きく、参加者の匿名性が高くなるほど、このような相互信頼や相互監視に基づくコミュニティの仕組みを作り維持するのは難しくなります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">地球規模の気候変動は、一つの地域の森林保護よりもはるかに複雑です。世界的な漁場での乱獲、グローバルな資源の取り合いは、各国の信頼形成が難しく、お互いに監視し合うことも困難で、フリーライダー問題が深刻です。</span></p>
<p style="padding-left: 40px;"><strong><span style="color: #262626;">ハーディン：ルールなし・排除不能、グローバル規模、マクロな問題</span></strong><br />
<strong><span style="color: #262626;">オストロム：小規模で制度設計可能、地域共同体、ミクロな問題</span></strong></p>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンは「規制しなければ悲劇が起きる」と言い、オストロムは「コミュニティが共同管理できている」と言いましたが、問題の本質は「機能する仕組みが作れるかどうか」や「どのような仕組みを組み合わせるとうまくいくのか」にあります。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">ゲーム理論の観点から</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">ゲーム理論の観点から両者を見れば、ハーディンとオストロムの議論がより明確になります。ゲーム理論によれば、両者は同じ戦略的問題の異なるバージョンをモデル化していることがわかります。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">ハーディンのコモンズ ＝ ワンショットゲーム</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンのモデルは、<a href="https://www.a-output.com/public-goods-game" target="_blank" rel="noopener"><strong>1回限りのゲーム（ワンショットゲーム）の囚人のジレンマ</strong></a>によく似ています。公共財ゲームの参加者は、公共財の使用制限のルールに従うか、相手を裏切ってリソースを自由勝手に使うか、のどちらかを選択します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">1回限りのゲームにおいては、相手を裏切る方が合理的です。なぜなら、ゲームは1回限りだからです。2回目以降はなく、ペナルティもありません。そのため、各プレーヤーが1回のゲームからできるだけ多くを得ようとします。これがハーディンの悲劇につながります。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">オストロムのコモンズ ＝ 繰り返しゲーム</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">一方、オストロムの事例は、<strong>繰り返しゲームの囚人のジレンマ</strong>に似ています。繰り返しゲームでは、プレイヤーは一度きりではなく、何度もゲームに参加します。1回目に相手を裏切れば、2回目にその人たちからしっぺ返しを食らうかもしれません。好き勝手に行動していると、自分の立場が悪くなっていくかもしれません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、繰り返しゲームでは、ワンショットゲームよりも、参加者が「未来志向」「全体志向」になります。その結果、お互いに協力することが合理的になります。これはオストロムがコミュニティの資源管理で観察したことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">プレイヤーがお互いを知っているような場合は、協力しあうことが合理的です。しかし、規模が大きくなり、プレイヤー同士が知り合った仲ではない場合、繰り返しゲームの仕組みが薄れ、将来価値が大きく割り引かれるため、システムは1回限りのダイナミクスへと逆戻りします。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">また、最近のデジタル技術の進化に伴う問題に至っては、例え各国が一致団結しても、たった一人の個人の裏切りがシステム自体を崩壊させる可能性もあり、繰り返しゲームにおける協力が弱まり、システムはハーディンのような結果へと向かうようになります。解決は容易ではありません。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">進化生物学の観点から</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">進化生物学の視点は、ハーディンとオストロムの違いをさらに明確にします。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ゲーム理論では「<strong>ハーディン＝ワンショット囚人のジレンマ</strong>」、「<strong>オストロム＝繰り返しゲーム</strong>」として整理しましたが、進化生物学的には、これを「どのような環境でどの戦略が進化的に有利になるか」という問題として捉えます。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">ハーディンを進化生物学で読む</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">ハーディンの「コモンズの悲劇」は、「利己的行動が短期的な適応度を最大化する環境」を想定しています。血縁関係なし、匿名的、1回限り、懲罰なし、将来の相互作用なしという環境です。この環境下では、進化生物学的に、生物として生き延びていくためには利己戦略が望ましい戦略になります。フリーライダーが増殖し、協力戦略は淘汰されていきます。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">オストロムを進化生物学で読む</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">オストロムの事例は環境が異なります。彼女が研究対象としたコミュニティは小規模でお互いが顔の見える関係にあり、他の人からの評判が自分の将来に影響します。裏切り行為に対する監視や制裁のシステムがあり、それが機能しています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">このような環境下では、裏切り者を排除し、協力者とだけ協力する動機が生まれます。進化生物学では、<strong>直接互恵性（direct reciprocity）</strong>、<strong>間接互恵性（indirect reciprocity）</strong>、<strong>文化的集団選択</strong>が働く環境です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">このような環境で進化的に生き延び繁栄するためには、周囲の人たちと協力することです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、進化生物学的に見ると、ハーディンは「<strong>協力が淘汰される環境</strong>」、オストロムは「<strong>協力が安定化する環境</strong>」と整理できます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>進化理論では、協力は「特別な道徳論」ではなく、条件が整えば自然に発生するものです。両者は対立というより、異なる進化生態系を描写しているのです。</strong><sup>(5)(6)(7)</sup></span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">さいごに</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">冒頭の民泊問題に戻りましょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">民泊の宿泊者がゴミのルールを守らないが、住民は守る。この違いは、モラルや育ちの違いだけで説明されるわけではありません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ゲーム理論の言葉を使えば、<strong>宿泊者にとってその場所での滞在は「ワンショットゲーム」</strong>です。一度きりで終わり、評判も罰もありません。ワンショットゲームにおいては、ルールを守らなくても、周囲の人たちと協力しなくても不都合は生じません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一方、<strong>住民にとってはそこでの生活が「繰り返しゲーム」</strong>です。ルールを破れば近隣との関係に傷がつき、長期的に自分に跳ね返ってきます。繰り返しゲームにおいては、周囲の人たちと協力する方が合理的です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">進化生物学的に見れば、民泊の宿泊者が置かれているのは、匿名性が高く、将来の相互作用がなく、制裁も機能しない環境 —— つまりハーディンが描いた「協力が淘汰される環境」です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">住民が置かれているのは、顔の見える関係があり、評判が将来に影響し、相互監視が機能する環境 —— つまりオストロムが研究した「協力が安定化する環境」です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">同じ空間に、異なる生態系のプレイヤーが混在しているのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">これは希望を示してもいます。なぜなら、<strong>人が協力しないのは、人間が本質的に利己的だからではなく、協力が合理的になる構造が整っていないから</strong>です。逆に言えば、適切な制度設計によって、協力は「道徳的な努力」ではなく「自然な行動」になり得るのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">民泊問題であれば、例えば、<strong>宿泊者に地域のルールを事前に伝えそれを守らせる仕組み化、周辺住民が民泊業者に通報できる仕組みや、地域のルールに対して違反を繰り返した宿泊者や民泊提供者のアカウントを凍結するなどの制裁措置</strong>が、ゲームの構造そのものを変える可能性を持っています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>つまり、宿泊者にとってその場所での滞在を「ワンショットゲーム」から「繰り返しゲーム」に変えるのです。</strong></span></p>
<p><span style="color: #262626;">気候変動、デジタル空間の情報汚染、グローバルな資源問題——現代のコモンズの悲劇は、民泊とは比べられないほど規模が大きく、解決は容易ではありません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、「どのような条件があれば協力が生まれるのか」という問いを持ち続けることが、その出発点になるのではないでしょうか。問題解決は、人の心の中ではなく、構造の中にあるのかもしれません。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<p><span style="color: #262626;">参考文献</span><br />
<span style="color: #262626;">(1)Garrett Hardin, “<a href="https://math.uchicago.edu/~shmuel/Modeling/Hardin,%20Tragedy%20of%20the%20Commons.pdf" target="_blank" rel="noopener">The Tragedy of the Commons</a>“, Science, New Series, American Association for the Advancement of Science, Vol. 162, No. 3859, pp. 1243-1248, 1968/12.</span><br />
<span style="color: #262626;">(2) Elinor Ostrom, “<a href="https://www.cambridge.org/core/books/governing-the-commons/7AB7AE11BADA84409C34815CC288CD79" target="_blank" rel="noopener">Governing the Commons, The Evolution of Institutions for Collective Action</a>”, Cambridge University Press, 2012/6.<br />
(3) Elinor Ostrom,&#8221;<a href="https://www.nobelprize.org/uploads/2018/06/ostrom_lecture.pdf" target="_blank" rel="noopener">Beyond Markets and States: Polycentric Governance of Complex Economic Systems</a>&#8220;, Prize lecture, 2009/12/8.<br />
(4) Eduardo Araral, &#8220;<a href="https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1462901113001470" target="_blank" rel="noopener">Ostrom, Hardin and the commons: A critical appreciation and a revisionist view</a>&#8220;, Environmental Science &amp; Policy, Volume 36, February 2014, Pages 11-23, 2014.<br />
</span>(5) Cressman R, Song JW, Zhang BY, Tao Y., &#8220;<a href="https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2011.07.030" target="_blank" rel="noopener">Cooperation and evolutionary dynamics in the public goods game with institutional incentives</a>&#8220;, J Theor Biol;299:144-51., 2012/12/21.<br />
(6) Elinor Ostrom, &#8220;<a href="https://scispace.com/pdf/collective-action-and-the-evolution-of-social-norms-39il4hoxmh.pdf" target="_blank" rel="noopener">Collective Action and the Evolution of Social Norms</a>&#8220;, Journal of Economic Perspectives, Volume 14, Number 3, Summer 2000, Pages 137-158.<br />
(7) Peter J. Richerson, Robert Boyd, Brian Paciotti, &#8220;<a href="https://psycnet.apa.org/record/2004-15858-012" target="_blank" rel="noopener">An evolutionary theory of commons management</a>&#8220;, In E. Ostrom et al. (Eds.), The drama of the commons (pp. 403–442). National Academy Press., 2002.</p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="jIqRdDLhgm"><p><a href="https://www.a-output.com/public-goods-game">公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法</a></p></blockquote>
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		<title>気候変動を認めているのに行動に移さない理由 Psychology of Climate Change</title>
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		<dc:creator><![CDATA[akito]]></dc:creator>
		<pubDate>Sat, 07 Sep 2024 12:18:41 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[社会が変わる]]></category>
		<category><![CDATA[公共財]]></category>
		<category><![CDATA[変化への恐怖]]></category>
		<category><![CDATA[心理学]]></category>
		<category><![CDATA[未知への恐怖]]></category>
		<category><![CDATA[現状維持]]></category>
		<category><![CDATA[環境問題]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>科学的裏付けが増える中、さすがに気候変動と人間の活動の因果関係を否定する人たちは少なくなってきました。しかし、一歩踏み込んで気候変動を食い止めるための行動を起こす人たちはごくわずかです。今回は問題を認識しているにもかかわ [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p><strong><span style="color: #0f5459;">科学的裏付けが増える中、さすがに気候変動と人間の活動の因果関係を否定する人たちは少なくなってきました。しかし、一歩踏み込んで気候変動を食い止めるための行動を起こす人たちはごくわずかです。今回は問題を認識しているにもかかわらず行動を起こさない心理や障壁を紹介します。</span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">はじめに</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">異常気象に関するニュースをよく目にするようになりました。異常気象はもはや異常ではなく、私たちの新しい日常になりつつあります。</span><span style="color: #262626;">異常気象の多くは地球温暖化が原因です。世界で最も高度な専門知識を持つ科学者の間では、地球温暖化のほとんどが人間の活動に起因するという意見で100％一致しています。<sup>(1)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、異常気象は、地球が異常なのではなく、人間の膨大なエネルギー使用や資源搾取が異常で、私たちのライフスタイルや消費と生産のパターンが引き起こしていることが明らかになっています。つまり、私たちの行動が環境問題を起こしているのです。問題を解決するためにはその行動を変えなければなりません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">科学的裏付けが増える中、さすがに気候変動と人間の活動の因果関係を否定する人たちは少なくなってきました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、一歩踏み込んで気候変動を食い止めるための行動を起こす人たちはごくわずかです。大多数の人たちが気候について懸念していると主張する一方で、多くの人たちが問題への効果的な取り組みから距離を置いています。メディアも異常気象について散々報道するわりには、どう行動すべきかという点に関しては恐ろしく静かです。</span></p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-22351 aligncenter" src="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2024/09/extreme-weather.png" alt="" width="614" height="261" srcset="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2024/09/extreme-weather.png 1243w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2024/09/extreme-weather-300x127.png 300w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2024/09/extreme-weather-1024x435.png 1024w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2024/09/extreme-weather-768x326.png 768w" sizes="(max-width: 614px) 100vw, 614px" /></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">気候心理学（Climate psychology）と否認の心理学（Psychology of climate change denial）</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">気候変動とその結果生じる心理的プロセスの理解を深めることを目的とした比較的新しい心理学の分野に<strong><a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Climate_psychology" target="_blank" rel="noopener">気候心理学（Climate psychology）</a></strong>があります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">気候心理学は、人間心理の仕組みに基づいて、気候変動に対応するための効果的な方法を促し、個人、コミュニティ、政治の各レベルで変化をおこせるように、活動家、科学者、政策立案者を支援するものでもあります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">特に最近は、気候変動の脅威が増す中で、適切な行動を取ろうとしない人たちの心理にも焦点を当てます。この研究領域は特に、<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Psychology_of_climate_change_denial" target="_blank" rel="noopener"><strong>気候変動否認の心理学（Psychology of climate change denial）</strong></a>とも言われます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">先にも述べたように、気候変動に関する研究が進み、科学的コンセンサスが形成されるにしたがって、かつてのような「人間の活動は気候変動に影響を与えていない」と主張する、いわゆる「ハード系」の温暖化否定論者は少数派です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一方で、より多くの研究者の関心を集めているのが「ソフト系」もしくは「暗黙」の否定者です。</span><br /><span style="color: #262626;">「ソフト系」もしくは「暗黙」の否定者とは、気候変動に関する科学的なコンセンサスを知識レベルでは受け入れているものの、受け入れたことを行動に移さない人たちです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">「ソフト系」の否定者には、環境問題に全力で取り組みますと企業広告ではうたいながら、実際には大量の化石燃料を使い続ける企業も含まれるでしょう。このような「口だけ環境企業」の存在は、周囲に「あ、口だけでいいんだ」という考えを波及させてしまうため、特に危険です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">そのような人や企業は、いわば黙示的に気候変動を否定しているのであり、問題解決の障壁になっています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">気候変動否認の心理学も、従前のハード系の否定者の心理から、ソフト系の否定者の心理をめぐる研究や議論が増えています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">なぜ、私たちは気候変動を認識していながら、その解決のための行動を取ることができないか、そこには、単なる情報不足では済まされない、私たち人間の心理やその他の障壁</span><span style="color: #262626;">が深く影響しています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><a href="https://www.a-output.com/psychology-in-climate-change" target="_blank" rel="noopener">以前本サイトでは</a>、環境問題の解決を妨げる心理的、構造的障害を紹介しました。今回は、前回紹介した記事と重複する部分があるものの、少し違った視点から、なぜ環境問題が人間の活動にあると認識されていながら、私たちの多くはほとんど行動を変えないのか、その原因を探っていきたいと思います。</span></p>
<p><div class="oceanwp-oembed-wrap clr"><blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="7cwhUAiLjP"><a href="https://www.a-output.com/psychology-in-climate-change">異常気象が問題ではなく、変わらない私たちの考え方や行動様式が問題</a></blockquote><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;異常気象が問題ではなく、変わらない私たちの考え方や行動様式が問題&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/psychology-in-climate-change/embed#?secret=1cPHcSxsJS#?secret=7cwhUAiLjP" data-secret="7cwhUAiLjP" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">気候変動を見て見ぬふりをするわけ</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">気候変動を否認する心理を理解するためには、私たちの思考、動機、行動に影響を与える無意識または認識されていない感情やプロセスを理解しなければなりません。さらには、心理学や認知的または行動的アプローチに留まらず、哲学や宗教や人類学や社会学など広く人文科学の領域を跨いだ、知ることと行動することへの抵抗を調査する、より深く広いアプローチが必要です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">この問題は、あらゆる点で、一個人に限定された独立した心理的プロセスではなく、社会的および生態学的文脈の中に深く組み込まれているからです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">「環境に優しい行動」とは、私たちが環境への悪影響を最小限に抑えるために意識的に選択する行動です。「環境に優しい行動に対する障壁」とは、そのような行動を取ることを妨げる様々な要因です。</span><br /><span style="color: #262626;">一般的に、これらの障壁は<strong>心理的</strong>、<strong>社会的/文化的</strong>、<strong>経済的</strong>、<strong>構造的</strong>という大きなカテゴリーに分けることができます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">１．<strong>心理的障壁</strong>は私たちの内面からくる障壁で、個人の知識、個人的信念、考え、感情が行動に影響します。</span><br /><span style="color: #262626;">２．<strong>社会的/文化的障壁</strong>は、周囲の環境から受ける影響です。</span><br /><span style="color: #262626;">３．<strong>経済的障壁</strong>は、持続可能な行動（新しいテクノロジー、電気自動車など）を取るためのお金の余裕がないなど、経済上の障壁です。</span><br /><span style="color: #262626;">４．<strong>構造的障壁</strong>は外的なもので、一個人ではコントロールできません。たとえば、政府の施策、公共交通機関やシェアライドなどが十分でなく、日々の生活を自家用車の利用に依存せざるを得ないなど、社会の構造上の仕組みからくる障壁です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">これらの障壁をそれぞれ詳細に見ていきましょう。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～ ～ ～</p>
<h4><span style="color: #262626;">１．環境行動を妨げる心理的障壁</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">最初に心理的障壁を見ていきましょう。<br />ビクトリア大学の<a href="https://www.uvic.ca/socialsciences/intd/hdcc/people/profiles/gifford-robert.php" target="_blank" rel="noopener"><strong>ロバート・ギフォード教授（Robert Gifford）</strong></a>は、<strong>「<a href="https://www.dragonsofinaction.com/" target="_blank" rel="noopener">行動を起こさないドラゴン（dragons of inaction）</a></strong>」という表現を使って、環境問題の対応を妨げる様々な心理的障壁を特定しました。障壁は合計36種類にも及び、次の７つの大きなカテゴリーに分けて説明しています。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">(1) 問題に対する限られた認識能力 Limited Cognition</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">私たちは自分が思っているほど合理的ではありません。<strong>たとえ長期的には自らの身を滅ぼすことになろうとも、短期的な快楽を選択します</strong>。脳がそのように出来ているからです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">気候変動について考える場合も同じです。長期的には環境問題解決には寄与するが、つらく面倒な行動よりも、長期的には破壊につながるが、楽しくて楽な行動を選択するのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">私たちの脳は不快感や矛盾を避けるようにも出来ています。そのため、厳しく難しい問題に真正面から向き合って自分自身をつらくするよりも、問題に気が付いていないふりをしたり、まださほど重大ではないと自分に言い聞かせて、不快感から逃れようとします。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">気候変動が、多くの人たちにとってまだ他人事なのは、大きな被害が自分の身に直接降りかかっていないことも原因です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">私たちの脳が、環境問題を離れた場所や遠い未来の問題だと捉えていて、身近なものだと認識せず、まだまだ大丈夫、すぐに注意を向ける必要はないと、優先度を低く捉えていたり、大きな関心を持って問題に接していないのです。人間は将来的なリスクを軽視する傾向があります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>深刻な影響が自分に降りかかるまでは自分事にはならない</strong>のです。問題の先送りは私たちの得意技です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">環境問題が目に見えないことも要因の１つです。例えば排出される温室効果ガスに色が付いていて、はっきりと目に見えるものであったなら、私たちの捉え方は全く異なるものになっていたでしょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">環境問題に関しては、以前から多くの警鐘が鳴らされています。しかし、自分の身には何も起きません。そのため、警鐘に慣れてしまったことも問題の１つです。「慣れ」で言えば、異常気象に慣れてしまうことも問題です。暑い夏にもそのうち慣れてしまって、これなら何とか耐えられそうだと、行動に移さないのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">気候変動の重大な点は、その症状がさらに進行してから何かしようとしても、時すでに遅しとなっている可能性が高いことです。</span><br /><span style="color: #262626;">幸か不幸か日本は地震国であり、例えば、南海トラフ地震に対しては、自分が生きているうちにいつか来ると、ある程度の警戒感を持っている人たちは少なからず存在します。気候変動に対しても、同様もしくはそれ以上の切迫感が必要です。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">(2) 環境に配慮した態度や行動を妨げるイデオロギー Ideologies</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">イデオロギーは世界観、価値観です。それは長い時を経て社会に浸透し、私たちの思考を深いところで支配しています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">その１つが消費主義です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">消費主義は私たちの内面に深く浸透し、欲求を駆り立て、思考や行動を支配しています。残念ながら<strong>持続可能な社会は、現代社会に浸透している消費主義とは相容れません</strong>。しかし、消費活動はすでに私たちの生活の基盤となり、アイデンティティの一部になっているので、その価値観に反する気候変動問題を受け入れることは容易ではないのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">また、ある人たちは人間の能力や無限の可能性を過剰なまでに信じています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">そのため、素晴らしい技術が次々と開発され、いつかイノベーションが環境問題をすべて解決するので、自分は何もする必要はないと信じます。しかし、その技術信仰の根拠を客観的に示すデータは何もありません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">さらに言えば、人間は、現状が良かろうが悪かろうが、それが維持されることを望みます。<br /><strong>現状維持バイアス</strong>、<a href="https://www.a-output.com/a-theory-of-system-justification" target="_blank" rel="noopener"><strong>システム正当化</strong></a>のバイアスです。例えおしりに火がまわろうが、現状を変えることの方が面倒くさく、多少やけどしようとも、そのままの状態で居続けるのです。</span></p>
<p><div class="oceanwp-oembed-wrap clr"><blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="1Cxk1Nd7to"><a href="https://www.a-output.com/a-theory-of-system-justification">システム正当化理論：A theory of system justification</a></blockquote><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;システム正当化理論：A theory of system justification&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/a-theory-of-system-justification/embed#?secret=oOmWSY55ZK#?secret=1Cxk1Nd7to" data-secret="1Cxk1Nd7to" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div></p>
<h6><span style="color: #262626;">(3) 他人との比較 Comparisons With Other People</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">人間はとても社会的な動物です。私たちは行動の多くを、他人の行動と比較して決定しています。特に日本のような国では、周囲の誰もおこなっていない行動を実行して目立ったり、浮いてしまうことを恐れるため、最初の一歩を踏み出す社会心理的ハードルが高く、その障壁のために、意欲があっても行動に移せない人たちも多いです。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">(4) サンクコスト Sunk Costs</span></h6>
<p><span style="color: #262626;"><strong>サンクコスト</strong>は、すでに費やした、戻ってこないお金や労力のことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">例えば、個人が貢献できる環境負荷低減行動として、車を利用せず公共交通機関を利用することのインパクトは大きいです。しかし、車を所有していない人たちにとっては簡単な選択肢でも、すでに車を所有している人にとっては、取ることが難しい選択肢です。なぜなら車を購入するためにすでに多くのお金を費やしたので、それを無駄にしたくないと思うからです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">なお、私は車を所有していません。車を所有しないという選択肢を取っています。<br />しかし、妻が職場で車がないと言うと、「あーそうなんだ。。。」と、同僚から同情の目を向けられることがあるそうです（笑）。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">これには先ほど紹介した他人との比較も関係しています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">みんなが当たり前に持っているものを自分が持っていないと抵抗感があり、みんなが当たり前に持っているものを他人が持っていないとこの人は何かおかしいとか可哀そうと考えるのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">さらには<strong>私たちはいったん自分が手に入れたものに大きな価値を植え付けます</strong>。<br />それは物に限らず、考え方や関係性や生活に対しても同じです。自分が苦労して手に入れた特権やライフスタイルを、みすみす手放したくはないのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">例え、高い目標を掲げて一生懸命取り組んできたことが、ある時、実は地球環境に良くないと分かったとしても、やめることはできません。長い年月をかけて積み上げた努力をやすやすと無為にすることができないからです。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">(5) 専門家や当局に対する不信感 Discredence</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">国際機関や各国の政策立案者は、気候に優しい行動を奨励するための多くのプログラムを作り実施してきました。しかし、これらのプログラムのほとんどには強制力がなく、個人が自主的に参加するかしないかを判断するだけです。違反した場合に制裁が伴うものでもありません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">政策立案者に対して強い不信感を持っている場合、市民は、そのプログラムを受け入れないどころか、逆に抵抗する確率が高くなります。例えそのプログラムが良いものであったとしてもです。もちろん、政府の施策に不備があったり、公平でない場合は、抵抗する確率はさらに高くなります。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">(6) 行動を変えるリスク Perceived risks</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">温室効果ガスの排出を削減したり、環境関連の行動を改善したりするための一歩として行動を変えることには、様々なリスクが伴います。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">行動を変えてうまくいくのか？想定される成果が出るのか？予期せぬ事態が生じることはないのか？持続可能なのか？周りの人たちから変な目で見られることはないのか？などです。</span></p>
<h6><span style="color: #262626;">(7) 行動の限界性 Limited behavior</span></h6>
<p><span style="color: #262626;">最後に、いくら行動を変えたとしても、それがあまりにもたいへんであったり、意味が感じられなければ、すぐ元の行動に逆戻りしてしまうという、行動定着に関する限界性があります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">環境問題に対応する行動による成果は、すぐには現れません。その成果が現れるのは何十年も先です。<br />目に見える成果がないため、定着しないのです。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～ ～ ～</p>
<h4><span style="color: #262626;">２．環境行動を妨げる社会的および文化的障壁</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">気候変動に対する私たちの反応には、心理的な内的要因の他に、社会文化的な外的要因（価値観、信念、規範など）が影響しています。つまり、個人が環境行動を取りたいと思っていても、それ以外の要因によって取ることができないケースがあるのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">先ほど紹介した「イデオロギー」や「他人との比較」とも重なりますが、それぞれの社会には、何をすべきか、何をすべきでないかに関するルール（規範）があります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">問題なのは、<strong>環境に配慮した私たちが取るべき新しい行動が、既存の社会規範に反していたり、相容れない場合がある</strong>ことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">たとえば、現代社会は、大量消費主義、グローバル化され規制緩和された経済活動が根幹をなしています。そして、それが気候変動の原動力になっています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">大量消費主義は私たちの生活に様々な便利を与える一方で、地球環境を蝕み続けます。気候変動に対処する行動を取ることは、消費主義や資本主義の否定、権威批判、社会批判、大衆に対する背信と受け取られる可能性があります。<br />つまり、<strong>気候変動を阻止する行動を取ることは、現代社会の批判であり、現代社会に浸透している価値観の否定になる</strong>のです。</span><br /><span style="color: #262626;">という私自身も、多くの人たちにとって耳の痛いことばかり書く、大衆の裏切者です（笑）。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">私たち日本人が装う「無関心」によって、他人と違う行動を取ることに対する不安や、周囲から非難される恐れを避けることができます。周囲に同調する機能を果たしています。<strong>環境問題解決のための行動は、日本人の価値観と共鳴しない</strong>のです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">地域によって異なる世界観が重要な役割を果たします。他の先進国の多様な文化的背景を持つ人たちは、日本人とは異なる視点と優先順位と独立性を持っているため、同じ環境問題に対してより自由に反応する可能性があります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一方で、アメリカでは概して、左派は環境問題に関心があり、右派は環境問題を軽視する傾向がありますが、環境そのものに対する意見と言うよりは、政治的イデオロギーが、環境問題に対する個人の意見を大きく左右しています。</span></p>
<p><p class="responsive-video-wrap clr"><iframe title="UQx DENIAL101x 1.3.5.1 From the experts: Psychology of denial" width="1200" height="675" src="https://www.youtube.com/embed/qLF6S7vlZDA?start=69&#038;feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" referrerpolicy="strict-origin-when-cross-origin" allowfullscreen></iframe></p></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～ ～ ～</p>
<h4><span style="color: #262626;">３．環境行動を妨げる経済的障害</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">電気自動車やエコ家電に買い替えるのにはお金が必要です。</span><br /><span style="color: #262626;">持続可能なエネルギー源に切り替えるために、ソーラーパネルを取り付けるのにもお金がかかります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">様々な政府の補助金はあるものの、環境負荷の低い行動を取りたくても、そのための経済的余裕がない場合があります。私たちは生きていかなくてはなりません。生活が成り立たなくなってまで、環境のために何かをすることはさすがにできません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一方で、環境に優しい行動は、概してお金のかからない行動でもあります。車の代わりに自転車や徒歩を利用すれば、環境負荷低減に貢献できるのみでなく、お金も節約できるし、健康面でもメリットがあります。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～ ～ ～</p>
<h4><span style="color: #262626;">４．環境行動を妨げる構造的障壁</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">環境行動は、単なる孤立した心理的プロセスではなく、社会的規範によって妨げられる心理社会的現象だけでもなく、構造的な問題でもあります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">私たちの社会の仕組みそのものが大量のエネルギー消費を前提にしているのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">環境に配慮した行動を取りたいと思っても、社会の仕組みがそうなっていないため、実現が難しいのです。</span><br /><span style="color: #262626;">例えば、公共交通が脆弱な地方で生活を維持するためには車を利用せざるを得ません。最寄りのスーパーマーケットが10キロ先にある人たちに、毎日自転車や徒歩で買い物に行けとは言えません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、逆から見れば、地方に住む人たちの多くは車を所有しているので、既にあるそのリソースをうまく利用可能にすれば、様々な問題の解決につなげることができます。</span><span style="color: #262626;"><strong>無いものを嘆くのではなく、すでにあるものを利用する</strong>のです。</span></p>
<p><div class="oceanwp-oembed-wrap clr"><blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="qfai02xGW1"><a href="https://www.a-output.com/asset-based-community-development">アセットベースのコミュニティ作り：「ないモノや問題」でなく「あるモノと可能性」に焦点を当てる</a></blockquote><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;アセットベースのコミュニティ作り：「ないモノや問題」でなく「あるモノと可能性」に焦点を当てる&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/asset-based-community-development/embed#?secret=B7cloPxA2u#?secret=qfai02xGW1" data-secret="qfai02xGW1" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">さいごに</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">今回、気候変動を認識しているのに、問題解決の行動を起こさない理由、行動を妨げる様々な障害を紹介しました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">多くの人が気候変動対策に取り組まないのは、「みんなが自己の利益ばかり考えていて、自然、環境を気にかけていないからだ」とよく言われます。もちろん、それも原因ではありますが、上で説明したように、問題を気にかけていて、気候変動対策に取り組む意欲があっても、社会的な制約や、構造的な制約によって、行動できない場合も少なくありません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>このような障壁は、より多くの人たちが気候変動対策を支援し、自ら体現し、構造的変化を促すことで取り除くことができます</strong>。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">行動の変化には消費者個人だけでなく、政府、企業、業界のイニシアティブが必要です。<br />政府主導の変化は、国民の支持がある場合に受け入れられやすくなります。国民の支持は、その施策のコストとメリットの単純な比較だけでなく、それが公平に分配されるかどうか、公正な意思決定のプロセスが遵守されているかにも左右されます。。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">多くの人たちが気候変動を自分事として捉え、問題に対処する行動を取っていることを伝えることが重要です。<br />そして、個人と団体の役割分担と責任を明確にすることが必要です。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<p><span style="color: #262626;">参考文献</span><br /><span style="color: #262626;">(1) Krista F Myers, Peter T Doran,John Cook, John E Kotcher, Teresa A Myers, “<a style="color: #262626;" href="https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/ac2774" target="_blank" rel="noopener">Consensus revisited: quantifying scientific agreement on climate change and climate expertise among Earth scientists 10 years later</a>“, Environmental Research Letters Vol.16 No. 10, 104030, 2021/10/20.<br />(2) Robert Gifford, “<a style="color: #262626;" href="https://doi.org/10.1037/a0023566" target="_blank" rel="noopener">The Dragons of Inaction : Psychological Barriers That Limit Climate Change Mitigation and Adaptation</a>”, American Psychologist, 66(4), 290–302, 2011.</span><br /><span style="color: #262626;">(3) Linda Steg, “<a style="color: #262626;" href="https://doi.org/10.1146/annurev-psych-032720-042905" target="_blank" rel="noopener">Psychology of Climate Change</a>”, Annual Review of Psychology, 2023. 74:391 &#8211; 421, 2022/9.</span></p>


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		<item>
		<title>公共財ゲームの表と裏：フリーライダーだけでなく、善意者も制裁を受ける罠</title>
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		<dc:creator><![CDATA[akito]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 29 Oct 2023 07:35:06 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[社会が変わる]]></category>
		<category><![CDATA[公共財]]></category>
		<category><![CDATA[変革の名言]]></category>
		<category><![CDATA[社会変革]]></category>
		<category><![CDATA[社会心理学]]></category>
		<category><![CDATA[規範]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>他人の善意にただ乗りする人、そのような人たちをフリーライダーと言いますが、社会への寄与が最も少ない人が、最も多くの恩恵を受けるという社会問題の課題の１つです。さらに問題を難しくするのは、善意にただ乗りする人に対してだけで [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p><strong><span style="color: #0f5459;">他人の善意にただ乗りする人、そのような人たちをフリーライダーと言いますが、社会への寄与が最も少ない人が、最も多くの恩恵を受けるという社会問題の課題の１つです。さらに問題を難しくするのは、善意にただ乗りする人に対してだけでなく、善意あふれる人に対しても不快感を持つ人たちが多く存在することです。</span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">公共財ゲーム：public goods game</span></h4>
<p><span style="color: #262626;"><a style="color: #262626;" title="公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法" href="https://www.a-output.com/public-goods-game" target="_blank" rel="noopener">以前</a>、<strong>公共財ゲーム（public goods game）</strong>と<strong>フリーライダー（free rider）</strong>の問題を紹介しました。</span><br />
<span style="color: #262626;">公共財ゲームは、個人の利益と全体の利益が相反する状況で、人はどう判断し行動するのか知るためのゲームです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">具体的には、グループの共同基金にメンバーがそれぞれ好きな金額を自分で決めて入れます。</span><br />
<span style="color: #262626;">そして、共同基金に集まったお金は、何倍かされて、メンバーに均等に再分配されます。<br />
では、あなたがこのグループのメンバーなら、いくら投じますか？というゲームです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">詳細は<a style="color: #262626;" title="公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法" href="https://www.a-output.com/public-goods-game" target="_blank" rel="noopener">以前の記事</a>をご覧頂きたいと思いますが、結果的に、共同基金に投じた金額が少ない人ほど一番得をし、最も多く貢献した人が一番損をします。社会への寄与が最も少ない人が、最も多くの恩恵を受ける、この問題はフリーライダーと呼ばれます。日本語では「ただ乗り」と言われますね。</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="63wr03Sb7J"><p><a href="https://www.a-output.com/public-goods-game">公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/public-goods-game/embed#?secret=9Cs4RFbctH#?secret=63wr03Sb7J" data-secret="63wr03Sb7J" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">公共財ゲームのもうひとつの問題</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">実は、公共財ゲームは、フリーライダーと真逆の問題も含みます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">公共財ゲームで、最も貢献が高い人たちは、世界をより良い場所にしようとする、社会にとって大切な人たちです。</span><br />
<span style="color: #262626;">しかし、その貢献度が高すぎると、周囲の人たちから歓迎されないこともあるのです。歓迎されないどころか、厳しく評価されることさえあります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">「そんなことありえないでしょ！」と思う人がいるかもしれません。そのような人は次のゲームを考えてみてください。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">公共財ゲームで、同じグループに所属する５人が共同基金にお金を投じます。５人はみな経済的には同程度の人たちです。</span><br />
<span style="color: #262626;">Aさんは500円、Bさんも500円、Cさんは600円投じました。Dさんは１円も投じませんでした。Eさんは、共同基金の目的に強く共感し、可能な限り貢献したいと思い、１万円を投じました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-18190 aligncenter" src="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation.png" alt="" width="669" height="248" srcset="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation.png 1283w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-300x111.png 300w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-1024x380.png 1024w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-768x285.png 768w" sizes="(max-width: 669px) 100vw, 669px" /></span></p>
<p><span style="color: #262626;">もし、あなたが、AさんやBさんやCさんであった場合、DさんやEさんの行動をどう思うでしょうか？</span></p>
<p><span style="color: #262626;">Dさんは共同基金の仕組みにただ乗りしている完全なフリーライダーですね。あなたはDさんのことをずるいとか不公平だと思うでしょう。何らかの罰を与えたり、グループから追い出したいとさえ思うかもしれません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ではEさんをどう思いますか？その素晴らしい行動を心から褒めたたえることができるでしょうか？</span></p>
<p><span style="color: #262626;">驚くことに、その反対で、最も献身的で利他的なEさんに対して、不快な感情を抱く人が多いのです。<br />
極端な利他主義者であるEさんは、最悪のフリーライダーであるDさんと同じように、人からよく思われないことがあるのです。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">善意者蔑視：do-gooder derogation<sup>(1)(2)(3)(4)(5)</sup></span></h4>
<p><span style="color: #262626;">信じられないほど親切で道徳的にまっすぐな人たち、自己本位ではなく他人本位で、社会のために優先して行動する人たち、コミュニティのためにできることをしようとする人たち、、、このような人たちを気にいらない人たちがいます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">この心理を英語で「<strong>do-gooder derogation</strong>」と呼びますが、適当な日本語訳が見当たらないので、「<strong>善意者蔑視</strong>」と訳しましょう。<br />
「<strong>antisocial punishment</strong>」と呼ばれることもあります。日本語にすると「<strong>反社会的懲罰</strong>」でしょうか。</span><span style="color: #262626;">ちょっと分かりづらいですが、「反社会的な行動に対する懲罰」という意味ではなく、「懲罰が反社会的」という意味です。</span><br />
<span style="color: #262626;">どちらも社会に役立つ行動を取っている人を蔑む心理です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">善意者を蔑視する心理はとても非合理的なように感じますが、実は私たちの多くが抱く心理でもあります。</span><br />
<span style="color: #262626;">利他的な行動を賞賛したり支持するのではなく、むしろその逆の感情を抱きます。「鼻持ちならない」とか「善意者ぶっている」とか「何か裏があるんじゃないの？」などと、利他的行為を厳しく評価したり、その動機に疑問を抱いたり、仲間外れにしようとするのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">なぜでしょうか？</span></p>
<p><span style="color: #262626;">なぜなら、その人たちと自分を比べるからです。</span><br />
<span style="color: #262626;"><strong>人に対する評価は「相対的」です。つまり、他の人の評価が上がれば、自分の評価は下がります。</strong><br />
これは他人に対して強い競争意識を生み出します。そのため、他人が自分より評価を上げないように常に注意を払う人たちがいるのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一般的に、他人や社会に献身的に活動する人たちは、社会から評価されます。</span><br />
<span style="color: #262626;">しかし、その人がグループの中の誰かである場合、グループの中での自分の評価は相対的に下がることを意味しますが、そのことが気に入りません。</span><br />
<span style="color: #262626;">また、その人に比べて、道徳的で利他的な行動を取っていない自分がバツ悪く感じられることもあります。</span><br />
<span style="color: #262626;">そのため、純粋な貢献の気持ちから行動しているのではなく、周囲からよい評判を得ようとしてやっているだけだなどと言って中傷することさえあるのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">この心理現象は、多くの研究でも確認されています。<sup>(2)(3)(4)(5)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">「善意者蔑視」「反社会的懲罰」は、程度の差こそあれ、ほとんどの文化圏で存在しますが、特に、社会規範が強い国ほど、また、個人主義より集団主義が強い国ほど、善意者を蔑視する傾向が強くなります。<br />
そのような国では、悪い方に振れようが、良い方に振れようが、社会規範から外れている人たちすべてを罰し、社会規範に従わせようとするのです。</span><br />
<span style="color: #262626;">ただし、フリーライダーに対しては公然と非難するのですが、過度な利他主義者に対しては直接的な制裁を避けて、間接的に制裁を与えようとすることが多いです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">この心理傾向は人生の早い時期、８歳頃には現れるという研究結果があります。<sup>(6)</sup></span><br />
<span style="color: #262626;">つまり、私たちに物心がつき、大人になる頃には、すでにこのような心理特性が備わってしまっているのです。</span></p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-18198 aligncenter" src="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-2.png" alt="" width="715" height="225" srcset="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-2.png 1191w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-2-300x94.png 300w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-2-1024x322.png 1024w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/10/do-gooder-derogation-2-768x242.png 768w" sizes="(max-width: 715px) 100vw, 715px" /></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">善意者蔑視に陥らないためには</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">では、善意者蔑視に陥らないためにはどうすればよいのでしょうか？</span></p>
<p><span style="color: #262626;">善意者を蔑視する側と、される側の立場に分けて考えてみましょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">まず、善意者を蔑視する側の人たちは、ここで説明したような、他人の親切行為に接して生まれる自分の感情の仕組みを理解することです。</span><br />
<span style="color: #262626;">本サイトでも繰り返し説明していますが、自分の行動や思考を変えるためには、まずその行動や思考を認識し、それがなぜ起きるのか知ることが大切です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">善意をする側の人たちにも同じことが言えますが、寛大さが歓迎される場合と、反発される場合があることを理解することが大切です。</span><br />
<span style="color: #262626;">そして、他人の評判を落としたり、プライドを傷つけたりすることなく、さらには、地位や名誉のために行動しているのではないかと疑念を抱かれたり、偽善者と中傷されることなく、善意を行う方法を知り、寛大さのバランスをとることです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">例えば、あるオンライン寄付のホームページを分析したところ、高額寄付者ほど、匿名を希望することがわかりました。彼らは、派手な親切行為が、そのページを見ている他の人たちから恨みや妬みを買う恐れがあることを知っているからです。<sup>(7)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">また、ある人が、献血センターに行き、献血したとしましょう。友人や職場の人たちは、その行動に好印象を受けます。</span><br />
<span style="color: #262626;">しかし、その目的が献血後に受け取る特典のためだと思うと、社会的評価は下がってしまいます。やっていることはまったく同じで、間違いなく良いことをしているにもかかわらず、評価が下がってしまうのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>人は常に他人の行動の背景にある理由を推測しようとしています。</strong>そうした推測は正しいときがあるかもしれませんし、正しくないかもしれません。私たちはしばしば、確かな事実よりも直感に基づいて物事を判断します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">親切な行為をする時は、できるだけ透明性を保つことです。そうでなければ、あなたが地位や名誉を得るために作為的に何かをしているように見てしまう人がいるのです。<br />
あなたは純粋に親切な行為を世の中に広めたいと思うかもしれません。多くの人が認識してくれれば、影響力を高めることができます。しかし、一方で、残念ながらその思いが少しでも利己的だと判断されると、評価を落としてしまう可能性があります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">「なぜ善意をする側の人間がこんなに気を配らなければならないんですか！」とジレンマを感じるかもしれませんが、結局のところ、善意の誹謗中傷を避ける確実な方法は、その行為をできるだけ隠して行うことかもしれません。<sup>(1)</sup></span></p>
<blockquote><p><span style="color: #262626;">この世で最も気持ちのいいことは、匿名で善い行いをして、それを誰かが見つけることである。</span><br />
<span style="color: #262626;">～ オスカー・ワイルド</span></p>
<p><span style="color: #262626;">The nicest feeling in the world is to do a good deed anonymously-and have somebody find out.</span><br />
<span style="color: #262626;">～ Oscar Wilde</span></p></blockquote>
<p><span style="color: #262626;"> </span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<p><span style="color: #262626;">参考文献</span><br />
<span style="color: #262626;">(1) David Robson, &#8220;<a style="color: #262626;" href="https://www.bbc.com/worklife/article/20211122-why-overly-kind-and-moral-people-can-rub-you-up-the-wrong-way" target="_blank" rel="noopener">‘Do-gooders’ are often judged harshly. Why do we resent their acts of altruism or question their motives?</a>&#8220;, bbc.com, 2021/8/17.</span><br />
<span style="color: #262626;">(2) Benedikt Herrmann, Christian Thöni, Simon Gächter, “<a style="color: #262626;" href="https://www.science.org/doi/10.1126/science.1153808" target="_blank" rel="noopener">Antisocial Punishment Across Societies</a>”, Science, Vol 319, Issue 5868, pp. 1362-1367, 2008/3/7.<br />
(3) Nichola J. Raihani, Eleanor A. Power, &#8220;<a style="color: #262626;" href="https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37588551/" target="_blank" rel="noopener">No good deed goes unpunished: the social costs of prosocial behaviour</a>&#8220;,<br />
Evolutionary Human Sciences, 3, e40, 1-21, 2021.<br />
(4) Craig D Parks, Asako B Stone, &#8220;<a style="color: #262626;" href="https://doi.org/10.1037/a0018403" target="_blank" rel="noopener">The desire to expel unselfish members from the group</a>&#8220;, Journal of Personality and Social Psychology, 99(2), 303–310. 2010.<br />
(5) Benoît Monin, &#8220;<a href="https://www.cairn.info/revue-internationale-de-psychologie-sociale-2007-1-page-53.htm" target="_blank" rel="noopener">Holier than me? Threatening Social Comparison in the Moral Domain</a>&#8220;, Revue internationale de psychologie sociale, p.53-68., 2007/1.<br />
(6) Arber Tasimi, Amy Dominguez, Karen Wynn, &#8220;<a style="color: #262626;" href="https://doi.org/10.3389/fpsyg.2015.01036" target="_blank" rel="noopener">Do-gooder derogation in children: the social costs of generosity</a>&#8220;,<br />
Front. Psychol., Sec. Developmental Psychology, Volume 6 &#8211; 2015, 2015/7/21.<br />
(7) Nichola Raihani, &#8220;<a style="color: #262626;" href="https://doi.org/10.1098/rsbl.2013.0884" target="_blank" rel="noopener">Hidden altruism in a real-world setting</a>&#8220;, Biology Letters, Royal Society Publishing. 10, 2014/1/1.</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="VAhJbe7CIo"><p><a href="https://www.a-output.com/social-comparison-theory">社会的比較理論 Social Comparison Theory ：人と比べることの良い面と悪い面</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;社会的比較理論 Social Comparison Theory ：人と比べることの良い面と悪い面&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/social-comparison-theory/embed#?secret=dussnnopei#?secret=VAhJbe7CIo" data-secret="VAhJbe7CIo" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
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		<title>異常気象が問題ではなく、変わらない私たちの考え方や行動様式が問題</title>
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		<dc:creator><![CDATA[akito]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 03 Sep 2023 09:06:15 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[社会が変わる]]></category>
		<category><![CDATA[モラル]]></category>
		<category><![CDATA[公共政策]]></category>
		<category><![CDATA[公共財]]></category>
		<category><![CDATA[変化への恐怖]]></category>
		<category><![CDATA[現状維持]]></category>
		<category><![CDATA[環境問題]]></category>
		<category><![CDATA[認知バイアス]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>異常気象や自然災害が多くなりました。その原因となっている地球温暖化は、人間の活動がもたらしていることが明らかになっています。しかし、私たちはその事実を受け入れなかったり、受け入れても他人事のように捉えて行動に移すことはあ [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p><strong><span style="color: #0f5459;">異常気象や自然災害が多くなりました。その原因となっている地球温暖化は、人間の活動がもたらしていることが明らかになっています。しかし、私たちはその事実を受け入れなかったり、受け入れても他人事のように捉えて行動に移すことはありません。今回はその心理的、構造的なメカニズムを紹介します。</span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">地球温暖化は私たちが引き起こしている</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">この文章を書いているのは、2023年9月初旬です。ここ数年暑い夏が続いていますが、今年の夏も暑かった去年よりさらに暑く、まだまだ暑い日が続いていて、メディアは異常気象だと繰り返し報道しています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">地球の気候は長い歴史の中で変化してきました。過去80万年間に、氷河期と温暖期が８回繰り返され、最後の氷河期が終わった約1万1700年前が、現代の気候の始まりであり、人類の文明の始まりです。これまでの気候変動のほとんどは、地球の軌道のごくわずかな変動によって、地球が受ける太陽エネルギーの量が変化したことに起因しています。<sup>(1)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、現在私たちが経験している急激な温暖化は、そのような過去の気候変動とは異なるもので、1800年代半ば以降の人間の活動が原因だということが明らかになっています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">下のグラフは、氷床コアに含まれる大気サンプルと、より最近の直接測定に基づく大気中のCO2レベルを表すもので、産業革命以降、急激に増加していることが分かります。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">図：大気中のCO2レベルの変化<sup>(1)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;"><a style="color: #262626;" href="https://climate.nasa.gov/evidence/" target="_blank" rel="noopener"><img loading="lazy" decoding="async" class=" wp-image-17748 aligncenter" src="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/09/co2-graph-072623.jpg" alt="" width="682" height="426" srcset="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/09/co2-graph-072623.jpg 1280w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/09/co2-graph-072623-300x188.jpg 300w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/09/co2-graph-072623-1024x640.jpg 1024w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2023/09/co2-graph-072623-768x480.jpg 768w" sizes="(max-width: 682px) 100vw, 682px" /></a></span></p>
<p><span style="color: #262626;">最新の科学情報、社会経済情報に基づき、世界で最も権威ある評価を行っている<a style="color: #262626;" href="https://www.ipcc.ch/" target="_blank" rel="noopener">気候変動に関する政府間パネル（IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change）</a>の<a style="color: #262626;" href="https://www.ipcc.ch/report/ar6/syr/" target="_blank" rel="noopener">第6次評価報告書「気候変動2023」</a>では、人間の活動は、主に温室効果ガスの排出によって、明らかに地球温暖化を引き起こしており、持続不可能なエネルギー利用、土地利用、開発、ライフスタイル、消費と生産のパターンが、世界中のあらゆる地域の異常気象に影響を及ぼしている確度が高いと述べています。<sup>(2)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">人間が温暖化を引き起こしていることを裏付ける科学的証拠は数多くありますが、一般的にその専門性が高いほど、地球温暖化は人為的作用であるという科学的コンセンサスが高く、独立した153人の気候専門家グループのうち、98.7％の科学者が、地球温暖化は、化石燃料の燃焼などの人間の活動が主な原因だと回答しています。<br />
さらに、<strong>世界で最も高度な専門知識を持つ科学者の間では、地球温暖化のほとんどが人間の活動によるものだという意見で100％一致しています</strong>。<sup>(3)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、異常気象は、地球や気候が異常なのではなく、私たちの異常なまでのエネルギー利用がもたらしているのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">上のグラフからも分かるように異常なのは私たちなのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、不思議なことに、人間の活動が気候変動を引き起こしているという科学的証拠や科学者のコンセンサスが明らかであるにもかかわらず、それを否定する人たちがいまだに多くいます。<sup>(4)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">私たちの世代は、快適な生活様式と引き換えに、大量の化石燃料を含めたエネルギー利用を増やし続けています。これほどまで持続可能性に懸念が抱かれているのにもかかわらず、実際に問題を食い止めるための行動に移す人はごくわずかです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">IPCCのような報告書が気候科学の決定的な根拠として機能する一方で、問題の解決には、科学的、技術的な研究とともに、私たち人間の心理的メカニズムを理解する必要があります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">今回は環境問題の解決を妨げるそのような心理的障害、構造的障害を紹介します。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">環境問題の解決を妨げる心理的、構造的な障害</span></h4>
<h5><span style="color: #262626;">１．社会的ジレンマ（social dilemma）とコモンズの悲劇（tragedy of the commons）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;">まず、<a style="color: #262626;" title="公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法" href="https://www.a-output.com/public-goods-game" target="_blank" rel="noopener">以前本サイトで紹介した<strong>社会的ジレンマ（social dilemma）</strong>と<strong>コモンズの悲劇（tragedy of the commons）</strong></a>を挙げましょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>社会的ジレンマ</strong>は、みんなが協力した方がよいのに、個人の利益と全体の利益が相反するため、個人の利益を優先して協力せず、結果として全員に不利益をもたらすことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>コモンズの悲劇</strong>は、そのような社会的ジレンマがある状況で、全体の利益に反して、自分の利益を優先して自由に行動した結果、共通の資源（コモンズ）を枯渇させてしまうことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">環境問題に関しても、CO2削減目標などについて各国がけん制し合っていますね。ある一部の国だけが頑張っても、他の国が自国の利益を優先して何もしなければ環境問題はほとんど解決されないという<strong>社会的ジレンマ</strong>があります。多くの国が何も対策しなければ、<strong>コモンズの悲劇</strong>を引き起こします。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">逆に他の国々が頑張れば、何もしない国もその恩恵を受けることができます。このような</span><span style="color: #262626;">自己利益を優先して公共の利益には貢献せず、他人の努力や貢献にただ乗りする人たちを<strong>フリーライダー</strong>と言います。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">フリーライダーは、社会の利他的、協力的な行動も妨げます。<br />
その存在を野放しにする限り、環境問題が解決されることはありません。。</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="d5MYSa8NoD"><p><a href="https://www.a-output.com/collective-action-problem">社会的ジレンマ：全体の利益のためではなく、自分の利益のために行動してしまうこと</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;社会的ジレンマ：全体の利益のためではなく、自分の利益のために行動してしまうこと&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/collective-action-problem/embed#?secret=DPdRZ2O64S#?secret=d5MYSa8NoD" data-secret="d5MYSa8NoD" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="ugbQ0zPDOT"><p><a href="https://www.a-output.com/public-goods-game">公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/public-goods-game/embed#?secret=TUhbR3p53r#?secret=ugbQ0zPDOT" data-secret="ugbQ0zPDOT" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～</span></p>
<h5><span style="color: #262626;">２．責任の拡散（diffusion of responsibility）と傍観者効果（bystander effect）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;">私たちの多くは環境問題に関して、当事者ではなく傍観者の立場をとります。<br />
異常気象に驚きや不満の言葉を並べたり、テレビに映る大規模火災や大雨の被害に「今年もか。大変だなー」と心は痛めます。<br />
しかし、他人事です。いつか自分にも降りかかる問題だとも、自分自身がその原因の一部だとも夢にも思っていません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>傍観者効果（バイスタンダー効果）</strong>は<a style="color: #262626;" title="Moral Disengagement：私たちが平然と道徳から逸脱できる仕組み" href="https://www.a-output.com/moral-disengagement" target="_blank" rel="noopener">以前も取り上げました</a>が、無責任、無関心で、受動的なバイスタンダー（傍観者）が多くいればいるほど、問題解決のために行動に移す人が少なくなるという現象です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">より多くの傍観者の中に紛れるほど、私たちは責任を感じにくくなります。例えば、ある交通事故を目撃したのが自分ひとりだったのにもかかわらず、警察に通報せずに事故現場を通り過ぎて被害者が亡くなってしまったら責任を感じるでしょう。しかし、目撃者が100人いて、100人みんなが何もしなければ、自分を責める気持ちは薄まります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">いまや世界の人口は80億を超えています。<br />
80億人すべてが「自分は80億分の1にすぎず、変化を起こす力はない」と考えれば、問題は何も解決できません。この<strong>責任の拡散（diffusion of responsibility）</strong>が、私たちを地球温暖化に対して無責任、無関心にしているのです。<br />
さらに、私たち地球人は互いに見知らぬ者同士であり、その匿名性が傍観者効果をより一層強めるのです。</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="mUVGEnkLav"><p><a href="https://www.a-output.com/moral-disengagement">Moral Disengagement：私たちが平然と道徳から逸脱できる仕組み</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;Moral Disengagement：私たちが平然と道徳から逸脱できる仕組み&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/moral-disengagement/embed#?secret=NIUAC9Ehlm#?secret=mUVGEnkLav" data-secret="mUVGEnkLav" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～</span></p>
<h5><span style="color: #262626;">３．評価不安（evaluation apprehension）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;"><strong>評価不安（evaluation apprehension）</strong>は、人前で行動を起こすときに、まわりの人たちから「この人何やってるんだろう？」とか「そんなことしてどんな意味があるんだろう？」などとバカにされたり、不思議がられることを恐れることです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">言い換えれば、私たちは、他人に見られていると思うと、間違いを犯したり、悪く評価されることを恐れて、危機的な状況で行動を起こすことができなくなります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">地球温暖化のような曖昧な状況では特にそうです。私たちが環境にやさしい行動を取ることをためらうのは、人と違った行動を取ることで人から馬鹿にされたくないとか、偽善者だと思われたくないことも理由です。<br />
そのため、周囲の人たちの行動をお互いが探り合って、結局何もしないという選択肢をみんなが取り続けるのです。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～</p>
<h5><span style="color: #262626;">４．単一行動バイアス（single action bias）と自分が正しいという錯覚（illusion of being right）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;">日本でも数年前からエコバッグを使うことが普及し、完全に定着しましたね。また、環境にやさしいとうたうエコ商品も増えてきました。それらを利用することは、環境問題に取り組む大切な一歩です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、残念ながら、世界中のすべての人がエコバッグを利用しても、それだけでは地球温暖化の問題解決にはまったく不十分です。それぞれが次の取り組みへと歩を進めていかなければ問題は解決しません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ところが、中には「私はエコバッグを利用しているから環境に貢献している」と考えるだけでなく、「私はエコバッグを利用していて十分に環境に貢献しているからそれ以上のことはしなくてもよい」と考える人がいます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">この考えを<strong>単一行動バイアス（single action bias）</strong>と言います。ある１つの行動をしているだけで、責任のすべてを果たしていると思い込むことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">「勤めている会社が環境事業を行っているから、私個人は特に何かする必要はない」という考えも同様です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">これは<a style="color: #262626;" href="https://www.a-output.com/cognitive-dissonance" target="_blank" rel="noopener">以前紹介した認知的不協和（Cognitive dissonance）</a>とも関連しています。<br />
環境問題が深刻になってきているのにもかかわらず何もしないのはバツが悪いのです。しかし、本気で取り組むことはとても大変で面倒なので、できれば避けたいとも思います。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">その自己矛盾、つまり、内的な不調和（<strong>認知的不協和</strong>）を解消するために、わずかな取り組みをすることで自分は環境問題に貢献していると自分を納得させ、自分を正当化するのです。</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="TwF8ceJUXi"><p><a href="https://www.a-output.com/cognitive-dissonance">認知的不協和って何？ パーパスで個人や組織の矛盾を乗り越え成長につなげよう</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;認知的不協和って何？ パーパスで個人や組織の矛盾を乗り越え成長につなげよう&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/cognitive-dissonance/embed#?secret=T89kYWOw5J#?secret=TwF8ceJUXi" data-secret="TwF8ceJUXi" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～</p>
<h5><span style="color: #262626;">５．利用可能性バイアス（Availability bias, Availability heuristic）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;">私たちは、自分の記憶の中にある物事の方が、記憶にない物事より起きる可能性が高いと考えます。これを<strong>利用可能性バイアス（Availability bias）</strong>と言います。このバイアスのため、何か意思決定をする際に、必要なデータを新たに収集しようとせず、頭の中に思い浮かんだ過去の記憶を利用しようとします。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">気候変動に関して言えば、先ほど紹介したIPCCなどの客観的な証拠を調べることなく、自分の経験を判断の材料に使うのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">言い換えれば、もし深刻な気候現象（例えば、洪水、竜巻、干ばつなど）を直接経験したことがなければ、そのようなことは自分の身には起きないだろうと考えます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">日本だけでなく世界のいたるところで、こんなにも自然災害による大規模な被害が発生しているのに、いまだに何か起きると「まさかこの町でこんな災害が起きて、自分の身に被害が降りかかるなんて思ってもいなかった」などとコメントする人たちには、この利用可能性バイアスにやられています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">また、過去や現在の正常で安全安心な状態が、これからもずっと続いていくと信じ、未来の脅威や災害の可能性を過小評価する<strong>正常性バイアス（Normalcy bias）</strong>も関係しています。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～</p>
<h5><span style="color: #262626;">６．現在バイアス（Present bias）と将来利益の割引（discount the future）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;">私たちが地球に及ぼした負の痕跡は、数年の努力で巻戻しできるようなものではありません。問題解決には長い年月が必要です。</span><span style="color: #262626;">しかし、私たちは長期的なメリットよりも、短期的な利便性や楽しみを優先します。つまり、私たちは何年先に受け取るか分からない恩恵よりも、目先のメリットに飛びつくのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>現在バイアス（Present bias）</strong>は、将来的な問題の解決や、より大きな将来の利益を待つよりも、小さくても、すぐ手に入る利益を好む傾向を表すものです。私たちは遠くにある大きな報酬より目の前にある小さな報酬を望みます。明日受け取る1100円よりも、今日受け取ることができる1000円を選びます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">例えば、車で買い物に行くか、バスで買い物に行くかを選ぶ場合、「暑いし、楽だから、車でいくか！」と、環境にやさしくない目の前の快適さや便利さについ飛びつくのです。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～</span></p>
<h5><span style="color: #262626;">７．人間中心主義（Anthropocentrism）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;"><strong>人間中心主義（anthropocentrism）</strong>は、生活を豊かにするために人間が自然を無制限に利用しても問題ない、資源は人間が利用するためにあると考える人間中心の考え方です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">人間中心主義をあからさまに主張する人はそれほどいないでしょうが、驚くほど多くの人たちに無意識に浸透している考えです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">私たちの生活は、地球の限られた資源やエコシステムの上に成り立っていますが、人間中心主義者は自分の生活と自然とを完全に切り離して考えています。限界を超えて資源を搾取したり、バランスを逸脱して自然を破壊し続けるとどうなるかなど気にも留めません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">土や虫をゴミのように汚いものとして扱ったり、外観や快適性、経済性重視で、少しでも見た目が悪い野菜を捨てたり、自然の恩恵の多くを無駄にします。人間の活動領域を無尽蔵に拡大する一方で、住処を追われて住宅地に現れた動物たちを悪者にします。人間が住む場所には他の動物は住むべきではないと思っているのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">一歩引いて、自然を共有している他の種全体と自分たちを対等に見るべきですが、この考えを受け入れることは多くの人たちにとって想像以上に困難なのです。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～</p>
<h5><span style="color: #262626;">８．アンカー効果（anchor effect）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;">地球の気温がたった１度上昇しただけでも、ものすごいインパクトを世界中に及ぼします。<br />
しかし、私たちが住む日本は、夏は35度を超えるのが当たり前となり、冬は氷点下を下回るような気温を毎年繰り返します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">この季節による大きな気温の変化が<strong>アンカー効果（anchor effect）</strong>をもたらします。年間の気温の変化は30度位あるのだから、たった１度や２度の気温の上昇は大したことないよ、エアコンを効かせればなんとかなるよと考えて、温暖化の問題を過小評価してしまうのです。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～</p>
<h5><span style="color: #262626;">９．損失回避（loss aversion）、コミットメント・バイアス（commitment bias）、サンクコストファラシー（sunk-cost fallacy）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;">私たちには、もし、利益を取得できるチャンスと損失を回避できるチャンスの２つの選択肢がある場合、利益を取るよりも、損失を避ける選択肢を取る傾向があります。その傾向を<strong>損失回避（loss aversion）</strong>と言います。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">つまり、新しく何かを得ようとするより、今までに得たものを失うことを嫌がり、それを守ろうとするのです。<br />
１万円をだれかにもらう喜びより、１万円をどこかに落として無くしてしまう落ち込みの度合いの方が大きいのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">今まで一生懸命働いてきたり、経済的リスクを取ってきて、豊かな生活を築き上げた人たちがいるでしょう。<br />
ある時、その生活が大量のエネルギーを消費し大量の二酸化炭素を排出するライフスタイルであったと気付きます。しかし、もはやその快適なライフスタイルを簡単に手放すことはできません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">私も、もしそのような立場にいたらできないでしょう（笑）。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">その選択肢が誤りであることを示す証拠があるにもかかわらず、単にいままで多くの努力、資源、お金、時間を投資してきたという理由だけで、その努力を正当化して続けることを<strong>サンクコストファラシー（サンクコストの誤謬、sunk-cost fallacy）</strong>と言います。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">当初自分が立てた将来の計画や目標、主張や主義（コミットメント）に反する明確な証拠があるにもかかわらず、それを支持し続けることを<strong>コミットメントバイアス（commitment bias）</strong>と言いますが、サンクコストの誤謬とよく似ています。<br />
いったん目標を設定すると、それ以外のことが見えにくくなる<strong>トンネル効果</strong>も同じ現象を表す言葉です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">サンクコストファラシーが過去に投資した資産（サンクコスト）を無駄にしたく心理を表すのに対して、コミットメントバイアスは、今までの自分の努力や、築き上げてきた人生を手放したくないという心理を表します。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">これらは、気候変動が将来もたらすであろう深刻な影響にもかかわらず、今まで築き上げてきたライフスタイルを維持したいと思う大きな理由です。</span></p>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～</p>
<h5><span style="color: #262626;">10. 習慣（habits）</span></h5>
<p><span style="color: #262626;"><strong>習慣（habits）</strong>は皆さん誰もがご存じですね。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">習慣とは定期的に行うルーティンのことで、意識しなくても行えるほど体に染みついています。気候変動に対応するには、体に染みついた私たちの習慣を変えなければなりません。しかし、いったん身についた習慣は変えるのは容易ではありません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">長年続けてきた食習慣や余暇の過ごし方を変えるのは誰にとっても容易ではありませんよね。しかし、逆に言えば、いったん新しい行動を習慣化できれば、特に意識しなくても継続することができるようになります。</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="iCw2jmw0oD"><p><a href="https://www.a-output.com/psychology-of-climate-change">気候変動を認めているのに行動に移さない理由 Psychology of Climate Change</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;気候変動を認めているのに行動に移さない理由 Psychology of Climate Change&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/psychology-of-climate-change/embed#?secret=6HlMjYgDM5#?secret=iCw2jmw0oD" data-secret="iCw2jmw0oD" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">さいごに</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">以上10点紹介しましたが、私たちが環境問題に対処できない心理的、構造的なメカニズムは、その他にも数多く存在します。たとえば、次のようなバイアスです。もっと挙げようと思えば、いくらでも挙げることができますが、きりがないので、今回はここまでにさせて下さい。。。</span></p>
<ul>
<li><span style="color: #262626;">自分の考えや信念にあう情報は積極的に取り入れるが、自分の考えに反したり、自分の行動を変えることにつながる都合の悪い情報は否定するという、自分が見たいものだけを見る、<strong>確証バイアス（confirmation bias）</strong>、<strong>同化バイアス（assimilation bias）</strong></span></li>
<li><span style="color: #262626;">何か新しいことに取り組むのは、リスクや不安や面倒や手間をもたらすため、できるだけ避けて、可能な限り現状を維持しようとする<strong>現状維持バイアス（status-quo bias）</strong></span></li>
<li><span style="color: #262626;">必ず誰かが、気候変動の問題を解決する技術を見つけれてくれて、自分は特に何もしなくてもなんとかなる、物事は自分に良い方向に進むと考えて、リスクを過小評価する<strong>楽観バイアス（optimism bias）</strong></span></li>
</ul>
<p style="text-align: center;">～ ～ ～ ～ ～</p>
<p>本サイトでは、<span style="color: #262626;"><a title="正常性バイアス、確証バイアス、突出バイアス、メディアバイアス。。コロナウイルスの様々なバイアス" href="https://www.a-output.com/covid19-bias" target="_blank" rel="noopener">以前</a>、コロナウイルスのパンデミックの最中に私たちの判断や行動に影響を及ぼした様々なバイアスを紹介しました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">温暖化に関しても、これらの心理的、社会的、構造的要因を理解する人が増えれば、そして私たち１人１人に責任があると自覚することができれば、全体として私たちが正しい方向に前進する原動力となります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、悲しいかな、人間の歴史をたどってみても、このようなケースで世界中すべての人が正しく理解し正しい方向に軌道修正することは決してありません。それどころか、ほとんどの人が永遠に理解することさえないでしょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">そのため、温暖化のような問題を個人の自主性だけに頼るのには限界があります。必要なのはリーダーシップです。<br />
正しく物事を理解しているリーダーたちが協力して、そのような行動を多くの人に促すように、社会の仕組み自体を少しづつ変えていかなければならないのです。</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="2WsLOdpBu1"><p><a href="https://www.a-output.com/covid19-bias">正常性バイアス、確証バイアス、突出バイアス、メディアバイアス。。コロナウイルスの様々なバイアス</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;正常性バイアス、確証バイアス、突出バイアス、メディアバイアス。。コロナウイルスの様々なバイアス&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/covid19-bias/embed#?secret=cHsY8WkvyB#?secret=2WsLOdpBu1" data-secret="2WsLOdpBu1" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<p><span style="color: #262626;">参考文献</span><br />
<span style="color: #262626;">(1) “<a style="color: #262626;" href="https://climate.nasa.gov/evidence/" target="_blank" rel="noopener">How Do We Know Climate Change Is Real?</a>”, the Earth Science Communications Team at NASA&#8217;s Jet Propulsion Laboratory / California Institute of Technology, 2023/8/24.</span><br />
<span style="color: #262626;">(2) IPCC, 2023: Sections. In: Climate Change 2023: Synthesis Report. Contribution of Working Groups I, II and III to the Sixth </span><span style="color: #262626;">Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Core Writing Team, H. Lee and J. Romero (eds.)]. IPCC, Geneva, Switzerland, pp. 35-115, doi: 10.59327/IPCC/AR6-9789291691647</span><br />
<span style="color: #262626;">(3) Krista F Myers, Peter T Doran,John Cook, John E Kotcher, Teresa A Myers, &#8220;C<a style="color: #262626;" href="https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/ac2774" target="_blank" rel="noopener">onsensus revisited: quantifying scientific agreement on climate change and climate expertise among Earth scientists 10 years later</a>&#8220;, Environmental Research Letters Vol.16 No. 10, 104030, 2021/10/20.<br />
(4) Per Espen Stoknes,&#8221;<a style="color: #262626;" href="https://doi.org/10.1016/j.erss.2014.03.007" target="_blank" rel="noopener">Rethinking climate communications and the psychological climate paradox</a>&#8220;, Energy Research &amp; Social Science. 1: 161–170. 2014/3/1.</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="d0OgijnI2v"><p><a href="https://www.a-output.com/less-is-more-degrowth">Less is more 脱成長：経済成長を目指さない社会</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;Less is more 脱成長：経済成長を目指さない社会&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/less-is-more-degrowth/embed#?secret=jJCSAJaP9u#?secret=d0OgijnI2v" data-secret="d0OgijnI2v" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>The post <a href="https://www.a-output.com/psychology-in-climate-change">異常気象が問題ではなく、変わらない私たちの考え方や行動様式が問題</a> first appeared on <a href="https://www.a-output.com">あきと アウトプット</a>.]]></content:encoded>
					
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			</item>
		<item>
		<title>公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法</title>
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		<dc:creator><![CDATA[akito]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 12 Dec 2022 06:15:49 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[社会が変わる]]></category>
		<category><![CDATA[ゲーム理論]]></category>
		<category><![CDATA[公共財]]></category>
		<category><![CDATA[環境問題]]></category>
		<category><![CDATA[社会変革]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>公共財ゲーム（public goods game）は、個人の利益と全体の利益が相反する社会的ジレンマがある状況で、人がどう判断し行動するかを知るためのゲームです。全体の利益に貢献せず、個人の利益を最大化するフリーライダー [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p><strong><span style="color: #0f5459;">公共財ゲーム（public goods game）は、個人の利益と全体の利益が相反する社会的ジレンマがある状況で、人がどう判断し行動するかを知るためのゲームです。全体の利益に貢献せず、個人の利益を最大化するフリーライダー（ただ乗り）の問題と解決策を紹介します。</span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">公共財ゲームとフリーライダー</span></h4>
<p><span style="color: #262626;"><a style="color: #262626;" title="社会的ジレンマ：全体の利益ではなく、相反する自らの利益のために行動してしまうこと" href="https://www.a-output.com/collective-action-problem" target="_blank" rel="noopener">以前</a>本サイトで、「社会的ジレンマ（social dilemma）」と「コモンズの悲劇（Tragedy of the commons）」を紹介しました。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>社会的ジレンマ（social dilemma）</strong>は、すべての人が協力した方が良いにもかかわらず、個人の利益と全体の利益が相反するため、個人にとって最適な結果を得ることを優先して協力せず、結果として全体に不利益をもたらす問題です。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><strong>コモンズの悲劇（Tragedy of the commons）</strong>は、そのような社会的ジレンマがある状況で、全体の利益に反して個人の利益を優先して制限なく自由に行動した結果、共通の資源を枯渇させてしまうことです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">今回紹介する<strong>公共財ゲーム（public goods game）</strong>は、個人の利益と全体の利益が相反する社会的ジレンマがある状況で、人がどう判断し行動するかを知るためのゲームで、具体的には、グループの共同基金にメンバーがどの程度自分のお金を投じるかを調べるものです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">例えば５人のメンバーからなるグループがあるとして、それぞれのメンバーが500円持っているとします。<br />
５人は互いに相談することなく、好きな金額を自分で決めて共通の箱の中に入れます。<br />
この箱に入れられたお金の合計はN倍されて（通常１以上かつ人数以下の倍率。今回は２倍に設定します）５人に均等に再分配されます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ではあなたがこのグループのメンバーなら、いくら共通の箱に貢献しますか？というゲームです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">下図のCさんのように手持ちの半分の250円を共通の箱に入れるかもしれません。Aさんのように500円全額入れる人もいるかもしれません。一方でEさんのように１円も入れない人もいるでしょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><img loading="lazy" decoding="async" class="size-full wp-image-13963 aligncenter" src="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods.png" alt="" width="1255" height="513" srcset="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods.png 1255w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-300x123.png 300w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-1024x419.png 1024w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-768x314.png 768w" sizes="(max-width: 1255px) 100vw, 1255px" /></span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、以下に示すように、共通の箱に投じた金額が少ない人ほど結果的に得をするのです。つまり、１円も投じなかったEさんが一番得をし、最も貢献度の高いAさんが一番損をするのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">５人から集まった金額の合計　 ＝ 1,300円（500＋400＋250＋150＋0）<br />
</span><span style="color: #262626;">５人に再分配される金額の合計 ＝ 1,300 x 2 ＝ 2,600円</span><br />
<span style="color: #262626;">１人当たりに再分配される金額 ＝ 2,600 / 5 ＝ 520円</span></p>
<p><span style="color: #262626;">最初の手持ち金      ➡ 共通の箱に投じた後の手持ち金 ➡ 分配金を受け取った後の手持ち金</span><br />
<span style="color: #262626;">  Aさん：500円     ➡ 0円                                      ➡ 520円</span><br />
<span style="color: #262626;">  Bさん：500円     ➡ 100円                                  ➡ 620円</span><br />
<span style="color: #262626;">  Cさん：500円     ➡ 250円                                  ➡ 770円</span><br />
<span style="color: #262626;">  Dさん：500円     ➡ 350円                                  ➡ 870円</span><br />
<span style="color: #262626;">  Eさん：500円     ➡ 500円                                  ➡ 1,020円</span></p>
<p><span style="color: #262626;"><img loading="lazy" decoding="async" class="size-full wp-image-13964 aligncenter" src="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-2.png" alt="" width="1521" height="410" srcset="https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-2.png 1521w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-2-300x81.png 300w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-2-1024x276.png 1024w, https://www.a-output.com/wp-content/uploads/2022/12/public-goods-2-768x207.png 768w" sizes="(max-width: 1521px) 100vw, 1521px" /></span></p>
<p><span style="color: #262626;">Eさんは<strong>フリーライダー（free rider）</strong>と呼ばれます。フリーライダーとは、公共などに自分は寄与していないのにもかかわらずその恩恵にあずかる人たち、つまりただ乗りする人たちを言います。フリーライダーの存在は、公共財の過剰な利用や、サービスの不足や劣化につながるだけでなく、人は本来協力的であるにもかかわらず、フリーライダーの存在が利他的な行動を妨げているとも言われます。<sup>(1)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">しかし、ある意味では、Eさんやフリーライダーの行動は合理的です。集団の共同基金と個人が最終的に受け取る金額は、メンバー全員が全額を共同基金に提供したときに最大になりますが、個人の立場からみれば、１円も出さないのが最も合理的だからです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">ゲーム理論の有名な考え方に<strong>ナッシュ均衡（Nash equilibrium）</strong>があります。ナッシュ均衡は、数ある選択肢の中で相手がどのような選択肢を取ろうが、自分に最適となる選択肢を見つけるために利用されます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">公共財ゲームでは「メンバー全員の貢献がゼロ」がナッシュ均衡になります。つまり、グループの他のメンバーがいかなる金額を寄与しようとも、自分にとって最適な選択肢は「寄与しないこと」になるのです。<br />
</span><span style="color: #262626;">個人の利害から見ると、何も寄与しないというのが最も支配的な戦略であり、合理的な選択なのです。そのため、参加者には、他のメンバーが気前よくお金を出してくれることを願いつつも、自分自身は何も出さないというインセンティブが生まれるのです。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">この公共財ゲームの最近の典型的な事例は、気候変動などの社会的問題で、たとえAさんやA国が環境保護に大きく貢献しようが、EさんやE国が何もしなかろうが、その効果や影響はほぼ均等に私たち全員に跳ね返ってきます。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">さらに、同様の問題は社会的問題のみならず、職場など身近なところでも見られます。例えば、従業員の会社への貢献度にどれだけ差があろうが、もらえる給与にほとんど差がない年功序列に基づいた給与体系などです。<br />
あなたの職場にもフリーライダーはいませんか？</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<h4><span style="color: #262626;">フリーライダーの問題を解決策は？</span></h4>
<p><span style="color: #262626;">では、この公共財ゲームやフリーライダーの問題を解決するためにはどうすれば良いでしょうか？</span></p>
<p><span style="color: #262626;">１つには貢献度の高い人たちに報酬を与えることが考えられます。<br />
その報酬の原資を集団でプールすれば追加のコストもかかりません。しかし、会社の成果給の設定の難しさと同様に、貢献度をどう客観的に測るかという難しさがあります。また、以前紹介した<strong><a style="color: #262626;" title="外発的動機と内発的動機　－　自己の価値観と目的に向き合い、内発的動機に導かれる" href="https://www.a-output.com/intrinsic-motivation">ヘドニック・トレッドミル（hedonic treadmill：快楽適応）</a></strong>にあるように、報酬は一度もらうといずれその金額では満足できなくなるため、上げ続ける必要があります。そのため、金銭的な報酬以外のことも考えなければなりません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">別の解決策として、貢献しない人たちに懲罰を与えることが考えられます。<br />
しかし、大多数が納得し、かつ抜け道がない懲罰の仕組みをつくるのは容易ではありません。<br />
また、報酬のケースとは異なり、違反者を監視する費用など運用コストがかかります。貢献度の高い人たちにもそのコストを負担してもらう必要があるかもしれません。懲罰のシステムを運用するためのコストが、それによって得られる成果を上回ってしまう恐れもあります。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">有料化やクラブ化などの制度で、フリーライダーが公共財を自由に利用するのを制限することも考えられますが、フリーライダー「だけ」に道路や公共インフラなど公共財の利用を制限する仕組みをつくるのはとても難しいのです。これを、<strong>排除不能性（non-excludable）</strong>と言います。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">これはとても難しい問題で決定打はありません。もし決定打があれば、問題の多くはすでに解決されているでしょうから。<br />
すくなくても現状は公共に貢献する多くの人たちがその貢献度に応じて報われる形にはなっていませんし、フリーライダーに対する制限も限定的です。報酬や懲罰といったレベルの対応だけでは根本的に解決できないでしょう。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">例えば、コロナウイルスのワクチンを開発するための国際的な取り組みは、誰か１人がワクチンを発明すれば社会全体がその利益を得ることになるため、最良の公共財の例となり得えます（<strong>ベストショットゲーム：best-shot game</strong>と言います）。<br />
これに対し、コロナウイルスの拡大を抑えるためのソーシャルディスタンスの遵守などは、集団の誰か１人がルールを破ってしまうと全員が危険にさらされる可能性のある脆弱な公共財の１例です（<strong>最弱リンクゲーム：weakest-link game</strong>と言います）。<sup>(2)(3)</sup></span></p>
<p><span style="color: #262626;">※ best-shot gameとweakest-link gameは、日本語訳が分からないのでとりあえずこのように訳しています。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">津波や洪水を防ぐ堤防も最弱リンクゲーム（weakest-link game）の一例で、どんなに長い何キロにも渡る堤防を築いても、たった１か所でも周囲より低い箇所があればそこから水が流れ込み大きな被害をもたらしてしまいます。<sup>(4)</sup></span><br />
<span style="color: #262626;">最弱リンクゲームによって既存のシステムの維持を図ることも大事かもしれませんが、ベストショットゲームや新しいシステムの創出も必要かもしれません。</span></p>
<p><span style="color: #262626;">また、実は程度の差こそあれ私たちはみな、ある点ではフリーライダーです。自由な市場で効率的な資源配分に失敗することを<strong>市場の失敗（Market failure）</strong>と言いますが、解決には、市場レベル、さらには一段上の次元の、私たちの価値観や道徳心（モラル）を変える社会全体の仕組みの変化が必要になるでしょう。</span></p>
<p style="text-align: center;"><span style="color: #262626;">～ ～ ～ ～ ～</span></p>
<p><span style="color: #262626;">参考文献</span><br />
<span style="color: #262626;">(1) Taehyon Choi, Peter J Robertsonn, &#8220;<a style="color: #262626;" href="https://academic.oup.com/jpart/article/29/3/394/5168276?login=false" target="_blank" rel="noopener">Contributors and Free-Riders in Collaborative Governance: A Computational Exploration of Social Motivation and Its Effects</a>&#8220;, Journal Of Public Administration Research and Theory, Volume 29, Issue 3, pp.394-413., 2018/11.</span><br />
<span style="color: #262626;">(2) Stephan Müller, Holger A Rau, “<a style="color: #262626;" href="https://www.econstor.eu/handle/10419/215810" target="_blank" rel="noopener">Economic preferences and compliance in the social stress test of the Corona crisis</a>”, cege Discussion Papers, No. 391, University of Göttingen, Center for European, Governance and Economic Development Research (cege), Göttingen, 2020.</span><br />
<span style="color: #262626;">(3) Alexandros Karakostas, Martin G. Kocher, Dominik Matzat, Holger A. Rau, Gerhard Riewe, “<a style="color: #262626;" href="https://www.cesifo.org/en/publications/2021/working-paper/team-allocator-game-allocation-power-public-goods-games" target="_blank" rel="noopener">The Team Allocator Game: Allocation Power in Public Goods Games</a>”, CESifo, Munich, 2021.</span><br />
<span style="color: #262626;">(4) Jack Hirshleifer, &#8220;<a style="color: #262626;" href="https://link.springer.com/article/10.1007/BF00141070" target="_blank" rel="noopener">From Weakest-Link to Best-Shot: The Voluntary Provision of Public Goods</a>&#8220;, Public Choice, Springer, Vol. 41, No. 3, pp. 371-386 (16 pages), 1983.</span></p>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="IoccdtgeqA"><p><a href="https://www.a-output.com/collective-action-problem">社会的ジレンマ：全体の利益のためではなく、自分の利益のために行動してしまうこと</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;社会的ジレンマ：全体の利益のためではなく、自分の利益のために行動してしまうこと&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/collective-action-problem/embed#?secret=9QeRZafSl6#?secret=IoccdtgeqA" data-secret="IoccdtgeqA" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>
<div class="oceanwp-oembed-wrap clr">
<blockquote class="wp-embedded-content" data-secret="BPoLArjl80"><p><a href="https://www.a-output.com/do-gooder-derogation">公共財ゲームの表と裏：フリーライダーだけでなく、善意者も制裁を受ける罠</a></p></blockquote>
<p><iframe class="wp-embedded-content" sandbox="allow-scripts" security="restricted"  title="&#8220;公共財ゲームの表と裏：フリーライダーだけでなく、善意者も制裁を受ける罠&#8221; &#8212; あきと アウトプット" src="https://www.a-output.com/do-gooder-derogation/embed#?secret=V25ew5SMY1#?secret=BPoLArjl80" data-secret="BPoLArjl80" width="600" height="338" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe></div>The post <a href="https://www.a-output.com/public-goods-game">公共財ゲームの社会的ジレンマ：フリーライダー（ただ乗り）の解決法</a> first appeared on <a href="https://www.a-output.com">あきと アウトプット</a>.]]></content:encoded>
					
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